第6話 異世界の朝、獣人の絶叫で起床しました
いつも読んでくださりありがとうございます!
ゆるい日常回です。ヒロシは、今日も元気です。
「おーい! そろそろ行くぞー! 起きろー!」
森に響くデカい声が、俺の安らかな眠りを容赦なく粉砕した。
スヤスヤと可愛い寝顔だった俺は、まぶたをピクつかせながら目を開ける。
(……うるせぇ……森のアラーム機能いらねぇ……)
声の主は、昨日から一緒に行動している獣人の男。
名前はまだ知らない。
もう少し寝ていたいが、集団生活でワガママを言うと「空気読めないおじさん」になるので、仕方なく起きる。
「……はいはい、今起きるって……」
ポップアップルーフから顔を出しながら、寝ぼけ声で返事。
昨晩は軽キャンをベッド展開するのが面倒で、上で寝たのだ。
「おじちゃん、何してるの?」
マルスが覗きにくる。
「昨日は上で寝たんだよ」
「僕も上で寝てみたい!」
ピョンピョン跳ねている。
朝から全力。子供のスタミナは異世界でも無限らしい。
「お父さんが良いって言ったらな」
そう言うと、マルスは満面の笑みで走り去っていった。
(……若いっていいな……)
完全に目が覚めた俺は、軽く身支度を整えて外へ出た。
ゼノス一家もすでに準備を始めていて、自然と朝食タイムに突入した。
「出発前に軽くご飯にしない?」
俺はチョコチップスナックパンを配る。
安い・多い・うまいの三拍子そろった神パンだ。
みんな「うまい!」と大絶賛。
異世界人の舌にも合うらしい。
小川で顔を洗い、スッキリした俺は、
「さぁ、出発しようぜ!」
と気合いを入れた。
軽キャンに乗り込むと、そこには当然のように助手席に座る影があった。
「って、おい!」
助手席に座っている獣人の男に言った。
「何してるの? なんで乗ってるの?」
「馬車はもう出発したぞ。我々も早く行こうではないか!」
いや、まず説明しろ。
「……てか、お前、名前なんて言うんだ?」
「そういえば名乗っていなかったな。
俺はゼノス。獣人族の戦士だ。よろしく頼む、ヒロシ」
ようやく名乗った。
「ゼノス、馬車に乗らなくていいのか?」
「家長である俺がまず最初に軽キャンに乗り、どんなものか確かめるためだ!」
完全に降りる気ゼロ。
(ああ……助手席がカローラなら最高だったのに……)
諦めてエンジンをかける。
ブロロロ~
「わっ! なんだ、コレ!」
エンジン音にビビるゼノス。
見てて微笑ましい。
これがカローラならもっと微笑ましい。
しかし暫くすると慣れたようで、
「馬車と違って尻が痛くないぞ!」
「ずっとこっちでも良いな!」
と楽しんでいる。
「そ、そう? よかったね」
(おっさん同士のドライブ……地獄か?)
俺は諦めて運転に集中した。
ブロロロローー……
森の中をトロトロ走っていると、馬車が突然キキィッと急停止した。
「うおっ!」
俺も慌ててブレーキを踏む。
ゼノスが前のめりになったが、シートベルトが仕事してくれた。
「どうした? ヒロシ」
「いや、馬車が急に止まったんだよ」
窓から前方を覗くと——
ガラの悪そうな連中が、武器を持って馬車の前に立ちふさがっていた。
(……出たな。
ファンタジー世界の“お約束イベント”……
盗賊だ……!)
ここまで読んでくださりありがとうございます!
次回は盗賊イベントに突入します。
引き続きお楽しみいただければ嬉しいです。




