尻餅(四天の場合)
守人の策略により魔石を破壊されたが、それに代わるだけの“奥の手”が私にはあった!
「そ、それは!?」
驚愕する守人へ、嬉々として答える!
「そうさ! これぞ伝説級の魔石……“竜の涙”ぞえよ!!」
竜の涙……文字通りの“伝説級の魔石”ではあるが、その実態は諸刃の剣”でもある。
何故なら、竜の涙は莫大な魔力の増大を可能にする代償として、術者に多大なる負担がかかるからだ。つまり、使えば使う程に術者を破滅へ導く危険性を秘めており、使用する際は常に魔力のバランスに気遣う必要があるのだが……
「今は、そんな危険性を気にしてる場合ではないぞえ!」
よって私は躊躇することなく、竜の涙を杖に嵌め込む!
「さぁ、最初は軽く……アイスアロー!」
間違いなく軽めに放ったはずの魔法。しかし、その一撃は圧倒的な魔力量を持った巨大な氷の矢となって飛んでいく!!
「な、何ぞえ!この凄さまじいまでの威力は!?」
撃った本人すらも圧倒される強大な魔法。だが受け手である守人は、臆することなく魔王紋の力を宿す両腕を使って正面から受け止めめみせる!!
「ぬぐぐぐぐ……こ、こんなインチキな魔法で……!」
確かに竜の涙による魔力上昇率を考えたら、インチキという発言は的を射てる……が、そのインチキは守人をゴリゴリと押し込み確実に広間の壁際にまで追い込む!!
「よし! そのまま壁に叩きつけられてキレイな“押し花”になるぞえよ!!」
圧倒的な逆転劇で勝負は決する……そう思いきや!
「うおおおおおーーーー!!」
「な、何ぞえ? 守人の両腕に続き、両足にまで魔王紋が発現して……さらに力を増すぞえか!?」
「ふぬぅぅぅぅ……!」
ピシッ!
私の推測は正しく、巨大な氷の矢には大きな亀裂が走り……
「はあぁぁぁーーーー!!」
ついにはガラス細工の如く粉々に砕け散った!!
「くっ……やはり紋章を増やせば、それだけ力が増すぞえか!」
底知れぬ魔王紋の力。だがそれは……
「はぁ、はぁ、はぁ……も、守人たる者の力を……あ、甘く見るなっ!!」
竜の涙と同様に術者へ多大なる負担をかけ、その心身を激しく消耗させる!
「どうやら力の加減を間違ったぞえか。ならば、今の内にどんどん畳みかけさせてもらうぞえ!!」
確実に止めを刺すべく、今度は先程よりも威力がある魔法を発動する。
「さぁ、これで決着ぞえ……くらえ!アイスストー……!?」
瞬間、身体のバランスが大きく崩れる!
「あれ、ととと……あ!」
そしてあろうことか、そのまま地面に尻餅をついてしまった。
「いたたた……何もこんな時に……ぞえっ!?」
視界へ飛び込んできたもの……それは、足首から先が崩れた自分の右足だった!!
「な、なに!?」
切断や押し潰されたとかではない。痛みや出血もないままに、ただ子供が作った砂山みたいにボロリと崩れていたのだ!!




