エリア(守人の場合)
男の亡骸を処分し終えた私は、剣のある広間へ戻るために来た通路を引き返す。
ちなみにこの城には今歩いてるような通路が全部で六本が存在しており、その全てが放射状に伸びて中央の大広間へ繋がっている。
また、他の通路を使う際は一度大広間を経由して対応する必要があり、それ等の突き当たりにある扉からはエリアへ繋がっていると思われる。
尚補足するなら、思われると表現した理由は私自身が全てのエリアを確認した訳じゃないからだ。
六つのエリアの内、五つのエリアまでは何事もなく確認ができている。ただ最後の六つ目だけは、その手前にある扉に阻まれて確認できていない。
もちろん、扉を開くためには一応の努力は試みた。鍵穴らしきものを探したり、力ずくでこじ開けることだって何度も挑戦した……が、結局は何をやっても徒労に終わるだけで扉が開かれることはなかった。
よって六つ目のエリアだけは、現在も何があるのかわからないままになってる。
あと、エリアといえる場所は“ゴミ”を処分したバルコニーをはじめ、書庫、倉庫、自然、寝室……そして、例の開かずの間の六種類が存在する。
――――っで、一仕事終えた私はこのまま寝室へ戻って休もうかなと考えてたんだけど……?
「う~ん。今日は夜更かしをしたい気分だから、書庫の方で何冊か見繕っていこうかな?」
ということで、まだ見ぬ名作を求めて書庫のエリアへ足を延ばすことになった。
――――書庫のエリア。
「さぁて、今日は何を読もうかしら♪」
到着した書庫は剣の広間と同程度の広さがある大部屋。圧倒される数の本棚が立ち並び、その一つ一つの棚には様々な本が所狭しと大量に所蔵されてある。
「え~と、これはこのあいだに読んだから……」
たくさんある本の背表紙を指でなぞりつつ、目ぼしいものを探していくと……
「おっ、あったあった!」
指が止まったのは最近ハマっている続きものの小説。全千八〇〇巻もあるため、常に一、二冊は手に取る様にしている。ちなみに今日読もうとしてるのは三〇七巻と三〇八巻だ。
「あとは適当に……ん、これは?」
目についたのは、幼子が興味を持ちそうな薄い絵本だ。
「ふーん、たまにはこんな変化球もいいわね♪」
絵本を脇に抱え、さらに別の本も物色。
「これとこれと……これもいいわね!」
そうやって次々と本を取り続け、気がづけば二〇〇冊以上の本を両手で抱えていた!
「くっ……さ、さすがにこれだけ多くなると……バランスが……ととと!」
ふらつく足取りでどうにか大量の本を支えるが、正直かなりしんどい。しかし、読書へ対する熱い欲求を持つ私は寝室へ向かってゆっくりと歩み進めていくのであった。