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血染めの覇道  作者: 舞って!ふじわらしのぶ騎士!
覇道 春九砲丸編 
1/162

分岐点

登場人物紹介

挿絵(By みてみん)


天辺龍ペンドラゴン


自らをイングランドの伝説の英雄スモーナイト、ウーサー・ペンドラゴンの後継者と号するスモーレスラー。性格は基本的にわがまま。試合中に海獣王マナティから古代象マンモス山に乗り換えたりする根っからの問題児。トレードマークは溶接工のようなマスクと針のついた袖の無いベスト。春九マシーンと一番仮面という力士が合体して生まれたというエピソードは有名。後のキン星部屋の継承者勝ち抜き戦では「ローニン山」という名前で参戦してくる。


 あの川に飛び込めば、このくだらないだけの人生に幕を下ろすことが出来るのだ。



 家に帰っても待っている家族は誰もいない。


 天涯孤独の身の上だった。



 生まれてからまともな教育を受けた記憶はない。施設である一定の年齢まで育てられ、外界に放り出された。

 そんな俺にも希望があった。宇宙スモーレスリングだ。鍛えられた肉体をぶつけ合い、強い奴だけが土俵に残る。

 俺は宇宙スモーレスラーたちに憧れた、恋焦がれた。

 俺はいつの日か英国最強のスモーレスラー、スモーナイトの称号を得る為に肉体労働に出ている時間以外は全てスモーのトレーニングに費やした。

 鉄砲ガンスリンガー、すりクロウラーウォーク、体当たり(エクスプロージョン)。そしていつしか俺は鋼の肉体と炎の闘志を持つ宇宙スモーレスラーとなっていた。

 そして俺は地元の宇宙スモーレスリング道場に入門する。圧倒的なポテンシャルを持つ俺は新人の中でもピカイチ(死語)だった。

 親がスモーレスラーというだけでのさばっているセブンスライツ(親の七光りを英語にするとこうなる)どもをばったばったとなぎ倒し、瞬く間にローカルスモースタディアムのスターとなっていた。スモーは力こそが全て、この時はそう思っていたものだ。

 だが、俺の思い上がりはあっさりと打ち砕かれることになる。

 そう同世代のスモーレスラーの羨望の的、英国スモーレスリング界きっての名門倫敦部屋出身、最高の技術と最強のパワーを持つ男。

 仮面の貴公力士、倫敦橋の存在である。ヤツはデビュー戦を当時のスモーナイトに最も近い強さを持つと言われた罰金牙武バッキンガムを相手に大技のロンドン名物タワーブリッジ投げ(見た目はアルゼンチンバックブリーカー)で相手の胴体を二分割して注目を集めた。


 

 どうせただの一発屋さ。



 その姿は中世イングランドの英雄ブラックプリンスを彷彿させる全身を敵の血で染めた倫敦橋の姿。それは正に俺の求めた最強のスモーレスラーだった。

 場末のパブでに置かれた古いテレビの画面を思わず目を背ける。

 俺は内心の焦りを隠す為にスコッチウィスキーを一気に飲み干した。いつしか倫敦橋を土俵の外に投げ出す。どんな度数の高いアルコール飲料でも俺の心を誤魔化すことはできない。闘志は燃え上がるばかりだった。

 今日も俺は人がいなくなったトレーニングジムで鉄砲ガンスリンガーをひたすら繰り返していた。

 そんな時に限って俺は昼間に仕事仲間の誰かが倫敦橋のことを話していたことを思い出す。倫敦橋は世界規模で行われるスモーレスラーの祭典、スモーオリンピックにイギリス代表として参加するらしい。

 仲間たちはどっと笑う。

 

 世間知らずの名門の若様のお遊びが始まったのだと。


 俺の鉄砲ガンスリンガーがサンドバック(英国のスモーレスラーは張り手の練習にサンドバックを使うのだ)に突き刺さる。


 バシュウッ!感情が昂るままに放った俺の鉄砲ガンスリンガーはいとも容易くサンドバックを破壊してしまった。

 同門の仲間たちの卑屈な笑いが許せなかった。


 お前らの目は節穴か。


 倫敦橋はパフォーマンス好きのアメリカンスモーレスラー(テキサス山のこと)とは次元の違う存在なのだ。腰抜けどもはそんな俺の姿を見て、囀ることを止める。


 やはりスモーはパワーだ。

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