第50話 王都へ!討伐参加の手続き
いつも読んでいただきありがとうございます!
今回は、王都へ向かう道中のお話です。
ヒロシたちのちょっとした日常や、レイラ・プロムとの関係の変化、
そして王都の混雑っぷりなど、旅の雰囲気を楽しんでもらえたら嬉しいです。
いよいよドラゴン討伐の手続きへ――
物語も少しずつ大きな流れに入っていきます。
それでは本編どうぞ!
セガル王国の王都へ!
休憩を挟みつつ三時間ほど走ると、王都を取り囲む壁が見えてきた。
意外と近いじゃないか。
せっかく早起きして出発してきたのに…… これなら、もう少し寝ておけば良かった。
「ヒロシ、もう着いちゃうね」
今日の助手席を勝ち取ったのに、王都に到着したらこのドライブは終わりだ。
だから俺と二人でいられる時間の終わりを感じたレイラは淋しそうに言ったのだろう。
昔に戻ったみたいで楽しかったからな。
普通にしててくれてるけど、レイラ以外に嫁をもらって悪いことしちゃったよな。
独占出来ないって逆の立場なら……そりゃ、寂しいよ。
「レイラ。
今度、二人で出掛けるか? デートでも」
なんとなく、そう口にしていた。
「ほんと?!」
「わっ!」
レイラがぱっと明るくなり、俺の腕に抱きついた。
運転中だから危ないって!
……でも、好きなレイラが元気になったのは嬉しい。
やっぱ、寂しかったんだな。
大事な嫁さんなのに本当に馬鹿だ、俺。
「いつもプロムと三人でいるから、たまには二人きりで出掛けたり、夜も二人で過ごす日ってのを作るのは……どうかな?」
前から考えていたことを聞いてみた。
「ヒロシを独占できる日って事よね?
……嬉しいから、賛成!」
レイラの同意をもらったし、後ろのプロムにも聞いてみるか。
「プロム、あのさ、二人きりで……」
「聞いてました。私も、二人きりって良いと思います!」
聞き耳立ててたのか?まぁいいけど。
とにかくプロムも乗り気だし問題なし。
「そんじゃ決定って事で、後は二人で話をして振り分け考えて。
……あっ!でも、三人で過ごす日はなくさないでね。
みんなでいるのも賑やかで楽しいから」
「うん、わかった」
「私もわかりました、ヒロシ様」
そんな夫婦にとって重要な話をしているうちに、壁の近くまで来た。
「うわぁ、凄い人だな、時間かかるぞ、これ」
門に向かって、すごい数の人。
王都の入口検問所への順番待ちの列が続いている。
軽キャンを列の最後尾につけて順番待ちに参加するが……これ、今日中にドラゴン退治に行けるのか?
「ちょっと、どうなってんのよ?」
「いや、俺に言われても……」
イラついた感じでキャスカが聞いてきた。
順番待ちの列の長さにうんざりしてるのだろう。
俺に言われても困る。
「キャスカ、ノガミさんに言ってもしょうがないよ、座ってゆっくり待とう」
「お兄様と一緒なら平気ですわ」
流石ルファス、キャスカの扱いが上手だな。
俺がそんなことを思っているとレイラが紙を差し出してきた。
二人でローテーションを決めたようだ。
■ ヒロシと過ごす日(案)
月曜日:レイラ
火曜日:プロム
水曜日:レイラ
木曜日:プロム
金曜日:レイラ
土曜日:プロム
日曜日:三人
「月水金がレイラで、火木土がプロム、日曜が三人で過ごすんだな。
基本はこれで構わないけど、毎日デートするわけじゃないからそれだけ理解してね」
「もちろん。
あくまで案だから、やりながら調整していくつもり。
でも、夜なら一緒に部屋で過ごすことできるでしょ?」
レイラが言うように、二人きりと言っても昼間はどうしても三人でいることが多いだろうし、昼間も一緒ってのは仕事が休みの日限定。
夜を一緒に過ごして、一緒のベッドで寝るってローテーションだな。
「それなら問題ない。
三人もワイワイ賑やかなのも良いけど、二人でゆっくりするのも良いと思うよ」
「じゃあ、決まりね」
レイラが嬉しそうだ。
寂しい思いさせてたんだな ……最低な男だ俺。
・
・
・
行列は少しずつ進んでいくが、まだ時間はかかりそうだ。
俺たちは軽キャンに乗せた冷蔵庫で冷やされた缶コーヒーやコーラを飲みながら、ゆっくり進む列に身を任せた。
まったりした時間の中、行列の人々を見ると……
「やっぱりアレだ。
みんなドラゴンを倒して一攫千金を狙ってるんだろう」
それぞれ冒険者のパーティなのだろう。
それっぽい格好だし、みんな強そうだ。
……まぁ、中には弱そうなのもいるけど。
ランクフリーだから、しょうがない。
「しかし、冒険者とその他で受付を分ければいいのにな。
王都に入るのにこれじゃ、商人とかたまったもんじゃないだろう」
「そうよね。
私は、ヒロシとゆっくりできていいけど」
レイラが可愛いことをいってくれて、ほっこりしている中、行列はゆっくり進む。
・
・
・
軽キャンの中では、キャスカとプロムがリバーシで遊んでいた。
「うちの最強決定戦か……」
ルファスが「キャスカ頑張れ!」とうるさい。
フロントのミラーを動かして盤面を見る。
キャスカが劣勢のようだ。
「やるわねプロム! でも、これで……どうよ!」
パチン。
劣勢だったキャスカが石を置いた。
「うっ……」
キャスカの逆転の一手にプロムが苦悶の表情を浮かべ、そのままキャスカの逆転勝利が決まった。
「ヒロシ、前」
「え?
