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第37話 凱旋(前編)

いつも読んでくださりありがとうございます!

今回はついに――

ヒロシ一行、ゼノス王国へ凱旋します。


 軽キャンは、軽快に今日も旅路を行く。

 森の木々が流れるように後ろへ飛んでいき、窓から入る風は少し冷たいが心地よい。


 俺達はゼノス王国に向かっていた。


 ゼノスとカローラはもう50歳近いだろう。

 マルスは俺が国を出たときに20歳くらいだったから、今じゃ23歳くらいか。

 正確な年齢は知らないが、みんな年をとっただろうなぁ……


 変わらずに、元気にやってるだろうか?


 フフフ、若返った俺を見たらビックリするかな?

 あいつらの驚く顔が目に浮かぶ。


 俺は懐かしい思い出を振り返りながら運転した。



◆◆ 少し前、森の中 ◆◆


 休憩中、俺はみんなに宣言した。


「ゼノス王国に行く。そこで、みんなの武器防具を、この世界で最強クラスの物で揃える」


 ルファスが首を傾げる。


「ゼノス王国?」


「前のゴルソン王国だよ。今はゼノスが王様だから、ゼノス王国!」


「あー! 新興の商業国の。うちの国ともノガーミ商会を通して交易がありました」


 ルファス、詳しいな?

 お前、意外と勉強家だよな。


「ゼノス王国は、商業国として稼いだ莫大な金でミスリルとかの希少資源をバンバン買ってるし、武器防具開発も盛んだ。軍隊もガンガン強くしてっからな。質だけで言えば世界最強! と、思う」


 俺は胸を張った。

 どうだ、まいったか、尊敬しろー。


「何であんたがそんな詳しいのよ」


 キャスカが言う。

 ほんとバカだねお前は。


「俺がノガーミ商会の会長だからに決まってんだろ?

 しっかりしろ、キャスカ」


 やれやれ、と言ってやった。


 ……あ。


 秘密にしてたんだった。


「……」


 俺の額から汗がダラダラ流れる。

 くそっ、もういいや。どうせゼノス王国行ったらバレる。


「ノガーミ商会の関係の人かもとは思ってましたが、伝説の商人ノガミは貴方だったんですね」


 ルファスがキラキラした目で俺を見てきた。

 ふふ、素直で可愛い奴だ。


 それに比べてキャスカは――

 胡散臭そうな者を見る目をしている。

 おい、やめろ。


 ……後で玉ねぎの刑に処す。



 そんな事もありつつ、俺達は数日をかけてゼノス王国の近くまで来ていた。


 途中で魔物も大量に狩ったし、魔石も山ほど回収した。

 レベルも上がったし、俺達は確実に強くなっている。


「後、もうちょっとだ!」


 アクセルを踏み込む足に力が入る。

 さぁ、凱旋だ!




◆◆ ゼノス王国・関所 ◆◆


「見ろ! ゼノス王国だ」


 森の中に、要塞のような巨大な門が姿を現した。

 高い石壁、鋼鉄の門、見張り台には獣人の兵士達が立っている。


 懐かしい……

 俺が作った国じゃないけど、俺が育てた国だ。


 軽キャンを守衛所に横付けし、窓を開ける。


「お疲れ」


「貴様! 何故ノガミ様の軽キャンピングカーに乗っている!」


 若返った俺だと気づかないらしい。

 まあ、そりゃそうだ。

 昔の俺は、もっと……こう……おっさんだったし。


「レイラ、説明してきて」


「了解」


 レイラが守衛所へ向かい、丁寧に説明してくれる。

 守衛達は最初こそ警戒していたが、レイラの説明を聞くと一気に態度が変わった。


「ノガミ様!? 本物の!? 若返って……?」


 遠くから聞こえる守衛達のざわめき。

 うん、まあ、驚くよな。


 しばらくして通行許可が出た。


 門を抜けると、中世ヨーロッパのような街並みが広がる。

 石造りの建物、広い道路、行き交う商人達。

 活気に満ちている。

 露店からは香辛料の匂いが漂い、商人達の呼び声が響いていた。


 通りすがりの商人が俺を二度見して、首を傾げる。

 若返った俺だと、そりゃ分からんよな。



「すごい……これが商業国の力……」


 ルファスは呆然と呟いた。


「綺麗ですわ……」


 ルファスもキャスカも目を見開いていた。

 お前らの母国ヴァルファ帝国も立派だったが、ここも負けてないだろ?

 なんだか、誇らしい気持ちになった。


「まずは家に寄るから」


 俺はスピードを上げた。

 懐かしさと安心感。

 実家に帰省した時のそれと同じ気持ち。


 ――帰ってきたぞ、ゼノス王国。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回は ゼノス王国への帰還回(前編) でした。

“帰ってきた感”をしっかり味わっていただけたなら嬉しいです。

次回の後編では――

城への到着、グルジットとの再会、そして王族との感動(?)の対面

が描かれますので、ぜひ続きもお楽しみに!

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