第47話 居酒屋で宴会&次の目的地決定
第47話になります!
今回は、ヒロシたちが居酒屋「蛍烏賊」で打ち上げ。
ただの食事会……のはずが、酒が入ると全員テンションが壊れ、
気づけば“観光ついでのドラゴン退治”が“世界征服後の妄想会議”にまで発展するという、
完全にいつものノリの回です。
キャラ同士の距離感や、酔った時の本音(?)がポロポロ出てくるので、
ゆるく楽しんでもらえたら嬉しいです。
それでは本編どうぞ!
◆◆ 居酒屋・蛍烏賊 ◆◆
俺の店だ。
ゼノス一家も利用している、王室御用達の店!
……と言えば聞こえはいいが、実際は「俺の店だから安心して来てるだけ」である。
王室御用達(自称)だが、嘘ではない。
人が沢山きすぎたら困るので別に宣伝もしないけど。
ちなみにゼノスと二人で飲む時は、ほぼこの店。
名前の由来は俺の好物の蛍烏賊だが、この国は海に面していないので海産物はほぼ無い。
名前負けしているのが悲しい。
だが、店の作りもメニューも日本式!
異世界における俺の癒しスポットである。
引き戸を開けて店内に入る。
「いらっしゃいませ~!」
店員の元気な声が響く。
お、今日も教育が行き届いているな。
俺の店だけど。
「五名様ですか?」
可愛い店員のお姉さんが声をかけてきたので頷くと、テーブル席に案内された。
「ご注文お決まりになりましたら、お呼びください」
元気よくお辞儀して去ろうとする店員さんを呼び止める。
「お姉さん、とりあえずビール四つにオレンジジュース一つで」
俺はそう言って、メニューをルファスとレイラに渡す。
ルファスとキャスカ、レイラとプロムが絵入りメニューを見ながらワイワイしていると、ビールとお通しのホウレン草のおひたしが運ばれてきた。
ついでに簡単に注文も入れておく。
俺たちはジョッキを手にした。
「みんな、今日はお疲れさんでした! 明日からもよろしく! では、乾杯!」
「乾杯!」
ジョッキがぶつかり合い、宴会スタート。
焼き鳥、肉じゃが、ハンバーグ、サラダ……次々と料理が運ばれてくる。
みんなでつつきながら会話も酒も進む。
「この肉じゃがって…… おいしいですわ!」
キャスカがほっぺたを押さえて感動している。
……キャスカが、どさくさに紛れて酒飲んでる。
「キャスカ、それ酒と一緒に流し込むもんじゃないからな?」
注意するが、キャスカは聞いていない。
……ルファス。
隣に座ってるキャスカが酒飲んでるのに気づかないお前の方が驚きだよ。
「ヒロシ様、このサラダ……シャキシャキです!」
プロムが嬉しそうに言う。
「うむ、シャキシャキだな!」
俺もシャキシャキを噛みしめる。
「ヒロシ、シャキシャキしか言ってないわよ」
レイラがツッコんでくる。
いいじゃないか、シャキシャキなんだから。
「ところで、俺たちは現在Eランク。だが、実力的にはもっと上だろ?」
ワインを飲みながら話を切り出すと、みんなが耳を傾ける。
「でだ、ランクアップのためにセガル王国に行こうと思うが……どうだ?」
俺の言葉に、みんなの手が止まる。
「……ドラゴン退治ですか?」
ルファスが言った。
冒険者ギルドで依頼書を一緒に見たからな。
「そうだ、ドラゴン退治! 通常ランクEの俺たちじゃ受けられない依頼だが、今回はランクフリー!
しかも成功すれば一気にランクアップだ!」
俺が力強く言うと、
「怪しすぎるわよ」
キャスカが冷静に水を差してきた。
睨んでやる。
「確かに、ドラゴン相手にランク低い者まで参加可能って、おかしいわね。
……まるで、冒険者をドラゴンに食わせるためみたい」
レイラまで言い出した。
弱腰だぞ!
