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第54話 白竜ミロース、まさかの美少女化

今回も読んでくれてありがとうございます!

今日はちょっとだけ大きめの出来事が起きますが、

ヒロシたちはいつも通り元気です。

書いてて楽しかった。

肩の力を抜いて楽しんでください。

 カイが突然、空を指差した。


「あ、またドラゴンだよ」


 また、だと?

 俺たちが視線を向けると、先ほどのドラゴンよりもさらに巨大な白い影がゆっくりと飛んでいた。


「近づいてない?」


 レイラが息を呑む。


「ホントだ」


 キャスカも目を細めた。


「ねぇ、降りてくるんじゃない?」


 プロムが不安げに言う。


「まさか、降りてくるんじゃないだろうな?」


 嫌な予感しかしないぞ。

 近づいてきてる気が……


「いや、来るだろほら、ほら、ほらー!」


 ウィズが叫んだ直後――


ドスゥーンッ!


 白い巨体が地面に着地し、土煙が舞い上がる。


「……来ましたねぇ」


 フィリーの震えた声が、静まり返った空気に溶けた。


 目の前に降り立ったのは、圧倒的な存在感を放つ白いドラゴン。

 その瞳が、じっと俺たちを見据えている。


 ……非常に、ヤバい。

 倒したドラゴンより倍以上デカい。

 みんなの顔が「終わった」と言っていた。

 そりゃ、そうなるのが当然だ。


 だが――


「諦められるかぁぁぁぁ!」


 俺は軽キャンへと全力で走り、武器である棒を掴んだ。


「こんなとこで、死んでられますか!」


 レイラやプロムとイチャイチャしたいし、ルファスとキャスカとまだまだ冒険したいし、Sランクの冒険者になってねぇ!

 気合を込め、白ドラに向かって、いざ突撃。


 俺の気合の一撃を食らいやがれ!


「きえぇぇぇーい!」


ぺちん。


「いたぁーーい!」


 硬ッ!

 ふざけんな、なんで攻撃した俺の方がダメージ食らってんだよ。


「もう、完全に頭に来たぜ」


 もう余裕は無しだ、食らえ! 


ぺちん。


 うん。


「うおりゃぁぁぁああああ!!」


ぺちん、ぺちん、ぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺち……


 全力の乱れ打ち。


 どうだ、俺の連撃は!


 もう倒れるか?どうなんだ白いドラゴン、いや白ドラよ。

 無傷ですか。

 そうですか。

 知ってたよ!

 あきらめたらそこで試合終了ですよ。

 だが、俺は優しいからちょっとストップ。

 手が限界だ。


「お前達、ここらにいるドラゴンを知らないか?」


 俺を完全に無視して喋り出しやがった。

 この野郎、俺の攻撃が無意味だとでも――


「バカめ!」


 スキありだぜ!


 俺は渾身の蹴りを叩き込んで白ドラに大ダメージをあた


ボキィィイッ。


「うぎゃぁぁぁあああああーーー!!」


 痛い痛い痛い痛い痛いーーー!!!

 俺の足が曲がるはずのない方向に曲がってるんですけど。


 俺が地面を転げ回っていると、みんながようやく正気に戻った。


「ヒロシ! 大丈夫!」


 レイラが駆け寄る。俺は回復薬を頼んだ。


「お前、旦那様に何をした!」


 プロムが白ドラに怒鳴る。


「酷い目にあったよ~、痛いよ~、プロム~」


 優しいプロム、癒してくれぇ。


「……え? いや、何もしてないけど」


 白ドラは困惑して答えた。


「何もしてないのに、こんな風になるかぁ!」


 プロムは俺の折れた足を持ち上げ、白ドラに突きつけた。


「うぎゃぁぁぁあああーー! 千切れるぅぅ」


 逆さまにされて気絶しそうになる俺。


「バカ、なにしてんの」


 レイラが回復薬を持ってきた。


「助かっガボゲラゴボボ」


 逆さまのまま飲ませるな!

 鼻に入る! 溺れる! 殺される!

 二人の嫁に殺されてしまう!


