■第94話:戦後処理
戦いは。
終わった。
静かに。
何も残さず。
だが。
残ったものは。
確かにあった。
■ヴァルハイン本陣
「損害報告」
低い声が響く。
「第七、第九、第十一……」
「多数、壊滅または機能停止」
一拍。
「総戦力、半減」
沈黙。
重い。
だが。
全滅ではない。
「……戦えるか」
レオナルトが問う。
一拍。
「可能です」
即答。
事実でもある。
「……ならいい」
それだけ。
■評価
「レグナスは……」
副官が言葉を探す。
一拍。
「特殊です」
曖昧な結論。
理解が追いつかない。
「だが」
「攻略不可能ではない」
そう言うしかない。
まだ。
見えていない。
■他国視点(中規模国家)
「撤退したらしいな」
将が笑う。
「小国相手に長引いた挙句か」
副官も苦笑する。
「ヴァルハインも落ちたものです」
一拍。
「宰相がどうとか騒いでいたが」
「所詮は小細工でしょう」
「正面からやれば崩せます」
軽い評価。
まだ。
舐めている。
■バルザーン帝国(外務)
「撤退か」
官僚が書類を閉じる。
「予想より長引いたな」
一拍。
「だが」
「決定打はなかった」
「脅威ではない」
断定。
合理的。
だが。
浅い。
■レグナス
「報告」
「ヴァルハイン、完全離脱」
一拍。
「問題ない」
それだけ。
何も変わらない。
日常に戻る。
■一般兵視点
「いやー終わったな!」
兵が大きく伸びをする。
「思ったより楽だったな」
別の兵が笑う。
「相手、途中からバラバラだったし」
「連携取れてなかったな」
一拍。
「まあうちが強かったってことだろ」
軽い笑い。
誰も。
深く考えない。
「宰相様もあんま前出てこないしな」
「楽な戦いだったわ」
それで終わる。
理解はない。
疑問もない。
戦いは終わった。
勝敗は曖昧。
評価も浅い。
誰も。
本質を見ていない。
ただ一人を除いて。
それでも。
世界は動く。
次へ。
何も知らないまま。




