第23話 ゼノス王国誕生と旅立ち
いつも読んでくださりありがとうございます。
いよいよ第一部の最終話です。
ヒロシが異世界に来てから積み重ねてきた日々――
国を作り、人を育て、レイラと共に歩んできた時間に、ひとつの区切りがつきます。
しんみりしつつも、ヒロシらしい軽さも忘れない、
そんな“旅立ちの回”になっています。
それでは、第一部ラストをお楽しみください。
ゴルソンを奴隷紋で縛ってから、さらに月日が流れた。
俺が還暦を迎えた頃――
お飾りの王、ゴルソンが老衰で静かに息を引き取った。
「……死んだか」
ぽつりと呟いた俺の肩に、レイラがそっと手を添える。
「ヒロシ……寂しい?」
「いや、別に仲が良かったわけじゃないしな。
ただ……時代が変わるんだなって思ってさ」
レイラは柔らかく微笑んだ。
「ヒロシは、ずっと変わらず優しいよ」
その言葉が胸に沁みる。
(ああもう……可愛い……)
◆ ◆ ◆
ゴルソンの死を受け、
俺たちは“次の国王をどうするか”という議題で幹部会議室に集まった。
ゼノスが真っ直ぐな眼差しで口を開く。
「ヒロシ、俺がやるよ」
「お前が国王か……」
「ヒロシが作った国だ。
でも、これから先は俺たちの世代が守っていくべきだと思う」
カローラが涙を浮かべながら頷く。
「あなたなら……大丈夫よ」
マルスも胸を張って言った。
「お父さん、僕も手伝うから!」
ゼノスは照れくさそうに笑った。
「ありがとう。
……ヒロシ、任せてくれ」
俺はしばらく黙っていたが、
やがて静かに頷いた。
「……ああ。
ゼノス、お前なら安心して任せられる」
その瞬間、レイラが俺の手を握り、そっと囁く。
「ヒロシ……素敵だよ」
(ああもう……可愛い……)
◆ ◆ ◆
こうしてゼノスが新たな国王に就任し、
国名も――ゼノス王国へと改められた。
一方の俺は、還暦を迎えたこともあり、
国家運営から身を引くことにした。
「ヒロシさん、商会はどうするんです?」
番頭のグルジットが不安げに尋ねてくる。
「お前に任せるよ。
俺は会長職に退いて、現場は全部任せる」
「ひ、ヒロシさん……!
ありがとうございます!
全力でやらせていただきます!」
グルジットは涙を流しながら土下座した。
真面目な男だ。
こいつなら商会を堅実に回してくれる。
ゼノス王国にも、これまで通り協力するよう伝えてある。
これで、俺がいなくても国は回る。
◆ ◆ ◆
そして――
俺は決めた。
「レイラ、旅に出よう」
レイラは目を丸くする。
「旅……?」
「そうだ。
今までずっと働き詰めだったしな。
これからは……二人で、ゆっくり世界を見て回りたい」
レイラはしばらく黙っていたが、
やがてふわりと微笑んだ。
「……うん。
ヒロシと一緒なら、どこでも行きたい」
(ああもう……可愛い……)
◆ ◆ ◆
こうして俺たちは、
軽キャンピングカーに荷物を積み込み、
ゼノス王国を出発することになった。
「ヒロシ、準備できたよ」
助手席のレイラが嬉しそうに笑う。
「よし、行くか」
エンジンをかけると、軽キャンがゆっくりと動き出す。
城の前には、
ゼノス一家、グルジット、
そして大勢の国民が見送りに来ていた。
「ヒロシ! 元気でな!」
「レイラさんも、気をつけて!」
「おじちゃん、また遊びに来てね!」
皆が手を振ってくれる。
レイラは窓から身を乗り出し、
大きく手を振り返した。
「みんな、ありがとうー!」
俺はハンドルを握りながら、
胸の奥がじんわりと熱くなるのを感じていた。
(……いい国になったな)
レイラがそっと俺の肩に頭を預けてくる。
「ヒロシ……これからもずっと一緒だよ」
「当たり前だろ。
レイラがいないと、俺は何もできないからな」
レイラは真っ赤になって俯いた。
「……もう……ヒロシのバカ……」
(ああもう……可愛い……)
軽キャンは、
ゆっくりと国境へ向かって進んでいく。
ブロロロロローー……。
エンジンの低い唸りが、
新しい旅の始まりを告げていた。
俺とレイラの、新しい日々の始まりだ。
第一部 完
第一部、なんとか完走しました。
いや〜、長かったような短かったような……。
気づけば国を作ってました。
気づけば還暦でした。
気づけばレイラが可愛かったです。
第二部、もっと楽しんでもらえるよう、頑張りますので、
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