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「じゃあ、ホームルーム始めるよー」
ここ、理南高等学校に、私は昨日入学した。
まだこの学校には二度しか来ていないため、未だに違和感を覚えては、緊張をしている。
私が通っていた中学校よりも狭い教室には、四十人の生徒がいるため、あまり自由に動くことはできない。暴れたりなんかしたら、荷物に引っかかって転ぶだろうね。
まだ慣れていない学校に緊張する私たちに向かって、先生は気だるげに接している。
羽柴 樹、二十五歳の男性。天然の茶髪は、外側に向かって少しはねている。黒縁のメガネをかけてはいるが、それは先生の顔の美しさを強調していた。つまりは、イケメンの若い教師。
先生がホームルームを勝手に進めていき、今日から早速授業だから、頑張れよ。と言って、短時間でホームルームは終わった。
私は、隣の席に座っている女の子に話しかける。
「私、藤堂 朱音! 貴方の名前は?」
隣の席の女の子は、メガネをかけていて、長い髪を三つ編みにしている。いかにも文学少女、といった感じの子だ。
女の子は、人見知りなのか、頬を赤く染めながらも、話をしてくれる。
「あ、私は、神咲 静と言います」
おろおろしている神咲ちゃんに、にっこりと微笑んで、よろしくね。と言うと、神咲ちゃんは、ぱっと顔を明るくして、はい! と言って頷く。
よし、お友達できた。
一時間目は、数学らしい。教科書やノートを準備した後に、私は神咲ちゃんと楽しく話をしていたのだった。