サイクロプス(四天の場合)
五十メートルはあるかといえる一つ目の巨人こと、サイクロプス。その巨体から振り下ろされる凄まじい拳の一撃を、私と羽人はそれぞれ別方向に跳んで躱す!
「ウインドアロー!」
直後、回避ついでに放つ魔法は無数の真空の矢となって巨大な脚へ襲いかかるが!?
「ぞえ!?」
残念ながら攻撃は届くも、呆気なく弾き返されてしまった!
「ちっ! シールドとは厄介ぞえね!」
相手の姑息さには腹が立つが、ここはすぐに頭を切り替える。
「まずは、あのシールドをどうにかする必要があるぞえね」
私は杖を両手に握り直すと、シールドを破壊するための魔力を溜め始める……っが!?
「ぞえぇぇーーーー!!」
サイクロプスが蹴飛ばす瓦礫や暴れた際に発生する地響きによって邪魔され、集中する時間をまったく与えてもらえない!
「で、でかい図体のくせに面倒なことをやってくれるぞえ……」
そんな手詰まり感で困っていた時だった。
「四天殿!助太刀致しますぞ!!」
「この声は……!?」
どこからともなく現れたのは、藍色の鎧に身を包んだ騎士団長が剣を片手に立っているではないか!!
「バッ、バカ! 危ないから引っ込むぞえ!!」
忠告はしたものの、団長は無謀にも特攻を開始する!
「あのバカっ!」
容易に想像出来る彼の無惨過ぎる未来を阻止するため、仕方なく魔法を唱えた。
「ウインドストーム!」
威力を押さえた魔法により発生した竜巻は、血気盛んな騎士団長の身体を難なく上空へ。
「うおおおおーーーー!! な、何ですかこれは!?」
そのまま元の場所にまで強制送還された彼は、適当に地面に着地して辺りを見回す。
「え、え、え……?」
状況が理解出来なくなっているみたいだったが、私はそれを無視して再びシールドを破壊するための魔力を溜め直そうとするが、やはりサイクロプスの邪魔が入って思うようにいかない!
「やはりダメぞえ! あんな巨体に間近で暴れては、危なっかしくて集中できないぞえ!」
かといって、妨害を躱しながらでは余計に集中できない。そんなふうに思い悩んでいると、今しがた無謀な特攻を仕掛けた騎士団長が呼びかける。
「四天殿!」
「何だい? まだ逃げ出してなかったぞえか?」
こう言ってやると、彼は何故か誇らし気に胸を叩いて答える。
「当然です! 某は鍛えてますからな!」
自信満々に言ってるが、頭の中は鍛えてない印象を受ける。
「ところで四天殿? 先程から何かの魔法を使おうとされてるみたいでしたが?」
「ほぉ、バカな真似をする割には案外目ざとく見てるぞえね?」
意外にも利口な一面に感心してると、ここである妙案が思い浮かんだ。
「ねぇ団長さん。アンタ、足腰は丈夫な方ぞえか?」
「某の足腰ですか? まぁ、先程も言った通りで鍛えてますからそれなりには……」
「じゃあ決まりぞえ」
ゴソゴソ……
「あ、あの……四天殿? 某の肩に乗って何をなさるつもりで?」
「肩車ぞえ。アンタだって、子供の頃には親からやってもらってるぞえ?」
「え、ええ……ですが、何故に肩車を?」
「なぁに。私がサイクロプスを倒す魔法を完成させるまでの間、足代わりとなって攻撃を避け捲って欲しいだけぞえよ」
「何ですとぉぉぉーーーーー!!」
面白いくらいに狼狽する騎士団長。そんな彼に、私は優しく頭を撫でながらに言ってやる。
「死なないように頼むぞえ♪」と……




