第41話 装備発注と新メイド
いつも読んでくれてありがとうございます。
今回は装備発注と、新メイドとの遭遇回です。
本来なら戦力強化のための真面目な一日なのですが、ヒロシは相変わらずで、軍事開発部の後は城内で“新しいメイド探し”に夢中になっています。
読者の皆さんは慣れていると思いますが、レイラは慣れていません。
今回もまた、ヒロシの未来に不穏な影が差します。
◆◆ 軍事開発部へ ◆◆
晩餐会の翌日。
俺はルファスとキャスカを連れて、軍事部門開発部へ向かった。
軍事開発部は、城の軽キャン格納庫の隣にある最重要施設だ。
入口には24時間体制で守衛が立ち、厳重なチェックが行われている。
「……では、ノガミ様達の装備品のご要望は承りましたので、製造部と連携して早急にご用意させていただきます」
主任が深々と頭を下げる。
「そんじゃ、頼んだぞ! お前達が最高と思うものを造ってみせてくれ!」
期待を込めて言った。
俺たちが出した要望は――
ルファス
・ロングソード(軽くて攻撃力・耐久力が高い)
・フルプレート(軽くて防御力・耐久力が高い)
レイラ
・弓(長距離狙撃用と短距離連射型)
・露出高めで防御力の高い防具
キャスカ
・マジックロッド(魔法少女仕様)
・マジックローブ(魔法少女仕様)
ノガミ ヒロシ
・武器:棒があるのでいらない
・防具:カッコいいコート(防御力高め)
……まあ、アバウトだが、開発チームを信じての発注だ。
さらに俺は冒険者チームの制服も発注した。
日本の海軍将校みたいなカッコいいやつを希望したら、開発陣が「?」って顔をしたので、絵を描いたり説明したり、近年まれに見る努力をした。
これで武器防具の調達は完了。
あとは待つだけだ。
次は技術向上だが――
「レイラ、ルファスとキャスカの訓練頼んだぞ」
俺はキリッとお願いした。
「それと、俺はゼノス王と打ち合わせがあるので、本日は失礼する」
レイラの冷たい目を見るのが辛いので、足早にその場を離れた。
「……打ち合わせって、どうせ飲みに行くんだから」
レイラのため息が聞こえた気がした。
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◆◆ 城内ブラブラ ◆◆
ゼノスの部屋に行くと、ゼノスとマルスが難しい顔で話していた。
「……忙しそうだね」
邪魔しないように退散。
やることがなくなった俺は、城内をブラブラする。
「お、あの娘可愛いな」
「あの娘はお尻が良いね!」
「あの娘は……」
メイド達を観察しながら歩く。
こういう時間も悪くない。
「!」
見たことのないメイドを発見した。
前にいたメイドは全員チェック済みだ。
レイラの制裁で半殺しになりながらも、可愛い子は全員覚えている。
なのに、知らない顔……?
これは調査が必要だ。
ハンターの目になった俺は、メイドへ向かって歩き出す。
「ほう……カローラよりデカいな」
「腰のくびれ……レイラ並み」
「顔は綺麗系……クールビューティーか?」
「背が高い……モデルみたいだな」
完璧じゃないか。
ターゲットロックオン。
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◆◆ メイド逃走 ◆◆
そのメイド――プロムは、ヒロシに気づいていた。
(なんか変な男が近づいてくる……)
プロムは掃除の手を止め、早足で離れようとする。
「あっ!気づかれた?
ちょっと待っ―― 逃がすか」
メイドを追う俺は急ぎ足になる。
(足音が近づいて……)
プロムは不審者から離れるため、早足から走り出した。
「なっ!」
メイドがダッシュしやがったので、当然俺も走る。
プロムとヒロシが全力疾走で廊下を駆け抜ける。
(なんなの?なんで追ってくるの?)
走るプロムは、視線の先にいた人物に助けを求めた。
「メイド長!助けてください!」
メイド長はプロムを見ると、クルリと踵を返して逃げた。
(なんで!?)
助けてくれないメイド長への疑問を持ったプロムだが、それよりも後ろからの不審者。
「何で追ってくるのよ〜!」
「なんだよ、すげぇ足速いな!」
俺も限界だが、死ぬ気で走る!
そして――追いついた!
プロムはハァハァ言って座り込んでいた。
俺も膝ガクガク限界だった。
「そんじゃ、セクハラ行きますか!
お~っと、手がすべったぁーー!」
ぴとっ。
触った。
抵抗なし。
(もしや、誘ってるのか?)
俺は自然に、偶然を装って、揉む。
モミモミモミモミ……
素晴らし――
ドゴォッ!!
背後から鈍器で殴られたような衝撃。
体がはじけ飛ぶ。
俺は床を数回バウンドして止まった。
倒れながらもプルプルしながら顔を上げる。
城に暴漢、レイラに報告を……
「レ、レ、レイラーー!!」
血まみれで叫ぶ俺。
真っ赤なのに真っ青だ。
コツコツとレイラの足音。
「ヒロシさん、打ち合わせ、楽しそうね」
笑顔のレイラが怖い。
「ハ、ハハ……」
逃げねば。
「メイド長!」
レイラの声を受けたメイド長が無言で俺の足を掴む。
何しやがる!
「やめてぇぇぇ!!」
俺は引きずられ、レイラの前に連行された。
「ヒロシ、後でじーっくり、お話しましょうね」
……終わった。
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◆◆ レイラの部屋へ ◆◆
「プロム、お前が何者かは自室で聞く。一緒に来い」
レイラはプロムを連れて歩き出す。
俺は、ひとまず助かった。
そういう事で、ここはひとまず退散と
……と思っていたのだが、
「ひっ」
レイラが振り返ってこっちを見ている。
「ヒロシは、後でね」
ですって。
ニヤリとレイラが薄く笑って言った。
まあ、わかってた。
わかってましたよ!
「ハハハ…… ですよね」
逃げても無駄だと俺は悟った。
新メイド・プロムの初登場でしたが、ヒロシのせいで初手から逃走劇になりました。
レイラの制裁もいつも通りで、もはや恒例行事のようなものです。
物語としては、プロムが“ただのメイドではない”という伏線が置かれた回。
ヒロシの行動は褒められませんが、結果的にスパイ発見に繋がったので、ある意味で役に立っていると言えなくもないです。
次回はプロムの正体が明らかになります。
引き続き読んでいただければ嬉しいです。




