羽虫の如く(羽人の場合)
オレは守人からの怒涛の攻撃に耐えながらも、銃の装填だけは冷静に済ませ……ズキッ!
くそ……やっぱり、さっきやられたところが痛みやがる!
だが、怪我を庇ったまま戦っては当然ダメージを悟られる。よってここは、毅然とした立ち振舞いで二丁の銃を構えてみせると?
「へぇ~、何本かイってる割には、がんばるわね?」
あ~完全にバレてやがるよ。こちとら、脂汗を垂らしてまでがんばってんのに。
「ハハハ……そんなにいじめてくれるなよ嬢ちゃん。こっちだって色々と格好つけたい年頃なんだ……ぜ!」
言い終わりと同時、オレはこの戦闘始まって以来初めて自分から打って出る!
「ハッ! 何をするつもりかは知らないけど、私をガッカリさせないでよオジサン!!」
面と向かっての“オジサン”と呼ばわりにはさすがに来るものがあったが、そこは何とか飲み込み粛々と行動へ。
「さぁ! どんな戦い方をするのか見せてもらうわよ!」
「望み通りに見せてやるさ……“羽人”の戦いぶりをな!!」
吠えるオレは、通路の壁へ向かって跳ぶ!
「何!?」
「悪いな、正面切って戦うつもりはないんでね!」
跳びついた壁に足をつけると、そのまま地面と平行になった体勢で守人の横を走り抜けて背後に回り込む!
「バ、バカな!?」
「遅い!」
振り向かれるよりも早く、背後からの一斉射撃を喰らわせる!!
「ぐっ、がぐ……や、やってくれる!」
想定外の攻撃に対応し損ねる守人は、数発以上の弾をまともに受けることになる。しかし、それがダメージになるかまではわからない。
「コイツ……もしかしてオレよりダメージを隠すのが上手い? それとも、元々身体が頑丈なのか?」
疑心暗鬼になるも、空になった弾倉を素早く装填。その後は反対側の壁へ跳んでからの追撃を開始する!
「まだまだぁーーー!」
再びの壁走りからによる銃撃は、守人に反撃の機会を与えない!
「こ、この羽虫がぁ!!」
怒り任せに槍が振り回されるも、オレは彼女が口にした言葉を揚げ足とって穂先に乗っかる!
「なっ!?」
「ハハハ、何を驚いてる? 自分でオレのことを羽虫だと言ったろ?」
さすがの守人もこの妙技には絶句。はたまた見下ろされる顔にイラついたかは知らぬが、オレを振り落とそうと強引に槍を地面へ叩きつける!
「このっ!」
しかし、寸前で跳んで何事もなく難を逃れる。
「ハッハハーーーーなぁ守人さんよぉ! そんな力に頼ってばっかじゃオレは一生捕まらな……うっ!」
不意に走る脇腹への激痛!
「ま、まずいな……強がってみたところで、どうしても痛みやがる。こりゃあ長引かせると……いや、元より長引かせる訳にはいかねぇか。ここに来る前の逼迫した状況を考えれば……な!」
痛みを気力で押さえ込み、前へ出る!
「フン! バカ正直に……」
鋭い眼光で狙いすました槍の一撃が胴体へ飛んで来るのをジャンプ一番で躱すと、空中からの攻撃を加えるべく銃を構える……!?
「ハッ! こんな見え透いたフェイントに引っかかるとわね!!」
くっ、今の攻撃はわざとオレを身動きが出来ない空中へ跳ばせるため罠だったか。しかし、逆にいえば上空からだと守人の次なる狙いが読みやすい!
彼女の次なる狙い……それは間違いなく、着地する寸前になるオレの心臓だ!
「標本になって、くたばれぇぇーーーー!!」
そう、まさにこの一撃だ。オレの心臓を……命を狙う読み通りの一撃が今、放たれる!!




