第39話 晩餐会と暗殺者(前編)
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
今回は ヒロシ、ついに晩餐会へ突入! の回。
久しぶりの帰還で気が緩んだのか、
レイラとの再会でエネルギーを使い果たしたのか、
ヒロシは最初からテンションも体力もおかしいです。
そして晩餐会は豪華、雰囲気は最高……のはずが、
酒が回りすぎて地獄絵図に突入します。
さらに、
“あいつ”が動き出す。
ヒロシは酔ってるし、
ルファスは気づいてないし、
ゼノスは酒を捨ててるし、
レイラは強すぎるし、
もうカオス。
それでは本編どうぞ。
◆◆ 自室にて ◆◆
「レイラ……ずっと抱きたかったよ……」
「……私も、ヒロシが欲しかった……」
久しぶりの自室。
扉を閉めた瞬間、張りつめていたものが一気に弾けた。
互いに求め合い、何度も絶頂を迎え、迎えさせた。
そのたびに回復薬(小)を飲むという、我ながらどうかしてる体力勝負。
レイラの肌の温度、息遣い、甘い声。
全部が懐かしくて、全部が愛おしい。
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◆◆ 晩餐会へ ◆◆
シャワーを浴び、ドレスアップして会場へ向かう。
「やっぱ家は落ち着くわ〜」
「そうね、ヒロシ……」
レイラは少し眠そうだ。
そりゃあれだけヤればな。
露出多めのドレス姿がまた色っぽくて、正直もう一戦したい。
会場に入ると、まるで結婚披露宴のような豪華なセッティング。
天井のシャンデリアが眩しく、テーブルクロスは真っ白。
壇上にはゼノス、カローラ、マルス、ルファス、キャスカが並んでいた。
「わりぃ、遅れた?」
「まだ始まってない」
ゼノスが小声で教えてくれる。
やがてグルジットが司会を始め、ゼノスがスピーチ。
王としての言葉を堂々と述べる姿に、胸が熱くなる。
……こいつ、本当に立派になったな。
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◆◆ 宴会開始 ◆◆
宴が始まると、俺のところにひっきりなしに酒が注がれる。
右から左から、次々と杯が差し出される。
「お、おう……ありがとう……」
すでにベロベロだ。
ふとゼノスを見ると――
後ろのバケツに酒を捨ててやがった。
おい、早く言えよ!!
レイラはガンガン飲んでるのに平然としている。
エルフって酒強いのか?
それともレイラが異常なのか?
酔いがひどい。
視界がぐにゃぐにゃして、床が波打って見える。
「……ん?」
ナイフを持った奴が、ルファスに近づいてるように見える。
いや、見えるんじゃない。
本当に近づいているんだ。
よかった、酔ってて見間違いしたのかと思っ――
「って、ダメだろ!!」
気づいた瞬間、身体が勝手に動いた。
テーブルに飛び乗り、皿を蹴散らしながら走り出す。
ナイフを持った暗殺者が俺に気づいて走りやがった!
ちょっと待って、こっちの都合も考えろ!
「走るな!!」
暗殺者に向かって怒鳴る。
こっちは限界なんだよ! 本当に。
でも急げ、俺。
やっぱ、限界。
止まったら吐く。
いや、走ってても吐きそう。
それもこれも、ナイフもってるアイツが悪い!
気持ち悪い!
でも行かなきゃ!
ルファス達は俺が守る!
間に合った!
行くぞ!
バッ!
「食らえぇぇぇ!!」
俺の渾身の飛び蹴りだぜ!
暗殺者が俺に気づいたようだが、遅い。
俺の勝ちだ!
飛び蹴り――のつもりだった。
本当にそのつもりだった。
だが。
ゴツンッ!!
「いだぁぁぁぁ!!」
蹴るどころか、飛び上がった俺はバランスを崩し……
結果、自分の頭を床に叩きつけた。
世界がぐるんと回る。
胃が逆流する。
「うぇっ……ごぉろぉろぉろぉ……!」
盛大に吐いた俺。
もう止まらない。
涙も出る。
鼻水も出る。
最悪だ。
いや、最悪なのだが、それよりも……
「ルファス……ま、まかせ……た……」
そこまで言ったところで、
視界が真っ暗になった。
俺はそのまま、気絶してしまった。
ここまで読んでくれてありがとう!
ヒロシ、まさかの 飛び蹴り未遂 → 自爆 → 吐いて気絶 という、
主人公とは思えない散り方をしましたが、
あれはあれでヒロシらしいですね。
でも、あの一瞬の行動がなかったら――
ルファスは本当に危なかった。
酔ってても、情けなくても、
ヒロシは“守る時は守る男”。
次回は、
暗殺者の正体、そして晩餐会の後始末。
ルファスとキャスカの心境も大きく揺れます。
そしてヒロシは……
続きは第40話で。




