閃光
「うおおおおおおおおおーーーーーー!!!」
「やあああああああああーーーーーー!!!」
魔王と侵入者の彼女は、一筋の閃光となり、大蛇となった剣に向かって弾け飛ぶ!!
『ギャギャがががががぁぁぁーーーー! 来るなら来いぃぃぃ!!貴様等ごときの力……いくらでも蹴散らしてくれるわぁぁぁぁーーーーーー!!!』
一方の対抗する剣もまた、己の力を全て総動員して迎え撃つ!!
「「でやあああああああああああああーーーーーー!!!」」
『ギャギャぎゃあああアアああああアーーーーーーー!!!』
ズガガァァァーーーーンンン!!!
天空城全体の磁場を狂わさんとする正面衝突の衝撃は、まさに戦いの決着が近いことを示唆させた!!
「「いっけえぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!!」」
『ギょワわワァァぁぁァァァーーーー!!!』
力と力、技と技、魂と魂が全身全霊がゴリゴリに削り合うなか……
『ギゃギョぎャああアアあーーーー!!!』
大蛇に姿を変えた剣がじわじわと押し始める!
『ギャぎゃギゃ! 地べたで這いずり回るしか能がない虫ケラ共が、神の剣にかなうわけがなかろぉぉぉーーーー!!』
さらに膨れ上がる圧力。それに対して彼女達は!?
「調子に乗るな無機物! 貴様みたいなガラクタに……」
「私達が負けるなんて、絶対にありえない!!」
一欠片の気後れもなく、それどころか、より一層に光輝く閃光となって突き進む!!
『ギャ! な、何だ、この力は!?』
目の前に輝く光から伝わる底知れぬ力に飲み込まれる剣。ついには……!
「「これで終わりだぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!」」
『そ、そんな、バカなぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!』
バキッギギィィィィィーーーーーー!!!
悲痛なる叫びと共に大蛇の身体は砕け、むき出しになった刀身は魂ごとへし折られて完膚なきまでの敗北を決定づけられる!!
「やったぞぉぉぉーーーーーー!!」
「やったわぁぁーーーーーー!!」
歓喜して勝利の雄叫びを上げる彼女達。その後は持てる力を余すことなく使い切ったせいか、力なく前のめりへ倒れ込んだ。
「ぜぇ、ぜぇ……なぁ、一つ訊きたいんだが、あんなボロボロになった剣でも……ぜぇ、ぜぇ……持ち帰るつもり……なのか?」
「はぁ、はぁ……冗談……はぁ、はぁ……言わないでよ……今さらそんなことする訳ないでしょ」
息も絶え絶えに言葉を交わす二人。その視線の先には、無残に破壊された剣の残骸が散らばっていた。
「さて、さすがに大丈夫だとは思うが……」
ここでいち早く息を整えた魔王が、ゆっくりと立ち上がる。
「どうしたの?」
「なぁに、ただの確認だ」
そう言って剣の側へ近寄った魔王は、槍の先で何やら用心深くつついてみる。
「ふむ。柄の部分は多少のヒビ割れが目立つだけだが、剣の命である刀身が根元から折れてるところをみると……どうやら完全にくたばってるみたいだな」
何の反応もなく安堵してると、侵入者の彼女が声をかける。
「ふ~ん、だったらもう安心ね」
「そうだな」
「…………」
「何か気になることがあるのか?」
「うん。結局この剣は、アタシの身体を乗っ取って何をしたかったのかな……ってね?」
この疑問に魔王は、少しの間を置いて答える。
「そりゃあ、普通に今の魔王を倒すつもりだったんじゃないのか」
「え?」
「そもそも剣は神が作った神器。となれば、魔王を倒すという与えられた使命……もしくはその範疇に収まる行動以外は何もしないはずだ」
「なら、私の身体を乗っ取ろうとしてたのは?」
「それこそ、魔王を倒すための範疇だったんだろうよ」
「ふ~ん、なるほどね……」
侵入者の彼女が納得したところで会話は終わり、二人はひとしきりの時間を無言で過ごす。そして……
「――――そろそろいくか?」
「……うん」
簡単な意志確認を済ませた後、いよいよ地上へ向かうのであった。




