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剣の守人  作者: なめなめ
剣の章
71/85

背中合わせ(魔王の場合)

「こ、このバカが……何をやっているんだお前は!?」

「はぁ? あなたこそ邪魔なのよ! さっさと、どかないから受け身を取り損ねたじゃない!!」


 私と侵入者の彼女が互いに(ののし)り合うなか、剣はその鋭い切っ先を向ける……


「ちっ、つまらん喧嘩はあとだ! 今はあの剣をどうにかするぞ!」

「そうね。あなたの提案通りに尻尾を巻いて逃げるにしても、あれを何とかしない限りは背中から“グサッ”ってやられかねないわ」

「……どうでもいいが、『尻尾を巻いて』という表現はやめてくれないか?」


 そんな間の抜けた会話を交わしてる最中にも関わらず、剣は猛スピードでこちらへ突っ込んで来る!


「また来るぞ!」

「わかってる!」

「あのおかしな蛇にも気をつけろ!」

「そっちこそね!」


 互いに注意喚起し合ってから、それぞれに剣の攻撃を躱す!


 『ギャギッ!?』


 すると躱された剣は、勢いのままに大理石の壁へ突き刺さる……かと思いきや?


 ガリュガリュガリューーーー!!

「な、何よあれ! ドリルみたいに回転して、どんどん壁にめり込んでるんだけど!?」


 めり込む? いや、あれは……


「違う!潜ってるんだ! ヤツは壁の中に潜り込もうとしているんだ!!」

「潜る!?」


 言葉通りに壁の中へ潜り込んでいく剣。その数秒後には……


「ねぇ、完全に姿が見えなくなったんだけど?」

「しっ! 黙ってろ!」


 ズガガ……


 壁の中から僅かに聞こえる掘削音(くっさくおん)。それが意味することはおそらく……


「気をつけろ! ヤツは壁の中を移動してるぞ!」

「え、それってどういう……」

「ヤツがどこから飛び出して来るかわからないから、警戒しろってことだ!!」

「ええ!?」


 驚く彼女に忠告しつつ、私達は背中合わせになって広間全体を見張る!


 ズガガガガ……ガッ!


「今の音は!?」

「ああ、お前の正面の壁で止まった。気を引き締めろ!」


 今にも飛び出すかもとする剣に備える……っが、ここではあることを思い出す。


「そういえば、お前……丸腰のままじゃないのか?」

「そうよ。アタシが持参した剣は、アンタに折られちゃったから……」

「ちっ、仕方ない。これを使え」


 私は自分が使っている槍を彼女へ手渡す。


「かつて、地上の全てを蹂躙(じゅうりん)し尽くそうとした者が使った槍だ。人間のお前に託すのは勿体(もったい)ないが、この際やむ得ん」


 言われて受け取った彼女は、少し複雑そうな表情で……


「色々と言いたいことはあるけど……取り敢えず感謝はするわ。けど、あなたの方は大丈夫なの?」

「問題ない。この魔王紋(まおうもん)の力さえあれば、私は無尽蔵(むじんぞう)に魔法が使えるからな」


 まぁ、その魔法があの剣に対してどこまで通じるかは未知数だが……


「ところで本気であの剣を倒すつもりなら、今度は私の策に乗ってみる気はないか?」

「アナタの策?」

「ヤツが再び姿を表す時、今までと同様に猛スピードでこちらへ向かって飛んで来るはずだ」

「それはだいたい想像してる……っで?」

「その瞬間を狙って、私が強力な魔法をヤツへ叩き込む。だから……」

「アタシがその隙を狙って、この槍で攻撃を……ってこと?」

「そういうことだ。さっきのお前が考えた作戦と同じで単純な策ではあるが、やり方としてはそれが一番成功率が高い気がする」


 まぁ仮に複雑な策を立てたとしても、付け焼き刃で上手くいくとは限らんしな。


「……了解したわ。それじゃ、お互いにがんばりましょ!」

「ああ、健闘を祈る」


 こうして反撃の準備が整った私達は、剣が姿を表すのを今か今かと待ち構える。

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