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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きです。

宜しくお願い致します。

皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。

「それでは私は二人?を追いますので」


 私はこの場をルブさん達に任せ、キオさん達を追う事にしました。速度を重視しなければいけないのですが、他の人族と出会う可能性も有ります。何時もですと何も考えずに狼の姿に変われば済む事なのですが、今回はもし人族と出会ってしまうと面倒事になる未来しか見えません。


「しかし、面倒な事になりましたね」


 ですので最も効率を考えるのなら私の本当の姿、黒い霞の姿に戻るのが良いのでは無いでしょうか?移動に限って言えば機動力や移動速度では狼やルブさんの姿に変われば良いのですが、あまりその姿をエリアさんに見られたくは有りません。それにレグナの姿もあまり見られたくは有りません。と言う事ですので、黒い霞の状態に戻りました。


「やはりこの姿は良いですね。解放感と言いますか、何かから解き放たれたと錯覚させられます!」


 私本来の姿に戻ったからなのかそれとも自由自在に動けて何のしがらみも無くなったからなのか、何処と無く開放的な気分になってしまいます。このところ人族の姿で居る事が多く本当の姿に戻るのは、夜中に町を出入りする時しか有りませんでしたのでその事からそう思わせるのかも知れませんね?


「まあ、どうで有るにしろ道は一本道ですから、町に向かうか町から離れるかの二択しか有りませんか…」


 黒い霞の状態に戻った私は、空中を昇って行きました。探し物をするには高い所から俯瞰して見た方が良いと、吸収した者達の知識を得ていたからです。森の木々よりも高い所に昇るその間に、森から町へと続く道の半ばにエリアさんとおぼしき姿を見つけました。


「そして、迷う事無く町に向かっているのでしたら、方向感覚が優れているのかそれとも夜目が利くのかそれとも偶々なのか、そのいずれかでしょうか?」


 これは、私が吸収した者達が持っていた特技や技能の一つで、索敵能力や危険察知能力や追跡能力やそれに魔獣達の嗅覚を利用した事で、キオさんやエリアさんの匂いを追跡していた結果です。人族や野獣や魔獣それに魔物達にはそれぞれ得意な知識や技術を持った者達が居るそうです。その特技や技能や能力を持った者達を吸収した結果、私も彼等の特技や技能や能力が使える様になっていたのです。


「常に私の側に居るキオさんを追うのは簡単ですし、一度吸収したのでエリアさんの匂いや気配も解っているので簡単に追えましたね」


 キオさんを抱き抱えたエリアさんは、町へと向かって必死に駆けています。キオさんを下ろした方が早く走れると思うのですが、何故かキオさんを大事そうに抱いています。どう見ても走り難そうで、はっきり言ってキオさんが足で纏いになってしまっています。


「人族の考える事など私には到底理解出来ませんが、何かしらの理由が有るのでしょう!」


 エリアさんは何を考えているのでしょうか?これでは追手が居ると直ぐに追い付かれてしまうと思うのでは?


 私がそんな事を思ったからなのか、森の中をキオさんとエリアさんを追う様に駆ける者達が、私の索敵範囲に入って来ました。私やキオさんからすれば驚異になり得ない言うなれば取るに足りない存在達ですが、エリアさんはと言うときっとその者達からすれば補食対象でしかないのでしょう。


「…エリアさんの運が悪いのか、それとも私が良からぬ事を考えてしまったからそうなってしまったのか…」


 キオさんでしたら自分達を追う様に森の中を駆ける者達の存在に気が付いている筈ですが、エリアさんはそうでは無いと思われます。森の方を警戒している様に見えませんし、何より町へ向かう事に気を取られているみたいです。


「何とも無防備で危なっかしいですね。このままだと良い標的でしか無いですね」


 つい先程も魔獣達に襲われて命を落としかけて居たと言うのに、また魔獣達に襲われてしまいそうです。彼女の運が悪いのかただ単にツキが無いだけなのかは私には解りませんが、このままだとまた襲われてしまうのでしょうね。


「元々助けるつもりで関わったのですから、最後まで面倒を見るのが、人族で言う筋と言う物でしたか?」


 それに今は既に町の人族達が寝静まった時刻です。町の住人なら町の入り口の門が閉ざされている事は、町の子供達でも知っている筈なのですがエリアさんは町へと向かっています。一度町の入り口の門を閉めてしまうと余程の緊急時以外では、夜が明ける迄決して門を開ける事は有りません。エリアさんはその事を失念しているのかそれとも何も考えて無く、取り敢えず町に向かえばどうにかなるとでも思っているのでしょうか?


