第21話 ゴルソン王国の日常
いつも読んでいただいて、ありがとうございます。
“ゴルソン王国の日常”を描くゆるめの回です。
ゴルソン王国の首都ゴルソン。
その中心にそびえる巨大な城――通称、ゴルソン城。
かつてはゴルソン領主の居城だったが、
今では俺とレイラ、ゼノス一家が暮らす“家”になっている。
「家ってレベルじゃねぇだろ」とゼノスに言われたが、
住んでいる人数は少ないし、実質シェアハウスみたいなものだ。
今日は、城の幹部専用会議室で定例会議が行われていた。
「これにて、本日の最高幹部会、会議を終える」
豪華な椅子に座った俺が締めると、
レイラは静かに頷き、ゼノスは伸びをし、
カローラはメモを片付け、マルスはランドセルを背負って立ち上がった。
最高幹部会――
この国の最高意思決定機関であり、
国の運営を“適当に”決める場所である。
出席者は以下の5名。
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● 最高幹部会 議長
国家最高指導者
国家戦略科学技術部長官
ノガミ ヒロシ(俺)
● 最高幹部 副議長
国家国防治安部長官
レイラ
● 最高幹部
国家情報諜報部長官
ゼノス
● 最高幹部
国家農林水産保健部長官
カローラ
● 最高幹部
小学生
マルス
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……うん、最後の肩書きだけおかしい。
だがマルスは頭が良いし、計算もできるし、
何より可愛いので問題なし。
「それじゃあ、おじちゃん。僕、友達とバドミントン行ってくるね!」
マルスはルンルン気分で部屋を出ようとする。
「おいマルス、国王呼んできて」
「えぇぇぇ!? 今から!?
僕、約束してるんだよぉ!」
地団駄を踏むマルス。
可愛い。
お願いして悪い事したな。
「国王なら、私が呼んでくるわ」
レイラがすっと立ち上がった。
流石は、綺麗で可愛くて気が利く俺の愛する嫁さんだ。
「助かる。頼むよ」
「レイラさん、ありがとう!
それじゃぁ、行ってくるねーー!」
マルスは嬉しそうに手を振って走っていった。
「マルスー! 夕飯までには帰りなさいよー!」
カローラが慌てて叫ぶ。
レイラ、マルス、カローラが出ていき、
会議室には俺とゼノスだけが残った。
ゼノスがコップを持って、クイクイっと飲むジェスチャーをする。
「ヒロシ、今日、久々にどうだ?」
「お、飲みにか? いいな。
最近忙しかったし、久しぶりに行くか!」
「よし、後で声かけるわ」
ゼノスと飲むのは久しぶりだ。
アイツも嬉しそうだし、俺も楽しみだ。
その前に、ちゃちゃっと済ますか。
俺は仕事の為、会議室を出た。
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大理石の廊下に、コッ、コッ、コッ……とヒールの音が響く。
レイラが幹部専用廊下を歩いてくると、
メイド達はその音だけで背筋を伸ばし、
姿を確認した瞬間、全員が深くお辞儀をした。
レイラはこの城の“主の伴侶”であり、
国防治安部のトップでもある。
つまり――
この城で一番怖い人だ。
レイラは小柄なメイドの前で立ち止まり、
前を向いたまま静かに言った。
「あなた、ゴルソンを呼んできなさい。
主人が呼んでるわ。急いでね」
「は、はいっ! レイラ様!」
メイドは震えながら深く頭を下げ、
走っていった。
レイラはそのまま優雅に歩き去る。
コッ、コッ、コッ……
その後ろ姿を見て、メイド達は小声で囁いた。
「レイラ様……今日も美しい……」
「そして怖い……」
「でも優しい……」
「いや怖い……」
……うん、分かる。
俺も最初は怖かった。
今は可愛いけど。
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さて、レイラがゴルソンを連れてくるまで少し時間がある。
「ゼノスと飲みに行く約束もしたし、
今日は久々にゆっくりできそうだ」
……と思っていたのだが、
このあと俺は、
ゴルソンとの面会でとんでもない騒動に巻き込まれることになる。
ここまで読んでくださりありがとうございます!
今回は、国のトップたちの“ゆるすぎる日常”を描きました。
激動の建国回のあとだからこそ、
こういう緩い空気がより映える気がします。
レイラの威厳と可愛さ、
マルスの天真爛漫さ、
ゼノスの兄貴感、
カローラの母性。
ヒロシの周りにいる“家族”の温かさが、
この国の強さそのものなんだと思います。
そして次回は――
いよいよゴルソンとの面会で事件が発生します。