……あっ! ごめん」
レイラに言われて前を見たが、俺たちの順番が来たようだ。
長かったな。
……並び始めて一時間くらい待ったんじゃないか?
門番に、俺たちは冒険者でドラゴン討伐に来たことを伝える。
ああ、お前もか、という感じで事務的にギルド証の確認を手慣れた様子でこなし、素早く王都の入場者登録を済ませてくれて、特に何のイベントもなく中に入れた。
「お疲れ、ヒロシ」
「ありがとレイラ。
みんなも、長かったから疲れたろう、もうちょっとだろうから頑張ろう」
冒険者の流れに着いていった先に冒険者ギルドがあった。
ギルド周辺には沢山の人がいるので駐車できそうにない。
軽キャンを少し離れた場所に停め、徒歩でギルドへ向かう。
屋外に椅子とテーブルが並べられた簡易受付が大量に設けられている。
「流石に、この人数を捌くために受付を増やしているな」
俺たちはそのまま受付の一つに並んだ。
「なんだよ! 聞いてないよ!」
突然あちらの受付で手続きをしているパーティが大声を上げたが、どうしたんだよ?
「ですから、ドラゴン討伐の依頼を受けるには、みなさんに参加料金をお支払いいただいております。
お支払いされないなら、後ろがつかえていますのでお引き取りください」
大量の冒険者を捌くため、受付嬢は事務的に言い放つ。
「わかった、払う! 払うよ!
どうせドラゴンを倒せば大金持ちだしな!」
そう言って冒険者は渋々金を支払っていた。
参加料とってるんだなぁと思った。
周りを見渡したが、金が払えず帰っていくパーティも結構いるようだ。
それなりの金額をとっているってことなんだろう。
払えない場合、そのまま帰る人もいれば、ここで他の依頼をこなしながら金を貯める人もいるんだろうなぁ。
ボーっと受付にいる冒険者を眺めていると俺たちの順番が来た。
「お願いします」
安くは無い指定の金額を支払い、討伐の説明を聞く。
要約すると――
■ 討伐のルール
1. 五パーティずつ一組で、国のコーディネーターと共に現地へ向かう。
2. コーディネーターの判断以外での離脱は、冒険者資格を失う。
3. 戦闘以外は基本的にコーディネーターの指示に従うこと。
・
・
・
「では、出発の準備ができたら明日にでも城の方へ行って、城前の広場にコーディネーターがいますので指示に従って行動してください。
10組の人数が集まり次第、出発となります。
ちなみに夕方にはその日分の出発受付が終了しますのでご注意ください。
……ですが、さすがに今日は行かないでしょう?」
受付嬢は討伐参加証をなくすと参加できなくなるので注意するようにと言って討伐参加証を俺に渡すと、次の受付者が呼ばれた。
もちろん俺たちは直行だ。
あの見えている城に行けばいいんだろ?
腕時計は13時08分。まだまだ余裕だ。
時間的に大丈夫そうだし……
「腹も減ったし、ドラゴン退治の前にご飯にしよう」
俺たちは適当に食堂へ入り、遅い昼食をとってから城へ向かった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
王都の混雑や受付の様子など、
“冒険前の慌ただしさ”を描いた回でした。
レイラとプロムのローテーション案も、
ヒロシを巡る関係が少しずつ形になってきた感じですね。
次回はいよいよ城へ向かい、討伐隊の準備が本格化します。
ここから物語がまた動き出すので、楽しみにしていてください。
感想・ブクマ・評価などいただけると励みになります!




