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剣の守人  作者: なめなめ
剣の章
60/85

隙(ある姫様の場合)

 満身創痍(まんしんそうい)の守人に対し、ダメージを回復させる間を与えずに攻め続けるという、我ながら卑怯な作戦を思いつてはみたものの……


「うおおおおおーーーーー!!」


 実際は獣の如き暴力的な攻撃に押され、逆にこちらが防戦一方になっている状態だった。


「くっ、羽人(オジサマ)達のダメージは間違いなくあるはずなのにこの強さ……まるで攻め入る隙がない!」


 けど隙がないなら、その隙を作るだけ。そう考えたアタシは、多少強引ながらもカウンターとなる一突きを放つ!


 ギィン!!

「なにっ!?」


 にわかには信じられなかった……何故なら、アタシが突き出した剣は守人の角によって見事に受け止められたからだ!!


「こ、こんなことって……」


 図らずも、戦いはそのまま状態で奇妙な鍔迫(つばぜ)り合いへと移行する。


「さ、さすがにやるわね守人……だけど両手で得物を握っている分、角だけのアナタよりも力関係はアタシが俄然有利(がぜんゆうり)!」


 そんな余裕を持った矢先だ。


「こっちを忘れてるわよ!」


 守人はフリーになっていた槍を短く持ち変え、アタシの右脇腹を狙ってくる!


「いけないっ!」


 寸前で気づけて後方へ跳んで逃れるも……


「一度の攻撃を躱したくらいで、安心しない!!」


 (ふところ)に素早く潜り込まれ、強力な体当たりで突き飛ばされてしまう!!


「きゃあ!」


 なす術もなく地面に倒されると、さらに間髪(かんぱつ)を入れずに錐揉(きりも)み状に回転する両足の踏みつけ攻撃が襲う!!


「ま、まずい!」


 急いで回避行動を行うも、倒された際の体勢が悪くてすぐに動けない!


「くっ、どうすれば……ハッ!」


 アタシは目の前に無数に散らばった瓦礫(がれき)破片(はへん)に注目する!


「これ……使えるかも!」


 咄嗟(とっさ)に手で握れるくらいの破片を拾い上げると、迷いなく守人へ投げつける!


「えい!」


 投げた破片は見事に守人の額へ命中。おかげで攻撃の軌道をズレせることに成功して、アタシはギリギリで身を(よじ)って難を逃れる……その直後だ!

 今まで自分がいた地面には守人の両足踏みつけが炸裂(さくれつ)する!!


 ドゴォォォーーーーン!!


 固い地面に膝下にめり込む程の破壊力には、我がことながら息を飲んだ。


「危ない危ない……これは時間をかけて一度戦略(せんりゃく)を練り直す必要が……いや、それはダメだ! 天空城(ここ)に来る前のお父様達の状況を考れば、時間をかける余裕なんてあるはずがない!!」


 そう考えたアタシは、やはり最初の作戦通りに間を与えずにひたすら攻撃をすることを決断する。


「いくわよ守人!!」


 幸いにも彼女は自らの攻撃で足場を悪くして、すぐには動けない様子。だからそこを狙って……


「遠慮なく、やらせてもらうわ!!」


 念のために前回の反省を生かし、今度は角で受け止められないように胴体(どうたい)へ切りかかる……が、守人は突然猛烈(もうれつ)な勢いで身体を独楽(こま)みたいに回転させる!


「な、何をする気!?」


 回転はさらに勢いを増し、ついにはその力を利用してめり込んだ地面から脱出!


「う、うそ!?」


 予想外の事態に対応仕切れないアタシの剣は空を切り、そのせいで身体が流されて体勢を崩す!


「とっ、とと……」


 ただちに踏みとどまって立て直そうとした瞬間、今度は守人がその隙を突く!


「し、しまった!」


 正確無比に急所へ届こうとする一撃は、アタシの脳裏に“絶体絶命”の文字が浮かび上がらせた!!

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