第22話 ゴルソンとの面会
いつも読んでくださりありがとうございます。
今回は、ゴルソンとの面会回です。
ヒロシの軽妙な語りと、メイドさんの容赦ない鉄拳が炸裂します。
シリアスになりそうでならない、
でも国の裏側はしっかり動いている……そんな回になっています。
それでは本編どうぞ。
レイラが国王を呼びに行ってからしばらくして、
俺はゴルソン城の一角――“面会室”と呼ばれる部屋へ向かった。
ここは、テレビドラマで見る刑務所の面会室を思わせる造りだ。
アクリル板こそないが、代わりに分厚い強化ガラスが据えられ、
会話は壁に埋め込まれた配管を通して行う仕組みになっている。
……なぜこんな物騒な場所で会う羽目になっているかというと、
以前ゴルソンが逆上して俺に襲いかかってきた際、
レイラが“半殺し”にした事件があったからだ。
以来、レイラからは
「ゴルソンと会う時は絶対ここで」
と厳命されている。
レイラが言うなら従うしかない。
俺は命が惜しいからな。
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面会室で所在なく歩き回っていると、
ドアが開き、小柄なメイドがゴルソンを引きずるようにして入ってきた。
「よっ! 久しぶり。元気か?」
俺は明るく声をかけた。
優しいな、俺って。
「これが元気に見えるか……?」
ゴルソンは見るも無惨な姿だった。
髪はボサボサ、服は破れ、顔には青あざが散っている。
ゴンッ。
「口の聞き方に気をつけろ!」
小柄な美少女メイドが、容赦なくゴルソンの頭を殴りつけた。
……いや、暴力はダメだよ。
まあ、済んだことをとやかく言っても仕方ないか。
メイドが可愛い。
おっと、そうじゃない。今はゴルソンだ。
「前にも言ったけどさ、ゴルソン君には国王として前に出てもらって、
俺たちは裏で国家運営してあげてるよね。
で、何か問題が起きた時は、国王である君が全部責任を取る。
国王だもん、当然だよね?
そんな大事な役職につけてあげたのに、何が不満なのやら」
俺は丁寧に説明してあげた。
ホントに優しいな、俺って。
「こんなの傀儡ではないか! ……ないですか」
後ろのメイドの鉄拳制裁を恐れ、慌てて言い直すゴルソン。
「大丈夫だって~。そんなにヘマしないから~」
俺は安心させるように言った。
実際、大きな問題もなく順調に国家は回っている。
「貴様など、叔父上の魔王軍が来たらぶっ殺される!」
またそれか。
毎回言うな、こいつ。
「ああ、はいはい。それよりさぁ……また謀反起こす気?」
「!」
ゴルソンが目をそらした。
図星だな。
「まだ協力者がいたんだ~?」
証拠はすでに押さえてある。
いや、押さえてあるというか――
過去のゴルソン派は強制労働で国の発展に協力してもらっているが、
今回の謀反計画の協力者たちも、現在しっかり強制労働に励んでいただいている。
残る処分は、ゴルソンだけだ。
「簒奪者め! 殺してやる!」
またキレた。
「貴様、ご主人様になんて口を」
美少女メイドが殴るためにゴルソンの胸ぐらを掴む。
「ああ、暴力はダメだよ!」
優しい人格者の俺が止め……遅かったか。
暴力からは何も生まれない。
平和が一番。
まあ、済んだことだ。
さてと、本日の目玉いきますか!
「ゴルソン、やっぱお前ダメだわ。
ってことで、奴隷紋の刑に処す」
俺が告げると、ゴルソンは何か喚き散らしたが、
メイドが容赦なくボコボコにして引きずっていった。
静かになった面会室で、仕事を終えた俺は深くため息をつく。
「ふう……」
奴隷紋――
異世界モノでよくある、主人に逆らえなくなるアレだ。
さっきの会議で存在を知った。
なんで誰も教えてくれなかったのか聞いたら、
「聞かれなかったから」
だそうだ。
なんでも聞かないとダメだな。
ゼノスにゴルソンの過去の悪事を調べさせたところ、
なんと、賄賂を受け取っていたらしい。
……まあ、俺も渡してたし、それは忘れよう。
他にも、村娘をさらって殺していたという噂もあった。
噂でもなんでも、悪人だ。
うん、悪人!
こんな感じで屁理屈をこねて気が楽になっていたので、
今回、奴隷紋にすることに躊躇はなかった。
てへっ。
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さて、そんなことより――
今日は久々にゼノスと飲みに行くし、
その後はストレス発散に風俗でも……。
ウヒョーー!
……などと浮かれていた俺は知らなかった。
この瞬間、
“魔王の甥であるゴルソンを討伐した”
という事実が、
後に世界を揺るがす大事件へと繋がることを。
……すまん、嘘だ。
カッコつけてみただけだ。
まあ、別に大した影響などないだろう。
ゴルソンが死ぬわけでもないし。
ちなみに魔王は――
第1話でヒロシがアレしたアレだ。
前向きなところが俺の長所なのだろうから、もう考えないようにしよう。
今日も頑張った。
楽しい飲み会が待ってる、うん。
「……やっぱり、最初はビールかな」
炭酸は腹が膨れるからどうするか迷ったが、
やはり、最初はビールだよな。
仕事とプライベートを切り替えられる大人、
それがヒロシなのだ。
……どうかと思うが。
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月日は流れ――
世界は新たな動きを見せ始める。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
ゴルソン、相変わらずの扱われっぷりでしたね。
ヒロシの“優しさ(?)”と、メイドさんの“正義の拳”が冴え渡る回でした。
次回は、今回の処分を受けて国がどう動くのか、
そしてヒロシの日常がどう転がっていくのか――
ゆるく、でも確実に物語が進んでいきます。




