ゲートの先に進む者(ある姫様の場合)
第三章(最終章)の開始です!
守人と挑みし者達による、戦いの果てにあるものとは一体!?
羽人と四天。そして、アタシの三人は城の地下深くにあるゲートの部屋へ繋がる扉の前にやって来ていた。
尚、上記以外の全ての者は城内及び、城下で猛威を奮う魔王軍の対応へ全力を尽くしている最中だ。
「――――ではこれより、ゲートを介して剣へ挑みますが……お二人共、準備はよろしいですね?」
世界二大巨頭の二人は黙って頷く。
「では……あ!」
扉に手を触れようとした時、ここであることを思い出す。
「そういえば、お父様から二人への預かり物があったんでした」
「王様から預かり物? 何ぞえ?」
「さぁ? “先払い”とか言ってましたけど?」
そう言って、まずはオネエサマに小箱を手渡す。
「どうぞ……」
受け取った箱を開けて中身を確かめてみると……
「こ、ここここれは……竜の涙ぞえか!?」
驚き固まる彼女を他所に、次はオジサマへ封筒を手渡す。
「こちらを……」
「オレの分か? ずいぶんとブ厚い封筒だな?」
オジサマは渡された封筒を乱暴に破くと、中身の書類に目を通していく……
「こ、こりゃあ、公爵の正式な任命状じゃねぇか!!」
こちらも同様の驚き方を見せているところをみると、どうやら父からの“先払い”とは、二人への報酬だったらしい。
「参ったね……こんなものを先払いにされちゃあ、本気でやるしかないぞえ」
「まったくだ。こうなったら依頼主が満足する結果を出すしかねぇぜ」
ここに来て、完全に腹を括る世界二大巨頭。彼等の目つきが明らかに変わったのがわかる。
「では、お二人共……そろそろ行きますよ!」
「ぞえ!」
「おう!」
二人の気合いに押され、アタシはいよいよゲートへの扉を開く!
ギィィィ……軋む音と共に中へ入ると、部屋中央には青色に輝く魔法陣。通称“ゲート”なるものがあった。
「あれがゲートか? ガキの沐浴に使うタライくらいの大きさだな」
オジサマの適当で的を射た例えは置いて、アタシは改めて二人へ状況を説明する。
「――――なるほど。つまりは、魔王軍がこの城を攻め落とす前に剣を手に入れてこの窮地を打破したい……そういうことぞえね?」
「ハイ。ですから、ここから先は時間との勝負にもなります!」
この言葉を聞いたオネエサマは、深刻そうな顔でゲートを見つめている。
「なるほどな。ようするに、この先のオレ達の行動が人類の命運を左右するって訳か……よし! それなら直ぐに三人で天空城へ乗り込むぞ!」
「ちょい待つぞえ」
勇むオジサマの提案に“待った”がかかる。
「どうした四天?」
「“どうした?”って……アンタ、姫様の説明を聞いてなかったぞえか? ゲートは一度につき一人づつしか使用出来ないって言ってたろ?」
「あっ!」
呆気に取られる彼に、今度はアタシが続ける。
「その通りです。二人以上でゲートが作動しないのは既に確認済みです」
「なっ、ちょっと待て! ということは、剣に挑むのは一人づつということになるのか!?」
「そう……言ってますが?」
改めて説明を聞いて、オジサマはしばらく考え込む。そして、何かを思い立ったように口を開く。
「……だったら、オレが一番手に行かせてもらう!」
これにはオネエサマが真っ先に反応する。
「羽人、アンタ!」
「あいにくオレは、レディファーストを信条にする紳士じゃないんでね♪」
軽いセリフとは裏腹に、オジサマから覚悟めいたものがひしひしと伝わってくる!
「んじゃ、お先に失礼させてもらうぜ」
ゲートへ足を踏み入れた途端、不思議な光が発せられて全身が包まれるのオジサマの姿を見て思わず……
「御武運を!」
っと告げる。だけど、オジサマからの返事は返って来ない。ただ代わりに、背中を向けたまま手を振ってくれた。
その姿が光の中へ消えていく、その瞬間まで……ずっと……




