第34話 ゴブリン軍、誕生す(中編)
いつも読んでくださりありがとうございます!
今回は 「ゴブリン軍、誕生す(中編)」 です。
ヒロシの感動的なスピーチで覚醒すうゴブリン達。
読者諸兄もハンカチをご用意ください。
◆◆ ゴブリン集落での対峙 ◆◆
俺達が集落の前に来ると、ゴブリン達がギャーギャー喚きだした。
耳がキーンとする。うるさい。
焚き火の煙、獣臭、湿った土の匂い。
ゴブリンの集落は、まさに“野生そのもの”だった。
「静まれ! 武装解除して降伏しろ!
抵抗しないなら殺さない!
ここの責任者は前へ!」
平和的解決をはかって――
ズバァッ!!
数匹が突っ込んできたが、ルファスが即座に対処。
まるで風が通り抜けたように、ゴブリンが倒れていく。
「ひっ……」「ギャ……」
さっきまで騒いでいたゴブリン達が、一気に静かになった。
ルファスの剣技は、ゴブリンにとって“理解不能な恐怖”らしい。
「ん?」
奥には巨大なゴブリンがいた。
筋肉の塊、牙、骨の装飾。
いかにもボスだ。
ここは一つ、リーダー同士、平和的に話し合いといきたいところだが――
「そこのデカいの! お前だ! ちょっとこっち来い!」
呼びかけた瞬間、突進してきた。
「来るぞ!」
「任せてください!」
ルファスが一閃。
ゴブリンキングは倒れた。
「……早っ」
「弱かったですね」
静まり返る集落。
俺はメガホンを構え直す。
ここからが本番だ。
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◆◆ ヒロシの鼓舞スピーチ ◆◆
「聞け、ゴブリン達!」
俺の声が森に響く。
ゴブリン達がビクッと肩を震わせる。
「お前たちのボスは弱かった!
だが、それは“お前たちが弱い”って意味じゃない!」
ざわつくゴブリン達。
中には涙目の奴もいる。
「お前たちは、ずっと負け続けてきた。
奪われ、踏みにじられ、笑われてきた。
お前達、それでいいのか?」
ゴブリン達が互いに顔を見合わせる。
“そんなこと言われたの初めて”みたいな顔だ。
「今日で終わりだ!
負け続けるのは、もう終わりだ!
子供に、孫に、そしてその先の子孫に――
“誇りを持って語れる戦い”を見せてやれ!」
ゴブリン達の目が変わる。
さっきまで怯えていたのに、今は燃えている。
「立て! 武器を取れ!
俺と共に戦い、誇りを取り戻せ!
お前たちは弱くない!
今日ここから――“勝つ側”になるんだ!」
ルファスが拳を突き上げる。
「ゴーブーリン! ゴーブーリン!」
その声に呼応し、ゴブリン達が拳を振り上げる。
「ゴーブーリン! ゴーブーリン!」
集落が揺れるほどの大合唱。
俺は思わず鳥肌が立った。
「よーーし、いくぞ、お前ら!」
「うおぉーーー!」
ゴブリン達が武器を掲げ、うなり声を上げた。
「お前達に戦いがどういうものか叩き込む。いいな!」
「うむ!」
ルファスが頼もしすぎる。
俺は喉が渇いたので、軽キャンでティータイムに入った。
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◆◆ ゴブリン軍、整列 ◆◆
「整列!」
ルファスの号令で、ゴブリン達がビシッと並ぶ。
さっきまで野生の群れだったのに、軍隊みたいだ。
武器を持つ手は震えているが、
その目は真剣そのもの。
「ノガミ様、ゴブリン軍準備整いました。
ささ、ご指示を」
「うむ!」
俺は大きく頷く。
「目標、オークの集落!
長年に渡り、我らゴブリン族を苦しめてきたオークに正義の鉄槌を!
