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剣の守人  作者: なめなめ
人の章
35/85

少女の正体(羽人の場合)

 右往左往(うおうさおう)の末、ようやく長い謁見(えっけん)が終わりを迎えようとしていた。


「――――ということで、剣に挑む三人は作戦決行の明朝(みょうちょう)までに万全(ばんぜん)の準備を整えておくように。では、これにて一旦解散を……」

「ちょい待ち、王様。三人とはどういうことだい?」


 剣に挑む者は、オレと四天の二人は決定している。しかし、王の言う三人目とは一体?


「おっと、スマンスマン。紹介するのを忘れておったな」 


 ここで王は、思い出したかの様に隣に立つ例の黒髪の少女へ視線を向ける。


「さぁ、彼等に挨拶するんだ」


 促された少女は一歩前に出て口を開く。


「申し遅れました。アタシが明日、御二方と行動を共にする三人目となります。どうぞよろしくお願いします」


 深々と頭を下げる彼女の姿を見て、オレは再び訊ねる。


「嬢ちゃんが三人目?」

「ハイ、そうなりますね」


 オレと四天を軽くあしらった実力は素直に認める。だが、それはあくまでも“遊び”や“試し”での話でしかない。


「訊くが嬢ちゃん。実戦の経験は?」


 これがないでは、さすがに三人目として認めるのは厳しい。


「いえ、特にその様な経験は……ただ、市井(しせい)で行われた武闘大会では何度かの優勝を経験しております」


 つまり、実戦経験は皆無ってことか。


「……武闘大会と言ったが、具体的にどんな大会に参加してたんだ?」

「どんなって……それはちょっと……」


 少女は何故か視線を背ける。


「何だ、言えないのか?」


 せめて大会の名前や規模を知れば、最低限の実力は図れると思ったんだが。


「いえ、じつはアタシが参加していた大会というのが……その、あまり表沙汰に出来ないものばかりでして……」

「表沙汰に出来ない?」


 ここでふとある“噂”を思い出す。それはここ一、二年の間に聞いたもので、何でも十代の少女が()()()()(しょう)される裏の大会を圧倒的な実力で優勝を……待てよ!?


「ねぇ羽人? 私には裏の大会と聞い一つて思い出した噂があるぞえ」

「ああ……たぶん、オレもちょうど同じことを考えていたところだ」


 そう、オレと四天は気づいてしまった。目の前に立つ少女こそが、その噂の“元凶”であることを! そして、気づいてしまったからには必然的に……


「わ、わかったぜ嬢ちゃん。アンタが三人目になるのは受け入れるぜ」


 彼女を三人目として認めるしかない……のだが?


「ただし、確認しておきたいことがある」


 オレは少しきつめの口調で続ける。


「剣に挑むってことは、成功すれば英雄。失敗すればただの犬死だ。それを知った上で本当に挑む覚悟があるんだろうな!?」


 突きつける非常な現実。これに少女は数秒の間をおくと、(りゆ)とした表情で臆することなく答えた。


「もちろんです! アタシはこの国の姫、それくらいの覚悟ならとっくに出来てます!!」

「……そうか、覚悟があるならそれでいいんだ。悪かったな、つまんねぇことを訊いちまって……ん? “この国の姫”だって!?」


 一瞬聞き間違えかと思っていると、四天が突然声を荒げる!


「思い出したぞえ! この少女は王の娘だったぞえ!」

「何だって! じゃあ、本当にコイツはこの国のお姫様って訳なのか!?」

「間違いないぞえ! 前に会った時は五、六歳くらいの子供だったから、すぐには気づかなかったぞえよ!」

「そ、そうなのか?」


 オレはてっきり、どこぞの暗殺者一族の秘蔵っ子だとばかりに想像してたんだが……いやはや、実際はわかんねぇもんだな……うん。

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