「たかが新人探索者一人の命と引き換えに町を危険に晒すとは考え難いですが、物事何が起こるか解らないのが生きる者達の宿命です」


 まあ、そのお陰と言って良いのでしょうか?一人と一匹を簡単に見付ける事が出来たので、結果的には良かったと言えるのですが、また別の厄介事も引き連れて居ます。


「ジレアさんとシシリーさん、二人の悲しむ顔を見たくは有りませんので、全力でエリアさんを助ける事にしましょう!」


 しかし、もしかしてエリアさんは野獣や魔獣や魔物達を引き寄せる、特殊な匂いでも出しているのでしょうか?一日でこう何度も魔獣達に襲われるなど、探索者の間でも聞いた事は有りません?…無かったと思います。


 …ですが、例外が有るとすれば…それが何なのか?調べるのは私の仕事では有りませんが、関わってしまった以上私には知る権利が有ります?


「良い具合に集まって来ました、ですが流石に私の正確な位置までは解らないでしょう」


 私は黒い霞の状態で、エリアさん達に襲いかかろうとしている野獣や魔獣に近付いて行きます。野獣や魔獣達は特に私の存在に気が付いた様子は見られませんが、何かに違和感を感じているみたいです。エリアさん達を追いながらも、私が居る自分達の上方を警戒しています。私の魔力か悪意それとも匂いか気配か、それか殺気にでも気が付いたのでしょうか?


「やはり魔獣ともなると感が良いのでしょうか?」


 しかし、私の存在に確信が持てないのか警戒はしているのですがそれだけとしか言いようが有りません。私からすれば隙だらけて襲ってくれと言っている様な物です。それならば御期待に答えるのが、悪役の勤めです。


「では、遠慮無く行かせて頂きますね!」


 きっと高位の悪魔でしたらこの様な場面ですと御期待に背くのが作法とでも言う所だと思いますが、生憎と私はしがない最下級の木っ端悪魔でしか有りませんので、悪魔の作法とやらが有ったとしても私には何の関係も有りません。


 ですので精一杯悪役?を勤めあげる次第です。


「運が良ければ避けられるかも知れませんよ!」


 私は身体(黒い霞)の密度を限界まで薄くして、広範囲に広がる様に限界まで広げます。そして私が広がりきった所で、キオさんとエリアさんを追っている者達の上に覆い被さっていきます。


「流石に全てとは行きませんでしたが、結果としてはまずまずと言った所でしょうか?」


 運良くそれとも直感でしょうか?私から逃れた者が数匹居ましたが、これは想定内です。幾らなんでも何事も上手く行くとは私も思ってはいませんし、完璧に物事をこなす程経験も積んではいません。ですので群れを率いるリーダーなどの統率する者や強力な個体が居るのなら、対応出来る者が居ても可怪しくは有りません。


 しかし、私はその事も踏まえて在る秘策では有りませんが、試してみたい事の準備はしていました。


「では次の手を打たせて貰いますね…」


 それは先日、リョークさんとポーリーさんに再び魂を戻す実験?をしている時に偶然覚えた?身に付けた技能とでも言えば良いのでしょうか?私の存在の在り方とでも言うのでしょうか?私が私として存在出来る様に私を形作る根元から伸びる黒い手です。


「さて、何匹捕まえられるのか、それとも逃げられるのか?」


 私この数日その黒い手を思い通りに動かす為の訓練をしていて、そのコツとでも言えば良いのかそれをもう少しで掴めそうなのです。ですがそれが掴めそうで掴めないそんなもどかしさも感じていました。そういう時に起きたこの騒動です。これは利用しない手は有りませんので、是非とも有効に活用させて頂きましょう。


 しかし、私の悪役感がとても素晴らしいですね。これを機に本格的に悪の道に進んでみるのも、良いのかも知れませんね。

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