……と思ったら、みんな頷いてる。
「単純に人手が足りないのかもしれないじゃないか?
観光気分で行って、無理そうならやめりゃいいだけだよ」
俺の言葉に、みんなの緊張がふっとほぐれた。
「それもそうね。依頼自体が無理言ってるんだし、どんなもんか見に行くだけ行ってみる?」
キャスカが言う。
「観光目的で行っても良いわね」
レイラが提案。
「楽しそう!」
プロムが胸を揺らしながら賛成。
揺らすな。俺の理性が揺れる。
「ダメ元ですからね」
ルファスがワインをグイグイ飲みながら笑っている。
お気楽、深く考えない。
これが俺の仲間の良いところ!
「よっしゃ! お前ら、観光も含めて決定でいいな? 行くぞ?」
俺が立ち上がると、
「おー!」
全員、酒でテンションが上がっている。
「ドラゴン倒したらどうなるのかしら?」
レイラがワクワクしながら言う。
「そりゃあ、英雄扱いだろ!」
俺が胸を張る。
「英雄になったら、銅像が建つかも!」
プロムが目を輝かせる。
「ヒロシ様の銅像……胸板が……!」
プロムが妄想で胸を押さえている。
「まあな、俺だぞ!
銅像の一つや二つ建って当然です!」
ぐびぐびカバカバ酒をあおる俺。
「銅像か……僕のは剣を掲げてるやつがいいですね」
ルファスがワイン片手に語り出す。
「私はお兄様と手を繋いでる銅像がいいですわ!」
キャスカが言う。
「価値がさがる、やめとけー」
俺がツッコむ。
物凄い顔でキャスカに睨まれた。
「ヒロシの銅像は……きっと唐揚げ串持ってるわね」
レイラが笑う。
「なんでだよ!」
俺が叫ぶ。
「だって、いつも食べてるじゃない」
「確かに」
「確かに」
「確かに」
「バカの一つ覚えですわ」
全員に頷かれた。
俺は唐揚げ串の男なのか……?
それと、どさくさでバカとかいうなキャスカ。
「ドラゴン倒したら、王様から褒美が出るかも!」
「金貨1000枚!」
「いや、城一つ!」
「いやいや、国ひとつ!」
「いやいやいや、世界ひとつ!」
「お前ら酔ってんだろ!」
俺が叫ぶ。
ヤバい。このテンションの奴らの相手してられねぇ。
もっと飲んで、俺もべろべろになろう。
「ヒロシ様、私を世界を手に入れたら第一夫人に」
「プロム!? お前どさくさに何を言って!?」
「レイラ様、第一夫人だからと何時までもデカい顔をされても困ります。
まあ、胸は控えめでらっしゃるけど」
「ひかえめってプロム! 胸を張って勝ち誇った顔をするな!
ヒロシ~プロムがいじめるぅ」
「俺を巻き込むな!」
「キャスカ!? お前は兄貴の隣に立つ気満々か!?」
「ルファス!? お前は何も言わないのか!?」
「僕は……ヒロシさんの国の軍師で」
「乗っかるな!」
店内がカオスになってきた。
「景気づけだ! 今日は夜通し飲むぞーー!」
「おおおおおお!!」
店内に俺たちの声が響き渡る。
こうして、俺たちの“観光ついでのドラゴン退治”は、
いつの間にか“世界征服後の妄想会議”にまで発展し、
蛍烏賊の店内には、俺たちの笑い声がいつまでも響いていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
今回は、完全に宴会回でした。
ヒロシの店「蛍烏賊」での飲み会は、やっぱりカオスになりますね。
ドラゴン退治の話をしていたはずが、
気づけば銅像だの国だの世界だの、話がどんどん大きくなっていくあたり、
このパーティの“ノリの良さ”と“危なさ”がよく出ていたと思います。
次回は、いよいよセガル王国へ向けて出発。
観光なのか、ドラゴン退治なのか、はたまた別の何かが起きるのか……
ヒロシたちの旅は、まだまだ騒がしくなりそうです。
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