いざ、出陣!」
「うおおおおーー!!」
軽キャンを先頭に、ゴブリン軍が進軍を開始した。
森の中を進むゴブリン達は、
さっきまでの雑な動きとは違い、
まるで“訓練された兵士”のように見えた。
「ルファス、お前……軍隊の経験でもあるのか?」
「いえ、ありませんが……こういうの、好きなんです」
ルファスが少し照れながら言った。
意外な一面だ。
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◆◆ オーク集落へ進軍 ◆◆
「ノガミさん、前方にオークの集落です!」
「よし、止まれ!」
俺は双眼鏡で確認する。
粗末な木の柵。
焚き火の煙。
そして――捕らえられた女性たちが小屋に閉じ込められている。
「可哀相に……非道なり。許せぬ」
俺は右手を上げ、振り下ろす。
「攻撃開始! 突撃ーー!」
「うおおおお!」
ゴブリン達が叫び声をあげて突撃した。
◆◆ ゴブリン軍 vs オーク軍 ◆◆
最初の衝突は、まさに“肉と肉のぶつかり合い”だった。
オークの棍棒が振り下ろされ、
ゴブリンが地面に叩きつけられる。
「ギャアアッ!」
だが、倒れた仲間の上を踏み越え、
別のゴブリンが飛びかかる。
「ギィィィッ!」
短剣がオークの腕に刺さり、
オークが怒り狂って振り払う。
その隙に、別のゴブリンが足に噛みつく。
「グオオオオッ!」
オークが暴れ、地面が揺れる。
ゴブリン達は弱い。
だが――
数が多い。
そして“今日だけは逃げない”。
「ノガミ様のためにィィィ!」
「誇りを取り戻すんだァァ!」
叫びながら突っ込むゴブリン達。
その姿に、俺は胸が熱くなった。
「お前ら……やるじゃねぇか!」
◆◆ オーク側の反撃 ◆◆
「グルルルル……!」
オークの一体がゴブリンを片手で掴み、
そのまま地面に叩きつけた。
ドガッ!!
「ギャッ……!」
別のオークは棍棒を横薙ぎに振り回し、
ゴブリン数匹をまとめて吹き飛ばす。
「ギャアアアア!」
ゴブリン達の悲鳴が響く。
「ノガミさん! ゴブリン達が押し返されています!」
「くそっ……! 頑張れお前らぁぁ!」
俺は軽キャンの屋根に立ち、
両手を振り回して叫ぶ。
「怯むな! 前へ出ろ!
今日負けたら、また明日も負けるんだぞ!」
「ギィィィッ!!」
ゴブリン達が再び突撃する。
「三匹で一体を囲め!
正面は囮、左右から刺すんだ!」
ルファスの指示に、ゴブリン達が素早く動く。
「ギャッ!」「ギャッ!」
オークの足を狙って攻撃し、
オークが膝をついた瞬間――
「今だ! 頭を狙え!」
「ギィィィィ!」
ゴブリンが飛びかかり、
オークの首に短剣を突き立てた。
ドサッ……
「おお……倒したぞ!」
ゴブリン達が歓声を上げる。
「やるじゃねぇか、お前ら!」
俺は思わずガッツポーズをした。
その時だった。
森の奥から、地鳴りのような咆哮が響いた。
「グオオオオオオオッ!!」
筋肉の塊のような巨体。
丸太のような棍棒。
血走った目。
「……あれ、オークキングて奴じゃね?」
「間違いありません。最上位個体です!」
オークキングが棍棒を振り回すたび、
ゴブリン達が吹き飛ぶ。
「ギャアアアア!」
「ひぃぃっ!」
戦線が一気に崩れ始める。
「ノガミさん! ゴブリン達が押し返されています!」
「おいおいおい! 強すぎだろ!」
ここからが――本当の勝負だ。
今回は ゴブリン軍 vs オーク軍の前半戦でした。
ヒロシの鼓舞で奮い立ったゴブリン達が、予想以上に頑張ってくれましたね。
しかし――
最後に現れた“オークキング”が、戦場の空気を一気に変えました。
どうなる次回?!
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次回もよろしくお願いします。




