第18話 ノア商会との出会い
いつも読んでいただいて、ありがとうございます。
ついにヒロシたちは、ゴルソン最大の商会――ノア商会の門をくぐります。
今回は、商売の物語が大きく動き出す回。
レイラの不安と、ヒロシの妙な自信、ゼノス一家のツッコミが入り混じりながら、
初めての本格的な交渉が始まります。
ここから先は、ヒロシの“商人としての第一歩”。
ぜひ楽しんでください。
ノア商会の巨大な屋敷の前に立った瞬間、
レイラが俺の袖をぎゅっと掴んだ。
「ヒロシ……本当に、ここに入るの……?」
「大丈夫だ。俺がついてる」
そう言って胸を張った瞬間――
「ヒロシ、胸張るとお腹出てるよ」
マルスが無邪気に刺してきた。
「おいマルス、そこは触れるな! 俺の繊細な部分だ!」
「繊細なのはお腹じゃなくて心だろうが」
ゼノスがツッコむ。
レイラはクスクス笑っている。
(可愛い……)
門番がこちらを見ている。
俺は深呼吸して、堂々と門をくぐった。
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ノア商会の中は、外観以上に豪華だった。
磨かれた床、整然と並ぶ商品棚、忙しそうに動く従業員たち。
「す、すごい……」
レイラが俺の腕にしがみつく。
(ああもう可愛い……)
俺は調子に乗って胸を張った。
「レイラ、俺の後ろにいれば安心だぞ!」
「ヒロシ、さっきから胸張りすぎてお腹が――」
「マルス! それ以上言うな!!」
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カウンターには猫族の女性が座っていた。
「いらっしゃいませ。ご用件をどうぞ」
猫耳がピコピコ動いていて可愛い。
俺は思わず見とれてしまった。
「……ヒロシ?」
レイラの声が低い。
「いや違う! 猫耳が動いてただけで! 俺はレイラ一筋で!」
「ふーん……?」
レイラが頬を膨らませる。
(やばい、嫉妬してる……可愛い……)
「売りたい物があるんだけど、見てもらえる?」
俺が言うと、ゼノスが塩の入った袋をドスンと置いた。
猫族の女性は丁寧に袋を開け、小皿に塩を移して確認する。
レイラは俺の袖をぎゅっと掴んでいる。
(ヒロシ……大丈夫だよね……?
私、信じてるから……)
その手の温もりが、妙に嬉しい。
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「こちらは物が良いので、銀貨13枚。いかがでしょうか?」
「……!」
俺は思わず息を呑んだ。
レイラは俺の腕にしがみつき、目を輝かせている。
「ヒロシ、すごい……!」
(レイラに褒められると、なんか……嬉しいな)
「わかりました。売ります。あと、こんなのもあります」
ゼノスが胡椒の袋を置いた。
猫族の女性が袋を開けた瞬間――
「……っ!!」
目を見開き、固まった。
次の瞬間、血相を変えて奥へ走っていった。
「お、おい……?」
ゼノスが不安そうに呟く。
「大丈夫だ。胡椒は希少品なんだろ。驚くのも当然だ」
俺は落ち着いて言ったが、内心はガッツポーズだ。
レイラは俺の袖をぎゅっと掴んだまま、
不安そうに俺を見上げている。
「ヒロシ……なんか怖い……」
「大丈夫だ。俺がついてる」
レイラは少し安心したように微笑んだ。
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別室に通され、豪華なソファーに座る。
ゼノス一家は落ち着かない様子だ。
「ヒロシ、どうなってるの?」
レイラが心配そうに聞いてくる。
「任せとけ」
根拠はないが、俺は自信満々に言った。
レイラはその言葉に安心したように微笑んだ。
(ああもう可愛い……)
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やがて、ドアが開き、タヌキの獣人が入ってきた。
「お待たせいたしました。私はこの商会の主、ノアです」
タヌキ、可愛い。
「私はノガミ ヒロシです。ヒロシと呼んでください」
握手を交わす。
レイラが俺の袖を引っ張って小声で言った。
「ヒロシ……タヌキさん見てニヤニヤしないで……」
「してないしてない!」
(してたかもしれない)
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ノアは胡椒を確認し、深く頷いた。
「大金貨150枚で、いかがでしょうか?」
ゼノス一家が息を呑む。
レイラも目を丸くしている。
だが俺は――
「ノアさん、我々をバカにしてるのですか?
この量と質で、その金額はないでしょう」
呆れたように言った。
レイラが俺の袖をぎゅっと掴む。
(ヒロシ……かっこいい……)
ノアの眉がピクリと動く。
「では……大金貨180枚では?」
「大金貨200枚」
ノアが難しい顔をした。
やばい、やりすぎたか?
レイラが不安そうに俺の手を握る。
「ヒロシ……」
その手を握り返し、俺は静かに言った。
「我々は、定期的に今回と同じ量の胡椒を提供できるルートを持っています」
ノアの目が大きく開かれた。
「……!」
「次回からは大金貨150枚で構いません。
今回は、あなたが信頼できる相手か見極めるための取引です」
ノアはしばらく考え――
「わ、分かりました!
今回は金貨200枚で購入しましょう!」
レイラが俺の腕に飛びついた。
「ヒロシ、すごい!!」
(ああもう可愛い……)
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金貨200枚と銀貨13枚、そして契約書が運ばれてくる。
ゼノス一家は震えながら金貨の山を見つめていた。
「す、凄い……」
「あなた、怖いわ……」
「お父さん、お金がいっぱいだね!」
レイラは俺を見て微笑んだ。
「ヒロシ、大金持ちになっちゃったね」
「まだまだこれからだ。
これは……始まりにすぎない」
レイラは俺の手を握り、そっと言った。
「……一緒に頑張ろうね、ヒロシ」
俺はその手を強く握り返した。
(レイラ……お前が隣にいてくれるなら、俺はどこまでも行ける)
読んでいただきありがとうございます。
ノア商会との初取引は大成功。
ヒロシの交渉術(?)が炸裂し、金貨200枚という破格の契約を勝ち取りました。
ここからヒロシたちの生活は大きく変わっていきます。
次回は、いよいよ“ノガーミ商会”誕生の物語へ突入。
商売、家族、そしてレイラとの関係――
すべてが加速していく成長編の始まりです。
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