■第96話:分岐
戦いは終わった。
だが。
終わり方は。
綺麗ではなかった。
だから。
割れる。
■ヴァルハイン本陣
「……報告は以上か」
レオナルトが言う。
「はい」
一拍。
沈黙。
重い。
だが。
均一ではない。
■楽観派
「問題は明確です」
将の一人が口を開く。
「長期戦による疲労」
「指揮系統の乱れ」
一拍。
「それだけです」
頷く者もいる。
「再編すれば戻る」
「次は勝てます」
■慎重派
「……違う」
別の声。
参謀が首を振る。
「戦闘後も遅延が残っている」
一拍。
「説明がつかない」
空気が止まる。
■対立
「説明など必要ない」
楽観派が切り捨てる。
「結果は出ている」
一拍。
「全滅ではない」
「戦力は残っている」
「つまり勝てる」
単純な論理。
「……甘い」
慎重派が低く言う。
「“なぜこうなったか”が分からないまま」
「同じことをすれば」
一拍。
「同じ結果になる」
■沈黙
誰も答えない。
どちらも正しい。
どちらも足りない。
そして。
決める者がいる。
■レオナルト
「……両方だ」
短く言う。
一拍。
「再編はする」
「原因も探る」
一拍。
「だが」
視線が落ちる。
「次も戦う」
■決定
結論は出た。
変わらない。
戦う。
理解しきれないまま。
■他国視点(中規模国家)
「内部分裂か?」
将が笑う。
「よくある話だ」
副官が頷く。
「負けきらなかったから迷っている」
一拍。
「レグナスは関係ない」
「ただの判断ミスです」
軽い評価。
何も見えていない。
■バルザーン帝国(外務)
「内部で意見が割れているか」
官僚が資料を見る。
「はい」
一拍。
「健全だな」
「敗戦後にはよくある」
合理的な判断。
だが。
核心には届かない。
■レグナス
「ヴァルハイン、再編中」
ミレアが言う。
「内部意見分裂」
一拍。
カイルが呟く。
「……普通の反応ですね」
ヴェルドが答える。
「そう見えるだけだ」
■ルナたち
「……割れたね」
ルナが言う。
「うん」
レオンが笑う。
「でも結局やる」
「止まらねぇな」
エリナが小さく言う。
「……また戦うの?」
ルナは頷く。
「うん」
「止まらないからね」
■レグナス
「報告」
「次戦準備、兆候あり」
一拍。
「問題ない」
それだけ。
戦いは終わった。
だが。
終わっていない。
分かれても。
止まらない。
それが。
この戦争だった。