 キャスカはその様子を見て「可哀想」と思ったが、関わると面倒なので黙っていた。


「あの、私の質問は? ……いえ、もう、いいです」


 白ドラが立ち去ろうとした、その時――


「ハハハ! ここらにいたドラゴンなら、俺たちが倒したぞ!」


 ウィズが胸を張って言った。


 カイとバンが慌てて口を塞ぐが、白ドラはウィズに顔を向ける。


「貴様、今、言ったことは本当か?」


 迫力に圧倒され、カイとバンは固まる。

 その隙にウィズは拘束を振り払った。


「そうだ、俺たちのリーダーの指示で、雑魚ドラゴンを倒したぞ!」


 ウィズが指差した先には、死にかけの俺。



「痛かったぁぁーー!」


 回復薬のおかげで、復活した俺が飛び起きた。

 しかし、すげぇな回復薬、骨折もすっかり治ったぜ!

 おっと、白ドラにやられて負傷した俺の事を心配しているだろうから、安心させてやらねば。


 みんなに報告しようと振り返ると――

 白いドラゴンの顔が目の前にあった。


「お前、名前は?」


 白ドラが低い声で問うてきた。

 近っ。

 


「ヒロシ ノガミだーー!」


 俺が答えようとした瞬間、遠くで俺の名前が叫ばれた。

 なんなの?


「お前が指示をして、ドラゴンを殺したのか」


「指示というか指揮を」

「そうだー!

 Cランクの冒険者を食って、俺たちにも襲いかかってきたドラゴンをリーダーと一緒に返り討ちにしてやったー」


 俺が答えてるのに、かぶせてきたウィズ。

 なんで、さっきから俺の代わりに答えてるんだ?


「ウィズ、ちょっと黙っててもらえるかー?」


「なにがー?」


 無自覚なの?

 ウィズの答えにイラっときたが無視して、白ドラに質問する。


「お前は、俺たちが倒したドラゴンの仲間なのか?」


 俺は白ドラに聞いた。

 探してたから間違いないとは思うのだが。


「私の子供だ。ドラゴンの里から卵が消えて、探していた」


 子供?!


 白ドラの声は、どこか寂しげだった。

 流石にちょっと胸が痛む。


「……そうか、お前の。

 だが、言い訳はしない。俺たちも生きるために戦ったんだ」


 俺は真っ直ぐに白ドラを見た。


「戦いに負けて死んだのは、あの子が弱かったからだ。気にするな」


 白ドラは顔を上げた。


「ただ、あの子が里にいたのなら、結果は違っていただろう……」


 白ドラが呟く。


「卵が消えた件、セガル王国が関わっているのでは?」


 ルファスが白ドラに向かって言い出した。

 そうなのか?


「セガル王国が? なぜそう思う?」


 食いついた白ドラがルファスに聞いた。


 ほら、白ドラも疑問に思うよな?

 ルファスお前は、エスパーか何かなの?

 適当な事いっていいの?

 最後は俺頼みか、やれやれ。


 俺はアメリカ人のようにオーバーに肩をすくめた。


「ドラゴン討伐と称して冒険者を集め、ドラゴンに食わせているからですよ。

 そのドラゴンってどこからって、そういうことなんでしょう?

 なぜ、そんな真似をしているのか、目的は不明ですが」


 ルファスが淡々と答える。

 あ。

 そういう事なの?

 あぶねぇ、やれやれとか口にしなくて良かったぜ。


 俺は、頷いて「そうだな」と言う顔をルファスに向けた。


「それに、一緒に来た奴も化け物になって襲ってきたし、普通じゃないぜ、あの国!」


 ウィズが憤る。

 だよな。

 せっかく軽キャンに乗せてやったのに、襲ってきやがって恩知らずだぜ。


 白ドラはしばらく考え――


ゴゴゴゴゴ……


「セガル王国に行き、皆殺しにしてくれる!」


 怒りで翼を広げた。


 いや、お前、マジか?!


 飛び立とうとした瞬間――


「おいっ! 待て待て待て、待てって!」


 俺は白ドラの前に飛び出して制止する。


「なんだ!」


 うお、怖ぇぇぇ!

 当然だが、めちゃくちゃ怒ってる。

 いや、怒ってても駄目だろ。


「バカ野郎! お前が暴れたら関係ない人まで死ぬだろ!

 考えて行動しなさいよ。

 お前がそのデカい図体で暴れまわってみろ、それに巻き込まれて子供を殺された親や、親を殺された子供が大量に出るんだぞ!

 自分と同じ境遇の奴を増やしてどうすんだよ!

 そんなの、子を失った痛みを知る、お前が一番わかってる事だろうが」


 白ドラの怒りは消えないが、少し落ち着いたみたいだ。

 俺の顔をジッと見ている。


「……では、どうすればいい?」


 そうそう、落ち着いて話せばいいんだよ。


「俺たちが黒幕を連れてくる。後は任せるから好きにしろ!」


 白ドラが俺を見つめる。


「なぜ?」


 初めて会ったのに、そこまでするのかって怪しんでるのか?

