第17話 レイラと迎える朝
いつも読んでいただいて、ありがとうございます。
前回、レイラがついに心を開き、ヒロシとの距離が一気に縮まりました。
今回はその“翌朝”から始まります。
甘い空気と、ちょっとしたドタバタ、そして街へ向かうための作戦会議。
最後には、物語の大きな転機となるノア商会へ向かうことになります。
「ヒロシ、起きて……」
耳元で優しい声がして、髪をそっと撫でられる感触がした。
「……ん……んん……」
布団の中でモゾモゾ動きながら目を開けると――
視界いっぱいに、レイラの顔。
昨夜、俺の腕の中で眠りについた彼女だ。
「おはよう、レイラ……」
自然と笑みがこぼれ、レイラの額に軽くキスを落とす。
レイラは布団を胸元まで引き寄せ、頬を真っ赤に染めた。
「……ヒロシ、そんな顔で見ないで……」
その照れた声が可愛すぎて、
俺の理性が一瞬で吹き飛びそうになる。
(落ち着け俺……俺は45歳……大人……大人……)
そう言い聞かせた瞬間――
レイラが布団の中でモゾッと動き、柔らかい感触が腕に触れた。
(……無理だぁぁぁぁ!!)
「きゃっ!? ヒロシ!? ちょ、ちょっと!
朝からそんなに近づかれたら……心臓が……!」
レイラが慌てて布団を押さえる。
俺は――
距離を保つ自信がなかったので、そっと離れた。
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少し遅くなったが、軽キャンをキャンピングトレーラーのところへ移動させると、
ゼノス一家が全員ニヤニヤして待っていた。
「すまん、遅れた」
連結作業をしながら言うと――
「ハハハ! 昨晩は仲が良かったようで!
ヒロシもまだまだ若いな!」
ゼノスがデカい声で言った。
「お父さん、ヒロシおじちゃんの顔テカテカしてるよ」
「マルス、それは言っちゃダメ!」
「ヒロシ、昨日の……その……楽しそうな声、外まで聞こえてたわよ」
「カローラ!? やめてくれぇぇぇ!!」
レイラは真っ赤になって俺の背中をバシバシ叩いた。
「もうっ! ヒロシのせいだからね!!」
可愛い。
いや、違う。今は仕事だ。
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街へ向かう途中、
俺は軽キャンを停めて、みんなに言った。
「よし! 今から作戦を伝える!」
ゼノスが眉をひそめる。
「……嫌な予感しかしないんだが」
「大丈夫だ! 完璧な作戦だ!」
俺は胸を張った。
「このまま軽キャンで街に入ったら、住民が驚く可能性がある。
最悪、攻撃されるかもしれない。
そこでだ――
軽キャンを軽キャンだと思わせない作戦!
名付けて『これは馬車ですよ作戦』!」
ゼノスが頭を抱えた。
「ますます嫌な予感しかしないんだが」
「おいおい、ゼノス。
ちゃんと俺の話を聞いてから判断しなさい。
馬と軽キャンをロープで繋いで、普通の馬車に見せるんだよ!」
「……無理だろ」
「いけるって! やる前から諦めるの良くないよ!」
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俺は軽キャンとゼノスの馬を牽引ロープで繋いだ。
馬が「やだやだやだやだ!」と言わんばかりに暴れる。
「ほら見ろ! 馬が拒否してるぞ!」
「だ、大丈夫だって! 馬は俺の魅力に嫉妬してるだけだ!」
「そんなわけあるか!!」
レイラは口元を押さえて笑っている。
「ヒロシって……本当にバカ……」
可愛い。
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国境の街ゴルソン。
街の入り口には獣人の兵士が数名立っていた。
軽キャンが何食わぬ顔で街へ入ろうとしたその時――
「あー、お前ら止まれ」
兵士に呼び止められた。
まさか、この完璧極まりない偽装がバレたのか?!
俺たちに緊張が走る。
兵士がゼノスに近づき、言った。
「この町に何しにきた?」
ゼノスは平然を装いながら答える。
「商売にきたのだが……何か、あったか?」
兵士は頷き、言った。
「なら商人ギルドに登録しておけ。場所は――」
「……え?」
どう見ても怪しい馬車(軽キャン)なのに、
兵士はまったく疑っていない。
ゼノスは逆に不安になっていた。
「――だから、気をつけていくんだぞ」
「あ、ああ……ありがとう」
こうして馬車偽装軽キャンは、何食わぬ顔で街への侵入に成功した。
「特に問題もなく街に入れた。
俺の作戦の勝利だ!」
軽キャンの運転席で小さくガッツポーズの俺。
ゼノスは納得いってない顔をしていたが、
実際通れたんだから気にするな。
それより、俺のおかげだ。感謝しろ!
レイラはクスクス笑いながら言った。
「ヒロシ……本当にすごいのか、すごくないのか……分からない……」
「すごいんだよ!」
「ふふっ……はいはい」
可愛い。
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街の奥へ進むと、ひときわ大きな屋敷が目に入った。
立派な看板。豪華な門構え。門番までいる。
「……ノア商会?」
ゼノスが目を細める。
「ヒロシ、あそこ……この街で一番大きい商会だぞ」
レイラが俺の袖をぎゅっと掴む。
「ヒロシ……なんか、すごいところに来ちゃった気がする……」
俺はニヤリと笑った。
「よし。最初の相手は、あそこだ」
レイラが驚いたように目を丸くする。
「えっ!? い、いきなり!?
ヒロシ……本当に大丈夫なの……?」
「任せとけ。
俺たちの未来は、ここから始まるんだ」
レイラは不安そうにしながらも、
俺の手をそっと握り返した。
(ヒロシと一緒なら……大丈夫……)
俺たちはノア商会へ向かって歩き出した。
読んでいただきありがとうございます。
レイラとの関係がさらに深まり、
ヒロシたちはついにゴルソンの街へ到着しました。
そして次回はいよいよ――
この街最大の商会「ノア商会」との初接触です。
ここから商売の物語が大きく動き出します。
ヒロシの商才(?)がどう発揮されるのか、ぜひ楽しみにしていてください。
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