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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きです。

宜しくお願い致します。

 黒い手を少しずつ消して行くと根源の中心付近に他よりも明るくなっている所を見付けました。その場所の黒い手を更に少しずつ消して行くと、大事そうに小さな魂を掴んだ小さな黒い手が有りました。小さな魂は活きが良いと表現すれば良いのか、あちこちに動き回ろうとしているのか小さな黒い手が引っ張られている様にあちら此方へと向きを変えています。しかし、黒い手にしっかりと握られているので逃げ出せないみたいです。


 後はこの小さな魂を私の根源から出す事が出来れば、私の目標にまた一歩近付きます。


 小さな魂を掴んだ黒い手に意識を集中します。…私の意思で動かす事が出来る手で有る事が確認出来ます。一度根源の外側近くまで黒い手を移動させて、そこで一旦止めます。


 根源から魂を出す時に私の全身を激しい痛みが襲いますので、ここで覚悟を決めます。人族でしたら、深呼吸をしている場面でしょう。私も人族に倣い肉体の感覚は有りませんが、意識の中で深呼吸をして心を落ち着けます。


 いくら今まで私が痛みに鈍感だったからと言って、この激しい痛みを知ってしまうとどうしても二の足を踏んでしまいます。痛みと言う物は、色々と抑止力として有効なのでしょう。誰も自ら望んで痛い思いをしたいとは思いませんし、家畜など痛い思いをさせる事で言う事を聞かせる場合も有ります。


 人族の極々一部には自ら望んで痛い思いをする事に快感?を憶える者達もいるみたいですが、私には理解出来ませんね。痛みに対して鈍感なのでしたら少々の痛みには耐えられるのかも知れませんが、自ら痛い思いをして更にはそれを快感にまで昇華させるとは人族とはなんとも不思議な生き物です。


 あの人族でしたら気が狂いそうになる程の痛みを経験してしまうと、自分の意思で痛覚を無くす事が出来ないものかと思ってしまいます。…今後必要になるかも知れません。この事も検証が必要でしょうね。


 さて、心?も落ち着けたと思いますので本日?今回三度目の激しい痛みを再々度体験しなければいけません。覚悟を決めた訳では有りませんが、小さな魂を掴んだ小さな黒い手をゆっくりと根源の外側に出して行きます。


 根源を覆うように膜か何かが有るので、根源の内と外とを出入りする時には少しの抵抗を感じますがそれよりも痛みの方が問題でしょう。魂を掴んだ手が根源の内と外を隔てる部分に触れると、私の全身に痛みが走ります。それは何の予兆も無く突然訪れます。やはり根源の中に取り込まれていた魂が、そこから出ようまたは出そうとする時に私を痛みが襲うみたいです。


 黒い手だけを出入りさせた時には、痛みが有りませんでしたのでこれはそう言う事なのでしょう。もしも今後何かしらの魂を私が取り込む様な事が有るのでしたら、二度と根源から魂を取り出す事が無い様にしなければいけないでしょう。


 気のせいかも知れませんが全身を襲う激しい痛みは、今回更に激しくなっている様に思います。全身を刃の潰れた切れない刃物で突き刺される様な痛みと共に、突き刺した刃物で抉られそこから更に別の熱せられた刃物を押し込まれる、そんな表現しか出来ませんがそれに近い物が有ります。


 全身を襲う激しい痛みに耐えながら小さな魂を根源の外に出そうとしますが、根源の外側を覆っている膜?に触れてから黒い手の動きが阻害されているのか、それとも私を襲う痛みにより感覚が鈍くなってそう感じているのか、時間が引き伸ばされて痛みを感じる時間がとても長く感じられます。私の見える物や感じられる物が全て緩慢に動いている様にも見えますので、現実なのかも知れません。


 激しい痛みに耐えながら引き延ばされた様に長く感じる時間を掛けて、どうにか小さな魂を根源の外に出す事が出来ました。小さな魂が根源の外に出ると、先に外に出した二つの魂が小さな魂に近寄って来ました。小さな魂も大きな魂に近寄って行きます。そして三つの魂は初めにに根源の中で見付けた時の様に、寄り添うようにしています。


 さて私の根源から若い村人夫婦の魂を取り出す事に関しては一件落着と言いたい所ですが、今、自分がおかれているこの状況から抜け出せる…ので…しょ……う…か……?




