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エピローグ
「ねぇ、もし同じクラスになれたらだよ」教室の窓の側で桜の花びらがとんでいる。
午前授業の放課後で静まり返った教室はこの世界に他の人が存在しないように錯覚させる。
「運命みたいだよね、引っ越した先でまた会うなんてさ。それでさ…」
君は、言葉を詰まらせているようだ。
「桜の木の下で待っていて欲しいんだ」君はようやくそう言う。
僕は口を少しだけ開く。
「意味?意味なんてないよ」
「君が学校に着いたときに私がいたら嬉しいでしょ?」
「私が先に君のこと待っているからさ、絶対に来るんだよ」
僕は小学生の時の事を思い出した。僕は優しく口を開く。
その時、隙間風が彼女の頬を揺らした。
「ありがとう、楽しみにしてるね」
高校一年生の終業式、僕は叶うはずの、叶うことのない約束をしてしまった。