第32話 王様が殺害命令出した頃、俺たちは冒険者登録してた
いつも読んでくださってありがとうございます。
今回は、
「帝国のシリアス展開」 と
「ヒロシ達のギャグ展開」
が同時進行する回です。
王様が重い決断を下している裏で、
ヒロシ一行は――
冒険者登録で大騒ぎ。
この温度差が楽しんでいただけると思います。
それでは本編どうぞ。
ワイルドボアの解体を終え、肉と素材を軽キャンに積み込んだ俺たちは、森を抜けて南へ向かった。
その頃――。
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◆◆ ヴァルファ14世の居城 ◆◆
重厚な扉が静かに開き、王の間に緊張が走る。
「……戦況の報告は以上になります。
ですが――ルファス皇子様とキャスカ皇女様の足取りは、いまだ掴めておりません」
重臣が深く頭を下げた。
玉座の上で、ヴァルファ14世は長い溜息をつく。
二人が失踪して一ヶ月。
このまま何事もなければ良いが、
もし帝国内の不穏分子に利用されれば……
あるいは他国に担ぎ上げられれば……
面倒どころでは済まない。
「……引き続き探索を続けよ。
そして――見つけ次第、始末しろ」
静かだが、冷たい声だった。
「ははっ!」
重臣たちは一斉に頭を下げる。
こうして、兄妹への“殺害命令”が正式に下された。
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◆◆ その頃、ヒロシ一行は ◆◆
「おじいさん、ありがとう! 冒険者ギルドはあっちね!」
「気をつけて行くんじゃぞ~」
人の良さそうなジジィに場所を教えてもらい、俺は軽キャンを走らせる。
ブロロロロ……
「ルファスは、なんで冒険者になりたいんだ?」
運転しながら聞くと、ルファスは少し考えてから答えた。
「……そうですね。
だって、自由じゃないですか」
その言葉に、俺は涙が出そうになった。
読者諸兄は覚えているだろう。
俺は勝手に、ルファスとキャスカが
貧しい家に生まれ、暴力親から逃げてきた
という妄想設定をしている。
だからこそ――
「そうか……じゃあ俺もなる!」
胸を張って言った。
保護者として、そばにいてやらねばならん。
このやさぐれ兄妹を更生させ、立派な冒険者にしてやるのだ。
「お兄様の真似するな、ですわ」
キャスカが刺すような視線を向けてくる。
イラッ。
「ヒロシがなるなら私もなるわ」
レイラが微笑んで言った。
……天使か?
「おい、キャスカも冒険者になるか?」
仲間外れは可哀想なので、優しい俺は聞いてやった。
「貴方に言われなくても、そのつもりですわ」
この……可愛くない奴め。
だが嫌いじゃない。
「キャスカ、冒険で危険な時は軽キャンかトレーラーに逃げるんだぞ。
約束できるなら許可してやる」
「誰が貴方の許可なんて――」
軽キャンがギルド前に到着した。
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◆◆ 冒険者ギルド・出張所 ◆◆
中に入ると、がらんとした空間にテーブルと椅子が点在していた。
人がいない。
だが空いてて良い!
まずは受付だ。
俺に任せろ。
「あの、初めてなんですが……」
受付のおばさんに声をかける。
……年増だが、胸が大きいムチムチした女性だ。
中身がおっさんの俺的には――
有りだ!
俺は舐めるように見てしまった。
「ノガミさん、手続き進めますね」
ルファスが慌てて割り込んで受付を進めてくれた。
「この玉に触れればいいんですね」
ルファスが玉に触れると、受付のおばさんが確認し、
「犯罪歴もないようですし、問題ありません。登録しますね」
レイラ、キャスカも同じように登録が進む。
……しかし、でけぇ。
俺は受付のおばさんの胸を見ていた。
「……触ってください。貴方、早く触って」
ん?
俺は声に反応してしまった。
ボケーっとしてた!
危ない、危ない!
変な奴だと思われる――
では、お言葉に甘えて……
「きゃぁぁぁーー!!」
おばさんが叫んだ。
「うるさいぞ」
俺は注意してやった。
常識のない女だ。
その後、俺はレイラに半殺しにされた。
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◆◆ ギルド外・ベンチ ◆◆
「でも、みんな登録できて良かったですね」
ルファスが明るく言う。
俺は回復薬(小)を飲みながら答えた。
受付のおばさんはこっちを見ようともしないし、
レイラはまだ殺し屋の目をしている。
キャスカは震えている。
(俺が殺されかけたのを見たからだろう)
……いや、納得いかん!
触れと言われたから触っただけだ!
軽い勘違いで、ちょっとソフトタッチしただけじゃないか!
……いや、言えないだろうヒロシ。
俺は次の回復薬(小)を飲んだ。
「よーし……」
立ち上がり、みんなを見る。
「俺たちは冒険者になった!
だが今はまだEランク!
これからガンガン仕事して、ランクを上げていくぞ!」
「ノガミさん! 頑張りましょう!」
ルファスが俺の手を握る。
しらーっとしている女性陣と、
やる気満々の男性陣。
……気のせいだ!
「やるぞーー!!」
俺が叫ぶと、
「ひぃぃっ!」
受付のおばさんがビクッとした。
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◆◆ 武器防具店「グドン」 ◆◆
レイラとルファスは真剣に武器を選んでいる。
よしよし、良いの選べよ。
俺も主人公っぽい武器を探す。
……あった!
身長ほどのデカい剣!
店主にキープしてもらう。
さて、キャスカは――
どうせ決められないだろうから見てやるか。
キャスカは魔法少女みたいなスティックを見て悩んでいた。
あちゃー、攻撃力ねぇだろ。
俺が選んでやるよ。
棒の先に鎖、その先にトゲトゲ鉄球――
モーニングスターだ。
暴力的なキャスカにはこれがお似合い。
「キャスカ、お前、馬鹿だから決められないだろ?
優しい俺が選んでやったからな!」
キャスカは受け取り――
そのまま俺の頭に鉄球をぶつけてきた。
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◆◆ 購入後 ◆◆
レイラは弓と、俺が選んだ露出多めの防具。
ルファスはロングソードと実用的な防具。
キャスカは魔法少女スティックとフリフリ衣装。
ルファスが鼻息荒くなっていたので見ないようにした。
俺はデカい剣を諦め、
適当に堅そうな棒と黒いロングコートにした。
統一感ゼロのパーティだが、
実力があれば問題ない!
「今日は景気づけに旨いもん食って飲もうぜ!」
「賛成ーー!」
みんなが声を揃えた。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
今回は、
- 王様の殺害命令という重い展開
- ヒロシの“触れと言われたから触っただけ”事件
- キャスカの鉄球アタック
- パーティの武器購入回
と、シリアスとギャグが交互に襲ってくる回でした。
ヒロシ達はEランク冒険者としてスタートしたばかりですが、
帝国側はすでに本気で動き始めています。
この温度差が、今後どう影響していくのか――
ぜひ楽しみにしていてください。
次回もよろしくお願いします。




