序章
俺が雪女ってことは分かった分かりたくないんだけども。逃げ出したいんだけども。盗んだバイクで走り出したいだけども。あっ、盗むのはダメだな。せめて借りるにしよう、うん。
「借りたバイクで走り出したい!!」
「えらくまっとうに走り出してるわね。・・・現実を見なさい」
「はい・・・」
「心配しない。大丈夫よ、あんた天使みたいに可愛いから♡というより天使以上ね。高校でもモテモテ間違いないわ。」
「大丈夫じゃない。てか全然嬉しかねーよ。なんで男に告白されなきゃならんのだ。」
まったく、そんな高校生活まっぴらゴメンだ!!・・・・・高校!?
「母さん!!俺高校どうなんの!?」
そうじゃん高校どうすんの?顔変わり過ぎてるからどうがんばっても本人って認めて貰えないじゃないか。というか顔というより性別がかわってるがな。さよなら俺の甘い青春よ。
「そこは心配しないでいいわ。」
自信ありげに母さんが言う。
「さっき初代が安倍晴明に育てられたっていうのは覚えてる?」
「ああ」
「初代から私たちまでの一族が続いてきたように、安倍晴明の一族も血を絶やさずに続いてきているの。そしてその一族は昔から国の中心部に属する一族だった。で今は総理大臣をしてるわね。そして私たち一族はそんな一族との関わりが昔から続いていて今もある。だから戸籍をいじるのだって経歴詐称だっておちゃのこさいさいよ」
この人今さらっと凄まじいことを言ったな。えっウチって総理大臣と繋がりがりあるの?てかいいのか総理大臣さんそれで。呆れ顏している俺に母さんは続けて言う。
「なに呆れ顏してるの?これは優しさなのよ。もしあなたが雪女なんて周りにばれてみなさい。マスコミ殺到、好奇の目で見られ、そのあげくどこに行っても何をしても注目され続けるはめになるわよ。そのために総理大臣っていう地位にも関わらずわざわざ犯罪を犯すのよ。」
犯罪って言っちゃってるよ。でも総理大臣さんありがとう。あんたいいやつだったんだな。テレビを見ていたときはもっとちゃんとしろよとか言ってたけどとかなんとかもの思いにふけてみる。
ん?母さんだれと電話してんだ?
あっ終わったみたいだ
「母さん誰と電話してたんだ?」
「総理大臣。今高校のこと話したわ。どうにかしてくれるそうよ。よかったじゃない。」
OH人間って唐突すぎると驚くことも出来ないらしい。さしよりお礼は言っておこう。ありがとうございます壁に向かって頭を深々と下げる。
「あと大事なことがもうひとつあるわ。あんたの名前雪文だったけどその容姿には合わないから変えておいたわ。これからあんたの名前は桜井雪よ。」
うん。またいきなりだね。てか人の名前勝手に変えないでくれ。雪文って響き結構気にいってたのに。ジト目で母さんを見る。
「それ反則・・・私を萌え死させる気!?」
何故か俺怒られた。
そういえば雪菜は何処に行ったんだ?さっきから姿が見えないんだが。
ガンッッ
ドアが蹴り開けられた。雪菜よ、せめて手で開けてあげて。そこのドアも大分いたんでるから。?何もってきてんだ?何その大量な布?
タラ〜と嫌な汗が流れる。
「お兄ちゃんに着せようかと思っていろいろもってきた。」
「あらいいわね私も手伝うわ」
「嫌だ絶対着らん」
なんなんだそのフリフリしたいかにも女の子女の子したやつはーって2人してジリジリ近づいてくんな。
「落ち着け、話せば分かる。だからお願い。」
さっきから2人とも鼻息が荒くて怖いんだよ。
「「問答無用♡」」
どうなったかは想像に任せる・・・