 あれからどのくらいの時間が経ったのでしょうか?気が付くと私はウサギの獣人族の女ルブさんと、肉体を具現化させた若い村人夫婦の前に立っていました。


「……!」


「…ごっ……」


 自分の世界?それとも内面?に引き込もってしまっていた私に、ルブさんは困った様子で話し掛けようとしては躊躇ってを繰り返しています。端から見ていると若い女の困り顔の百面相と言うのも面白い物ですが、本人は至って真面目なので余り放置するのもいけないのかもしれません。彼女にどの様な性癖が有るのかは解りませんが、私が関わるべき問題では無いでしょう。


「…済みません…」


「キャッ……!」


 私がルブさんに話し掛けると、彼女は驚いてお尻から地面に倒れ込んでしまいました。


「大丈夫ですか?」


「はっ…はいっ…だっ…大丈夫…です」


 先程まで意識が有らぬ所に居た筈の私が急に声を掛けたので、とても驚いているみたいです。僅かながら罪悪感が…。


 …特に有りませんね。


「私はどのくらいの時間、意識が無くなっていましたか?」


「…?意識ですか?」


 地面に尻餅を付いたルブさんは困ったように右手の人差し指を顎に当てる様にして、考え出しました。


「そうです、先程から貴女は私に何かを話し掛けようとしていませんでしたか?」


 ルブさんが何やら悩み出した様子ですので、私から少し誘導した方が良いでしょうね。


「あのーですね…えーとですね…」


 彼女が何かを言おうとしていますので、私は待つ事にします。


「そのーですね…それがですね…」


「…」


 ですが、中々ルブさんから答えが帰って来ません。何故か質問をした私の方が心配になって来ました。


「んーとですね…そーですね…」


「…」


 ルブさんは困った様に悩んでいるみたいです。一体何の悩む事が有るのでしょうか?


「えっーとですね…何か考え中の御主人様のお顔に見とれていました。私の御主人様ってかっこかわいいなって、思っていました」


 何か良く解りませんが、私に話し掛けようとしていたのでは無いみたいです。ですが、それにしては少し行動が怪しかった様な気がするのは、私だけでしょうか?


「…それなら良いのですが…」


「御主人様のお顔を見て興奮してしまったとか抱き締めてしまいたいとか、そんなはしたない事は決して思ってはいませんでした…」


 …何やら良からぬ事を考えていたみたいですが、その事を言ってしまっていると言うことはきっと彼女は隠し事が出来ない性格なのでしょう。私としては人族の姿をしていますが、人族の女に抱き付かれようが何をされようが特に問題は無いのですが、私の意識が有る時には遠慮して頂きたいですね。


 人族が親愛や愛情表現で抱き合う事はその様な行為が有るという事は知っていますが、私としては握手をすれば良いのではと思っています。どうしてもその様な行為が必要になればそれは仕方の無い事なので諦めざるを得ませんが、今の所私には必要の無い事でしょう。


 しかし、私の望んだ答えとは全く異なった回答が帰って来たと言う事は、私が私の世界とも言うべき所に行っていたのがほんの一瞬だったのか、それとも本当にルブさんが私に対して何かしらの特別な感情を抱きそれどころでは無かったのか…どうなのでしょう?


 ルブさんは人族の美醜の基準では見た目は見目麗しい女性と言われる部類に入る容姿をしていますが、少々自分の欲望や本能に対して素直すぎるきらいが有るみたいです。もしこのまま私の意識が戻らなかったら、私の仮初めの身体は何をされていたのかはあまり想像はしたく無いですね。

投稿が遅れて申し訳有りません。

引き続き皆様に読んで頂ければ幸いです。

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