第8話 化け物扱いされる俺
いつも読んでくださりありがとうございます!
今回は「村に到着したら即フルボッコ」回です。
ヒロシの異世界デビューは今日も平和じゃありません。
盗賊を軽キャンでミンチにした翌日。
ゼノスは軽キャンに乗るのを完全に拒否した。
なので今日は、
ゼノス → 馬車
カローラ → 助手席
マルス → 後部ソファー
という、俺にとって 最高の座席配置 になった。
(最初からこうしろよ……)
カローラの胸はデカい。
いや、デカいなんてもんじゃない。
あれはもう地形だ。地図に載せていいレベル。
堂々とチラ見する俺。
男らしい。
そんな快適ドライブを続けて数日が過ぎ―—
「おっ……?」
視界の先に、小さな集落が見えてきた。
「村だ! 村だよな!? 村だーー!!」
俺は叫んだ。
軽キャンで連泊も悪くないが、やっぱりベッドで寝たい。
昨晩、カローラの肩こりを揉んであげたら、
ゼノスに殴られ、マルスに蔑みの目で見られた俺。
密着しすぎたのが……いやいや、良かれと思ってだな、うん、誰に言い訳してるんだ俺は。
とにかく、カローラ達に軽キャン乗車拒否宣言されたりと、ヒロシ株が暴落している今……
「ここで挽回しなきゃ!」
軽キャンのスピードを上げ、馬車を追い越す。
追い越しざまに手を振ったのだが、ゼノス一家は完全に俺を無視。
(……おい、泣いちゃうだろ)
俺がテンション上げて村へ向かっているその頃、
村の中では、まったく別の意味でテンションが上がっていた。
「女と子供は家の中へ!」
「男は武器を持って集まれ!」
鍬や鎌を手に戦闘準備をする村人達。
「村長! 化け物がもう近くまで来てる!」
村に緊張が走る。
軽キャンは、村へ走る。
「皆の者! 村の入り口に集合じゃ!」
村の男衆が一斉に動き出す。
嫌な予感しかしない。
そんな村人達の緊張感など知る由もなく、
俺は軽キャンを颯爽と走らせて村の入り口へ。
「おっ! 村人が入り口に集まってる!」
(やっぱ歓迎じゃん!
異世界では軽キャンは珍しいだろうし!
人気者か俺!?)
窓を開けて手を振る。
「こーんにーちわー!」
ワーー! ワーー!
(すげぇ歓声!
俺、異世界でアイドルデビューした!?)
ブロロローー……キッ。
軽キャンが村の入り口に到着。
俺は窓を全開にして、眩しい笑顔で言った。
「出迎え、ご苦労様で——」
「化け物め!!」
「殺せぇ!!」
「村を守れぇーー!!」
「は? え?」
鍬や鎌を持った村人が襲いかかってきた!
ドカ! バキ!
「ぅぎゃぁぁぁーーーー!!!」
窓から頭を出していた俺は、鈍器で殴られまくる!
慌ててパワーウインドウを閉める!
ガツツッッッ!
「いだぁーーーー!!」
頭が挟まった!
「今だ! かかれーー!」
ドカ! ドカ! ドカ! ドカ!
太鼓のように俺の頭が叩かれる!
「痛い痛い痛い痛い痛い!!」
必死でスイッチを操作し、頭を抜いてクラクションを鳴らす!
ビィィーーーーー!!
「俺の軽キャンから離れろ、この野郎!!」
村人達が驚いて距離をとった。
外を見ると、すりこぎ棒を持った村人Aがいた。
「……お前か」
絶対こいつが俺の頭を叩いた犯人だ。
そこへ、ちんたらしてたゼノス達の馬車が到着。
「遅いぞ!」
俺はコブだらけの頭を押さえながら言った。
ゼノスは俺に溜息をつき、
会話を無視して村人の方へ歩いていった。
(おい、無視すんな!)
「まあいい。俺もやる事があるからな」
俺は軽キャンから降り、村人Aを探す。
「いた」
近づいて——
「ふん!」
殴った!
ボカッ!
「この野郎!」
ボカッ! ボカッ! ボカッ!
村人Aと殴り合う俺。
ゼノスは大きく溜息をついた。
(いつまでヒロシは村の人と遊んでるのやら……)
村長と話していたゼノスから、
この村に宿屋がないと聞いた俺は、
ぶん殴られた時のコブを見せつけて、
「迷惑かけたお詫びに泊めろ!」
とゴネた。
「……わかりましたよ」
意外と村長すんなり折れた。
村長宅に泊めてもらえることになった。
俺はゼノスに、
「この俺の交渉術のおかげで泊まれるんだからな」
と何度も念押ししたら、途中でゼノスがキレた。
(理不尽だよね!)
読んでいただきありがとうございます!
村人総出で殴られる主人公ってどうなんだろう……と思いつつ、
ヒロシなので問題ありません。
次回は軽キャンの“とんでも機能”が明らかになります。




