第3話 空間収納チート発動! 軽キャンが倉庫になった
第2話を読んでくださりありがとうございます。
ヒロシは戦わない。努力もしない。
ただ軽キャンで走り、コーヒーを淹れ、タバコを吸うだけ。
しかしその裏で、魔物たちは本能的に震え上がっていた——。
空間収納のチートぶりと、ヒロシの“無自覚な魔力”が世界に影響を与え始めます。
軽キャンピングカーが、軽快に森の中を走っていく。
舗装された道路なんてもちろん無いが、
軽くて小回りの利く軽キャンは、こういう獣道の方がむしろ得意だ。
「いや〜……軽キャンって偉大だな」
ハンドルを握りながら、俺はしみじみ呟いた。
そろそろ休憩したいと思っていたところで、
木々の切れ間に小さな広場が見えた。
「よし、ここで一息つくか」
軽キャンを停め、外に出る。
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折り畳みテーブルと椅子を出し、
インスタントコーヒーの準備をしながら、
俺は軽キャンの後ろに取り付けてあるサイクルキャリアのボックスを開けた。
「……ん?」
次の瞬間、俺は叫んだ。
「な、なんだコレ!!」
ボックスの内部が、まるで底なしの倉庫のように広がっていた。
女神が言っていた“空間収納”だ。
「ウヒョーー!! やったぜ! これで車内が広くなるぞ!」
俺は大喜びで、車内のかさばる荷物をどんどんボックスへ放り込んでいく。
「まだまだ、全然余裕じゃないか!」
何度も往復し、ようやく車内がスッキリした頃には息が上がっていた。
「……先にテーブル出しといて正解だったな。疲れた体で準備すんのはマジでだるい」
ヤカンに水を入れ、コンロにかける。
椅子に腰を下ろし、タバコに火をつけた。
湯が沸くまでの静かな時間。
異世界でも、こういう瞬間は変わらない。
——ただし。
ヒロシ本人は気づいていないが、
彼の周囲の空気が、ほんのり揺らいでいた。
森の奥では、魔物が一匹、
その気配に触れた瞬間、尻尾を巻いて逃げ出していた。
(な、なんだ今の……!?
あの場所……近づいちゃいけねぇ……!)
魔物たちは本能で理解していた。
——あそこには“ヤバい何か”がいる、と。
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「暇だし……やってみるか!」
俺は思い立って叫んだ。
「ステータスオープン!」
目の前に半透明の画面が現れた。
テンプレ展開だが、実際に見ると感動する。
種族:人間
名前:野上 博志
LEVEL:50
体力:500/500
魔力:5000/5000
スキル:女神の加護
軽キャンピングカー補修
???(自動付与)
「……ん?」
最後の“???”が気になったが、説明文は出てこない。
それよりも、レベルと魔力の数字が気になった。
「レベル50って……俺、何かしたっけ?」
異世界に来てから戦闘なんて一度もしていない。
魔力5000という数字も、何を意味しているのか分からない。
「……まぁ、女神の加護ってやつの影響だろ」
俺は深く考えるのをやめた。
説明書を読まないタイプなので気にしない。
ステータス画面が消えたその頃——
魔王城に残っていた“魔力の残滓”が、
ゆっくりと消えていった。
勇者と魔王が最後に放った膨大な魔力が衝突し、
中和され、無属性の魔力となって漂っていたものだ。
その魔力は、女神の加護が付与された軽キャンを通じて、
安全な形に変換され、ヒロシのステータスへと自動的に吸収されていた。
——本人は、まったく気づいていない。
そしてこの“無自覚な魔力垂れ流し”が、
次に出会う者たちを震え上がらせることになる。
ステータスを開いたらレベル50。
魔力5000。
何もしていないのに強くなっていくヒロシ。
その理由は、魔王城で吸収した“魔力の残滓”。
本人は気づかないまま、周囲に威圧感を撒き散らす始末です。
次回は、ついに異世界住民とのファーストコンタクト。
しかしヒロシは完全に不審者扱いされます。




