第38話 凱旋(後編)
いつも読んでくれてありがとう。
今回はいよいよ ヒロシ、ゼノス王国へ凱旋! の後編。
久々の帰還でヒロシのテンションは上がりっぱなし、
わちゃわちゃ感が全開の回になってます。
そしてついに――
ゼノス、マルス、カローラとの再会!
それでは本編どうぞ。
◆◆ ゴルソン城・軽キャン専用ゲート ◆◆
街の中心部にそびえる我が家――ゴルソン城が見えてきた。
久しぶりの帰還に、胸の奥がじんわり熱くなる。
言語化は難しいが、まあ“嬉しい”。それで十分だ。
軽キャン専用ゲートへ向かうと、守衛が直立不動で待っていた。
巨大な門の前に停車。
若返った説明をまたしなきゃいけないのか……と思ったが、
レイラが軽く手を上げて「開門」と告げると、
門はゆっくりと開いていった。
どうやら話は通っていたらしい。
楽でいい。
後ろのルファスとキャスカが驚いているのも可愛い。
専用通路を進み、軽キャン基地――格納庫へ到着。
中は相変わらず広大で、大小さまざまなキャンピングトレーラーがズラリ。
冒険者仕様から王族仕様まで、まるで展示会だ。
この光景を見るとテンションが上がる。
「はい、到着です。ルファス、キャスカ、降りるぞ」
車を降り、レイラと手を繋いで歩く俺。
後ろではルファスとキャスカが口をパクパクさせて固まっていた。
「会長ー! 会長ー!!」
遠くから、長身の中年男性が全力疾走でこちらへ向かってくる。
ノガーミ商会の現社長、グルジットだ。
「ハハハ、グルジットも若いな。さあ、みんな早く部屋で休もう」
無邪気に走る姿が微笑ましい。
やっぱり家は落ち着く。
ルファスとキャスカにも家の中を案内してやらないとな。
料理が口に合えばいいが……
レイラともイチャイチャしたいし。
「レイラ、今日から二人っきりの時間を大事にしようね」
「もう、ヒロシったら」
耳まで真っ赤にして可愛い。イヒヒ……。
「ちょ、ちょっと待ってください! 会長ー!!」
「ん? なんだ?」
振り返ると、グルジットがフラフラになりながら走ってきていた。
「いや、走り方がもう限界の人!」
歩いてるのか走ってるのか分からない。
見てるこっちが心配になる。
「ぜぇ〜……ぜぇ〜……はぁ……っ」
目の前に来たが、息が上がりすぎて言葉になっていない。
「若くないんだから無理するなよ」
「なら会長達も……ハァ……少しは……ハァ……近づいてきてくださいよ!
しかも、あっちに行こうとしてたでしょ!」
「ああ、悪い悪い。で、何?」
「いや、何って!」
文句を言いながらも駆けつけてくれるあたりが可愛い。
「ヒロシ、走ってきてくれたのに“何”は無いでしょ」
レイラに言われ、確かにと反省。
「グルジット、お疲れさん。あとで回復薬あげるから許してくれ。
それで、何か用? ……グルジット?」
俺の顔を見たまま固まっている。
「おい、どうした?」
「若い……会長? ですよね?」
「あ、そうだった」
忘れてた。
グルジットと初めて会った時より今の俺の方が若いんだった。
「軽キャンのおかげよ!」
レイラが胸を張る。
「レイラ、流石にその説明で――」
「……なるほどぉ!!」
即納得。
いや、そんな簡単に信じるなよ。
「毎回それでいけるんだ……?
おい、お前らはどう思――」
後ろを見ると、ルファスとキャスカはまだ口をパクパクさせていた。
鯉か、お前たちは。
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◆◆ 王の間へ ◆◆
グルジットの案内で、最高幹部専用の廊下を進む。
「懐かしいな。変わってないねぇ」
壁には豪奢な絵画や武具が並び、床は磨き上げられた大理石。
帰ってきたんだな……と実感する。
「おかえりなさいませ」
メイド達が一斉に最敬礼。
やっぱ家のメイドは可愛い。癒やしだ。
鼻の下が伸びてるのは自覚してる。後でこっそりチェックしよう。
「そういや、経営は順調か?」
「万事順調です!」
グルジットが胸を張る。
「頼もしいな、本当に」
「いえ、会長に託されたのですから、必死です」
「無理すんなよ。
それと悪いけど、後で武器防具を発注するから軍事開発部に連絡しといて」
「承知しました!」
「レイラも、訓練教官の手配よろしく」
「うん、休んでからやるね」
そんな話をしているうちに、王の間へ到着した。
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◆◆ ゼノス王国・王の間 ◆◆
「ヒロシ!」
「おじちゃん!」
「ノガミさん!」
ゼノス、マルス、カローラが勢いよく駆け寄ってくる。
俺も思わず走り出した。
……ああ、帰ってきた。
胸が熱くなる。泣きそうだ。
俺たちは、家族だ。
熱い抱擁を――
「って、お前誰ぇ?!」
ゼノスが急ブレーキ。
不審者を見る目はやめろ。傷つく。
「……ヒロシだけど……」
「え? ああ……うん……そう……」
感動の再会が一瞬で台無し。
「軽キャンのおかげさ!」
「そうか! 軽キャンのおかげか!」
即納得。
万能だな、軽キャン。
説明の手間が省けたので良しとする。
「ゼノス、しっかり王様してるみたいだな!」
「まあ何とかやってるよ」
ゼノスは立派に王様をやってくれていた。
マルスも国家運営を頑張ってくれたらしい。
良い子だよ、本当に。
「こちらの方々は?」
「ああ、パーティーメンバーだ!」
「ルファス・ヴァルファ、妹のキャスカ・ヴァルファです」
ルファス達が礼をする。
育ちが悪いのに無理して礼儀作法してるのが可愛い。
「フフフ、良い。面をあげよ」
「何であんたが言うのよ!」
キャスカが即ツッコミ。
ゼノスは笑って受け入れてくれた。
マルスはルファスの名を聞いた瞬間、
ほんの一瞬だけ表情を変えたが、すぐに笑顔に戻った。
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「今日、お前の帰国を祝う晩餐会すっけど形式ばってるからな。
今度二人で飲みに行こうぜ!」
「よっしゃ!
いい回復薬手に入れたんだ。
じじいになったお前でも負担なく飲めるから、ガンガン飲もうぜ!」
「お前の方が酒弱いのに言うじゃないか。
よし、どんだけ強くなったか見てやる」
ゼノスと肩を組む。
この瞬間、ようやく“帰ってきた”と実感した。
ここまで読んでくれてありがとう!
ヒロシの帰還、無事(?)に完了しました。
ゼノス達との再会シーンは本来しんみりするはずなんだけど、
ヒロシが若返ってるせいで全部持っていかれるという……
まあ、彼らしいと言えば彼らしい。
次回は――
晩餐会。
そして暗殺者が……。
続きは第39話で!




