第二十六話
椅子が脚の方から出来上がっていく。ゆっくりとゆっくりと明らかに時間稼ぎをしている感じのやり方だ。
このおっさん性格悪いな、多分。顔が半分隠れてるからおじさんじゃないかもしれないけど髪が灰色だしおじさんとして扱おう。
「これはどうやって作ってるんですか?」
「おお!興味があるのか?これはな、かの有名な文明人論の著者タンス・フォン・アブリモス氏が発明した魔法で…あ、そうか君はゴブリンだから文明人論を知らないのか、それはすまない。文明人論は地能”文明人”をひたすらに研究した結果とそこから考える地能と我々の関係性についての推論が深いところまで記されていてとても面白く興味深い作品だよ。この戦いが終わったら君に布教用に常備してる物を渡そうか、しかも、今時珍しい天然紙でね。よくよく読んでくれ、ハマってくれたら嬉しい。本題に戻るがこの魔法は属性が不明な数少ない魔法で原理がよくわからない。発動条件は分かっているものだと”文明人”の所持、”魔具制作”の所持、今まで触ったことのある椅子限定、あとは感覚だね。この感覚だけは説明がつかない。流す魔力は属性が付いたものを流すというよりか属性なしの魔力を”文明人”を通して流す感じだな。これはなかなか難しい魔法だから条件が整ったら是非試して欲しい。」
うわー早口だ。しかも完全にオタクのやつ。
まあ、布教用とか言い出した辺りで、ん?ってなったけどこの感じだと同志よ!とか言い出しかねないな。
面白い人間だからいずれ仲良くなりたいな。
っていうかこの魔法俺でも使えるのでは?今は魔力を温存したいから使わないけど。
もしかしてこのことをこのおじさんに言ったら面白い反応が来るのでは?
「話し込んでいた間に椅子二つが出来上がったな。まあ座れ。安心してくれ毒などは塗ってないし、変な魔法も付与していない」
「そうさせてもらう」
この椅子結構いいやつじゃんふかふかで座り心地もいいし怪我しているところに全く負担がない。
『安心できるからって”心開”は解くんじゃないよ。絶対に。この状況で解いたら気絶するからね。っていうか安心できる状況じゃないしね』
もちろんだ。風魔法の方はかなり緩めるけどな。
『それでいい』
「一ついいか?」
「もちろんだ。話してくれ」
「その”文明人”と”魔具職人”もっているんだが」
「それは素晴らしい!よし決めたぞ。君、私の部下にならないか?」
は??????
思考停止もんだわこんなん。急に敵から味方にスカウトってなんだよ。
しかも当然のように部下たちは反対してるしやっぱこいつやばいやつか。
もしかして昔凄い功績があってそのおかげでこんなことが出来てるとか?漫画とかでありがちだよな。
「ふざけているのか?俺は今お前らを何人も殺したんだぞ?頭湧いてるのか?」
「もちろんふざけてなんかない、そもそも悪いのはこちら側でしかも死ぬ準備はいつでも出来ている。だからいいのさ。しかも君は有能で多分真面目な方だろう?」
もうわかんないよこのジジイが。
「有能なのは正しいけど真面目ではないと思うぞ」
「有能なら有能でそれでいいし真面目じゃなくても最低限の仕事はやるだろう?その程度でいい。あとは少し研究させてもらうくらいだな。別に危なくはない、安心してくれ。もともと伯爵様は君を勧誘するつもりだった。だが何やら不穏な噂が絶えなかったからね。こんな強硬策に出てしまった」
「そんなの関係ない。まあ少しは考えるけどその前に軽く俺の能力を話したい。面白い話が出来そうだからな」
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