ゲートの光(四天の場合)
少しだけ時間を遡った王城の地下深くにある秘密の部屋にて……
ドォーーーーンンン!!
強い衝撃と天井からパラパラと落ちてくる埃……ありがたいことに、仲間達は魔王軍を相手に未だに持ちこたえくれている。
「……どうやらやってるみたいぞえね。上の連中は」
「ええ。皆さん、がんばってくれてますね」
私は姫様と一緒に彼等の活躍に感心と感謝をしつつ、羽人が消えていった魔法陣を見つめる。
「オジサマ、大丈夫でしょうか?」
「さてね。けどゲートの光が消えてるってことは、あのバカが生きてる証拠じゃないのかぞえ?」
姫様へ言った通り、使用中のゲートは光が消える仕組みになっているみたいだった。よって、今は羽人がゲートから出発して以降は何も発光しなくなっていた。
「そうですね、あの光が消えてる限りオジサマは……えっ!?」
「どうかしたぞえか姫……様?」
何だ彼女の表情は? まるで……ハッ! 嫌な予感が働いてゲートへ視線を移す!
「こ、これは……ゲートに再び光が宿っているぞえ!!」
ゲートの光。即ち、これが意味することは……
「ア、アタシ……小さい頃にこれと同じのを見たことがあります」
「ぞえ?」
「あの騎士さんも今回と同様にゲートから剣へ挑みました……」
あの騎士? 姫様は過去にゲートが使用された現場に立ち会っているのか?
「彼はアタシに言ってくれました『キミに素敵な未来をプレゼントするためにがんばってくる』って……でも、ゲートの光と共に消えてしばらくすると……」
「消えていたゲートの光だけが戻った……という訳ぞえね?」
確認すると、姫様は悲痛な表情で頷く。
「また……また、アタシは何も出来なかった! 見送るだけで何も出来なかった!!」
床に膝をついて嗚咽を漏らす彼女。その姿は、死に行く者を止められなかったへの後悔と悲しみに押し潰される哀れな少女の姿に他ならなかった。
ただ……だからといって彼女が涙を見せることは決してない。
強さ?責任?誇り? どれが当てはまり、どれが当てはまらないかはわからないが、彼女は涙を流さず何かを決意したかのように顔を上げる。
「オネエサマ、次はアタシが行きます!!」
姫様は力強く立ち上がると、ゲートへ向かって歩みを進めようとする……しかし!
「悪いけど、次に行くのは私ぞえよ」
「え!?」
多少は申し訳なくもあったが、私は既にゲートの中に立っている。
「オ、オネエサマ、どうして!?」
悲壮感を漂わせて訊く彼女へ答える。
「羽人とは大して親しくはなかったかも知れない。でもね、それでもそれなりの付き合いがあったのは事実ぞえよ。
そう……仇を討ってやりたいと思えるくらいには……ぞえね」
ハハハ……この期に及んで何だろうね私は……
「オネエサマ、早くゲートから離れて! 今なら、まだ間に合わ……!」
「やめるぞえ!」
「…………!?」
慌てて近づく彼女を杖で制止させから言う。
「もしもの時は……頼むぞえよ」
最後に笑ってそう伝えると、私の身体は完全に光で包まれる。
「――――ふう、ここが剣がある天空城ぞえか?」
移動した先で周りを見回してみると、頑丈そうな大理石で組まれたどこかの通路であって……!?
「なにっ!?」
いきなり視界に飛び込んできたのは、角を生やした銀髪の少女。そして……その足元には何かの塊が転がる信じられぬ光景だった!!
「あ、あのバカ……どうして……!?」
高まる感情!たぎり上がる血液!! 私は一瞬にして冷静にいられなくなり……!!!
「ウインドストーム!!」
気がついた時には、ただ我武者羅に魔法を撃ち放っていた!!




