索敵(守人の場合)
自然エリアにて突然の狙撃を受けた私は、転がり込むように近くにあった岩場の陰へ身を隠す!
「くっ、一体どこから撃ってきてる!?」
すぐ様に狙撃手の位置を特定しようとして、岩陰から視線を覗かせる……しかし!
パァーーーーーン!!
ほんの少しでもこちらの姿を晒そうものなら、容赦なく撃ち込まれる始末だった。
「この正確な銃撃……これじゃ迂闊に動くことはできない。かといって、じっとしていてもジリ貧になるのは明白……」
初手から追い詰められる状況に陥った私は、現状を打破したく思考を張り巡らせる。
「どうする? いっそのこと無理にでもこちらから仕掛けて……いや、それではダメだ! 無闇に飛び出そうものなら、間違いなく格好の的になりかね……格好の的? これならイケるかも!?」
作戦を思いついくと、相手に悟られぬよう紋章の力を全身へ宿らせる!
「準備はこれでよし! あとは……覚悟を決めるだけだ!」
意を決した私は隠れていた岩場の一番見晴らしの良い場所にまで素早く移動すると、両腕で頭と心臓を確実にガードした体勢を維持したままその場に留まってみせた。
パァーーーーーン!
「ぐっ!」
パァーーーーーン!
「つっ!」
当然こんな自殺行為は見逃されるわけはなく、一方的な攻撃を受けることになる……っが、この展開は完全に折り込み済み。
「さ、さぁ……どこにいるかわからない狙撃手さん! 遠慮なくどんどん撃ってちょうだいな!!」
やろうとする作戦は文字通り的になること。つまり、執拗に受け続ける銃弾の軌道から相手の狙撃位置を割り出すのが目的だ!
パァーーーーーン!
パァーーーーーン!
「くっ! ぐっ!」
ただ容赦なく撃ち込まれる銃弾は、紋章の力を使ってもかなりの高威力なので耐えるには限界がある。そのため、必死になって相手の居所を探そうとするが……
「どこだ? どこにいる!?」
その姿は一向に発見できず、ついには!
パァーーーーーン!!
ガードの甘くなっていた脇腹を無慈悲に撃ち抜かれてしまう!
「……ぶはっ!」
おびただしく溢れる出血により、膝の力が抜けて体勢が崩れ……!?
「いたっ! あそこだ!!」
体勢が沈んだ際に見える角度が変わったおかげで、偶然にも狙撃手の姿を視界に捉えられた!
「フフフ……やっと……やっと見つけたわ!」
ここから北北西に約八〇〇メートル先に見える木の上。生い茂った葉に隠れ、猛禽類の如き鋭い眼でライフルを構えてこちらへ狙いをつける老人の姿が……!!
パァーーーーーン!
「甘い!」
銃声に反応して瞬時に身を躱す。
「フッ、もはや相手の位置が特定できた以上。ただ真っ直ぐに飛んで来るだけの銃弾へ対応するなんて児戯にも等しい!」
ようやく反撃への道筋が整った私は、撃ち抜かれた脇腹の痛みを気力で抑えて意気込む。
「さぁ、今度はこちらが攻める番よ!!」




