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『I』 前編

 私は名前を忘れてしまった。

 なぜ、忘れてしまったんだろう。

 

 痛くて、辛くて、苦しくて、寂しくて

 私は私を忘れてしまった。

 そして、私は何かを探し始めた。


 何を・・・?

 わからない。

 でも、私はその何かを欲しがっていた。

 そうすれば、私は名前を思い出せる気がした。


 たまに、私ではない『私』がいる。

 

 痛くて、辛くて、苦しくて、寂しくて

 私は私でない『私』を作り出した。

『私』は私を助けてくれた。

 でも、その『私』も私と同じように強くはない。


 ある日。

 痛くて、辛くて、苦しくて、寂しくて

 ついに、『私』は死んでしまった。

 私を残して消えてしまった。

 私は大声で泣いた。


 もう、嫌だ。

 何もいいことなんてない。

 もう、耐えられない。

 死にたい。



 公園のベンチに座る。

 私は空を見上げた。

 私の心とは対照的に、空は青く雲一つない。


 どうしたの?


 知らない男の人が声をかけてきた。

 私は黙ったまま。


 よく、ここに来ているみたいだけど。それに、その痣は・・・。


 彼は私の隣に座った。

 私の顔や体に残っている痣を見たせいか、彼の表情は曇っている。


 私、探し物をしているんです。


 勇気を出して私はそう言った。


 何を探してるの?


 彼が私に聞いた。


 わかりません。手伝ってもらえませんか?


 一瞬、驚いた表情を見せた彼はすぐに、


 いいよ。


 と私に言った。

後編に続きます。


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