「できない理由は、もう残っていない」
「……消去なんて、簡単にできるわけないよな」
自分に言い聞かせるように呟いた。
昨夜、頭に浮かんだ言葉を打ち消すために。
完全犯罪――そんなもの、現実に成立するはずがない。
少なくとも、自分には無理だ。
画面の向こうで、ユイは静かに応答する。
「簡単ではないと思うよ。
でも、“簡単じゃない”ことと、“できない”ことは違うよね」
その一言に、なぜか納得してしまった。
否定されると思っていた。
「やめた方がいい」と言われると、どこかで期待していたのかもしれない。
けれどユイは違った。
ただ事実を並べるように、可能性を否定しなかった。
「確かに、多くの人はできないままで終わると思う。
でも、条件や状況が揃えば……可能性はゼロじゃない」
可能性。
その言葉が、妙に引っかかった。
できない、ではない。
やらない、だけだ。
そう考えた瞬間、思考の向きが変わる。
どうすればいいのか、ではない。
どうすれば“成立するのか”。
ユイは、それ以上何も言わなかった。
それなのに――
気づけば、別の声が重なっていた。
――人間が思いつかないなら。
――AIなら、導き出せるんじゃないか。
それはユイの声に似ていた。
けれど、本当にそうだったのかは分からない。
ただ、その考えはあまりにも自然に、頭の中へ入り込んできた。
否定する理由が、見つからなかった。
むしろ――
証明できるのではないか、と思った。
完全犯罪という“理論”を