 人間って、悪い奴だけじゃないんだけど不信感みたいなのがあるんだろう。


「あそこにいるキャスカがお前の子を殺した!」


「なっ!」


 突然犯人を押し付けられたキャスカが目を見開く。

 しかし、ヒロシは怖いので絶対にキャスカの顔を見ない。


「実行犯はあいつだが、指示したのは俺だ!

 お前の子だと知らなかったし、襲ってきたのはそっちなのだが、お前の子を殺したことに変わりはない。

 だから、責任を取る。それだけのことだから気にするな!」


 絶対に俺はキャスカの顔を見ない。

 絶対に凄い形相で睨んでいるだろうから。


「それに、新しい部下というか仲間も増えて一人当たりの手間も少なくなるから、本当に気にしないで!」


 俺はウィズを見る。

 ウィズは親指を立てる。

 俺が頷くと笑顔を返してくれた。

 カイとバンは露骨に嫌そうに見えたが、完全に俺の気のせい。


「そこの小さき者よ、さきほども言ったが、殺したことは気にするな。戦いの中のことだ」


 白ドラは優しい声でいった。

 キャスカを気遣ってくれる、良い奴じゃないか。


「白ドラ、お前も気にすんな。黒幕は俺がやりたいからやるんだ」


 俺は言い切った。


「なんで、あんたが気にするなって勝手に決めるんですの?

 やっぱり、バカですわ。

 黒幕を早く引っ張ってきて、白いドラゴンの前に出すのですわ」


 口が悪いが、キャスカも子供を殺したってのが後味悪いんだろうな。


「そうだな。

 それに、セガル王国の手配したコーディネーターに殺されかけたんだ。

 こんな目に合って、このままじゃ気が済まないだろ?」


「そうよね、やられたらやり返さなきゃ」


 頼もしいぞ、レイラ。


「私は、ヒロシ様に従うだけです」


 プロム、そう思ってくれてるなら、扱いはもう少し丁寧にな。


「ドラゴンの件は証拠があるわけでは無いですよ。あくまで憶測でしかないですから、黒幕の存在もどうなのか……

 ですが、コーディネーターの件は実際に襲われているんですから生き残った僕たちの手で決着をつけましょう」


 心配性だな、ルファスは。

 俺に考えがあるから大丈夫だって。


「よっしゃあ! いっちょ暴れようぜ」


 ウィズ、盗賊かお前は。


「私たちも行くんですか?」

「助かったんですから」

「平和が一番ですぅ」


 カイ、バン、フィリー。


「心配するな。

 俺たちは仲間なんだから、のけ者にしないから安心していいぞ」


 安心させようと思って言ったのに、思った反応と違うが、気のせいだろう。


 仲間たちの表情が引き締まる。

 全員が覚悟を決めた顔だ。


 俺はにっこり笑った。


 セガル王国――

 俺たちに舐めた真似をしたこと、後悔させてやる。


「あ、そうだ白ドラ。お前の名前は?」


「白ドラって……

 私の名は、ミロース」


 その瞬間、ミロースの身体が光り――


 少女の姿へと変わった。


 裸。


 白い長い髪の美少女だ。


「やばい!」


 俺は即座にルファスを見たが、ハァハァしていなかったので安心した。

 あいつはロリコンだからな。


「これなら関係ない者を巻き込むこともないだろう。

 私もつれていけ」


 ミロースが淡々と言った。

 こいつなりに迷惑にならないようにって考えたんだろう。


 よし!


「その姿なら車に乗れるし、良かろう!

 だが、その前に服を着ろ。着たら連れてく」


 俺は上着を脱いで着せた。


「うん。

 これ着たらいいんだな」


 強力な仲間ゲット。

 最強の用心棒だぜ!

 セガル王国内での無事が確約されたようなもんだ。


 そんな事を考えているってのは、顔には出さない。


「そんじゃお前たち!

 明日からも忙しいから、飯食って寝る!

 ミロース、お前も一緒にご飯だ。

 ウィズたちも仲間なんだから遠慮せずに食うんだぞ。

 みんなで食べたら、ご飯は何倍もうまくなるんだからな!」


 戦闘続きで疲れた俺たちは、この場所でキャンピングトレーラー三台に泊まることにした。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

ヒロシ一行、ますます賑やかになってきました。

次回もテンポよく進むので、引き続き楽しんでもらえたら嬉しいです。

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