序章
鏡には見たこともないような美少女がいる。
妹より少し低い身長、白磁のように真っ白でなめらかな肌、腰まで届く薄い水色をした艶かな髪、透き通るような青をしたクリクリな目、高く通った鼻に、小さな口、桜がかった頬、それらすべてのパーツが千分のくるいもなく組み合わされたような容姿をしている。残念なのは今そんな彼女の目から涙がこぼれているということだ。
そんな自分?に見とれていると母さんが洗面所に入ってきた。
「どお雪文?自分が今どういう状況か分かった?」
「いえ、まったくもって。どういうこと?」
少し首をかしげながら返答する。
「「ッッ〜 可愛いー」」
「可愛い言うな!!」
「・・・やばいこの可愛いさ死ねるわ」
「その気持ち分かるよお母さん」
恥ずかしさでさらに涙目になる。数十分してやっと落ち着いたのか
「雪文、涙を拭いて、詳しいことはリビングで話すわ、あなたもいっしょにきなさい雪菜」
と少し真剣な声で母さんが言った。母さんひとつ言わせてくれ。あんたは鼻血を拭け。
後ろで「可愛い」を連発している雪菜を無視しスタスタと歩いていく母さんの後ろをついていく。いろんな不安を抱えながら・・・