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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きです。

宜しくお願い致します。

 一つ目では有りますが漸く掴む事が出来た魂を、私の根源の中から取り出そうと黒い手を動かしゆっくりと引き抜いて行きます。しかし魂を掴んだ手が私の根源から出ようとすると私の中を?、いえ、根源でしょうか?を、激しい痛みが襲いました。


 例えになるのかは解りませんが、体の中から刃の欠けた切れ味の鈍い刃物で切り裂かれるとか、体の内側から生きたまま焼かれると言った表現で理解して貰えますでしょうか?私の表現力ではこの辺りで限界なのですが、要は体の内側に今まで経験をした事の無い、それこそ人族でしたら気を失ってしまう又は発狂してしまう程の激しい痛みを感じてしまいました。


 私の様に痛みに鈍感な存在にもかかわらず、激しい痛みを感じてしまった事は今後何かの役に経つのかも知れません。余り良い経験と言える物では有りませんが…。


 しかしここで諦めてしまうのは、今まで私がして来た事を否定していると言えるのでは無いでしょうか。この激しい痛みは痛みと言う経験として記憶をする予定ですが、それで当初の目的を忘れたりしてしまうと言うのもおかしな話です。


 私の中から感じられる激しい痛みですがそれを出来るだけ気にしない様にしながら、一つ目の魂を掴んだ手をゆっくりと引き抜いて行きます。魂を掴んだ手が根源から出て行くに従い、私を襲う痛みは更に激しくなります。気にはしない様にしたいのですが、これでは気にしない以前に激しい痛みで集中する事が出来ません。


 今までは私自身痛みに強いと思っていたのですがそれは全くの誤った認識でした。ただ単に痛み等に鈍感なだけだったのかもしれません。


 魂を掴んだ手が根源から外へと完全に出るまでに味わった苦痛の時間は、とても永く感じられ私自身が引き裂かれるのでは無いかと思われる程でした。これには流石の私も心が折れてしまうかと思いましたが、しかし私には人族の様に繊細な心など持ち合わせていませんので、今回の事も含め何事も力業で強引に行ってしまうのでしょう。


 私の根源と呼べる存在から魂を取り出すと、魂は私の根源から伸びる手から届くか届かないかの範囲をユラユラと浮遊しています。これから先何処に運べば良いのか私にも判断が付きませんので、残りの魂を取り出すまでは今の状態で居る他は無いみたいです。


 私が操っている手以外に捕らえられて再度私の根源の中に入れられてしまうと話になりませんが、他の魂の事が気になるのかそれ以上この場から離れようとしません。魂の状態なのに…いえ、魂の状態だからこそ愛する者の存在を強く感じられるからこそ、離れ離れになりたくは無いのかも知れません。


 私の様に、私以外には何も無い存在には理解が出来ませんが、私にも最近ではキオさんやルブさんと言った配下?眷属?下僕?の様な存在も出来つつ有りますので、いずれ私にもそう言った大切な存在と言う者も出来るのかも知れませんね。


 …ですので私も若い村人夫婦の期待?に答えないといけません。期待と言うよりは私の個人的な理由の方が大きな気もしますが…?


 私は再度根源から伸びる手で魂を掴む為に、根源から伸びる手を操ります。


 私に操る事が出来る手を根源に差し込み、その手で魂を掴むべく先程同様妨害して来る手を先手を打って妨害します。…ですが先程までと違い私の意思では操作する事が出来ない筈の手が妨害して来ません。それどころか抵抗もして来ませんし、更には私の意思に従う手の様に魂を掴みに向かっていますし、私が操る手の方に魂を追い込む手まで現れています。


 何か心境の変化でも有ったのでしょうか?私が存在するための根源とも言える物ですが、私の根源と言うだけ有り気まぐれなのでしょう。根源が私に似ているのか、私が根源に似ているのか…どう考えてもこの黒い塊が私の根源ですので後者が正解だと思われます。




 何故か心変わりをした私では無いの私の助けも有り、もう一つの魂を掴む事に成功しました。根源から魂を抜き取る際の激しい痛みは、二回目になってもやはり慣れません。あの何ともし難い激しい痛みは、まるで私の行いを試されているかの様です。「自分と同化に近い状態にまでなった人族の魂を、これだけの痛い思いをしてまで分ける必要が有るのか?」「人族の魂を自由にする事に何の意味が有るのか?」とでも問われているみたいです。


 しかし、私の理想の軍団?私の存在しやすい状況?を作るためには、どうしても避けて通る事は出来ない事でしょう。多分ですが私が吸収した者達は私が存在する限り、例え肉体が傷付き破壊されようとも私と言う者が存在していれば何度でも再生して具現化出来るかもしれないと思います。これは私が吸収した存在の肉体を何度か具現化させてみた時に肉体の傷等の破損が修復していましたので、その事を参考に考えるとあながち外れていないとは思います。


 魂が傷付いた場合や消滅させられた場合にどうなるのかは、今のところそのような場面が無いので何とも言えませんしその事を試してみる予定も今のところ有りません。果たして魂に傷を付ける事は可能なのか、そして魂を消滅させる事も…人族の言葉で言えば神のみぞ知ると言ったところでしょうね。神が本当に実在するので有るのならですが…。


 私自ら私自身の戦力を低下させる可能性が有るような行為をする事への抵抗も有りますが、この先の事を考えると検証は必要でしょう。




 そう言えば話は変わりますが私は悪魔ですので神に祈った事も有りませんし、当然その存在を感じた事も有りません。街に建てられた神殿の近くを通る事は有りましたが、神殿の中に入った事も有りません。人族の町ですので神殿に祀って有るのは当然人族が信奉する神ですので私の様な悪魔には、無用で無意味な存在です。


 噂によれば私達悪魔にも信奉している神が存在しているらしいです。何故、らしいと言うのかは私自身悪魔界に存在していた時に何とか自我が芽生えましたが、自我が芽生えたかと思うと人族の世界に召喚されてしまいましたので悪魔の風習や事情に疎くその様な知識は無く、私が吸収した存在の知識としてその事を知ったからです。


 それによると悪魔が信奉している存在は悪神や魔神と呼ばれていて、人族からは忌み嫌われている神達です。人族の中には魔神信者や悪魔崇拝と言った邪教徒や異端者と呼ばれる極一部の者達が崇拝していたり、亜人族と呼ばれる人族に近しいが人族とは違う種族の一部も信奉しているそうです。この魔神信奉者や悪魔崇拝者やの亜人族達も人族の敵として認識されており、信奉する神の違いや宗教の違いそして考え方の違い更には種族の違いによっても種族間や同じ種族の間でも争いの絶えない世界の様です。




 …話を元に戻しますが、私の根源とも言える存在から大きな魂を二つ取り出す事が出来ました。残るは小さな魂が一つです。若い村人夫婦の妻に宿った新たな命と思われます。私はこの小さな存在を今まで知りませんでしたが、若い村人夫婦の魂がこの小さな魂に執着している様に見て取れます。彼等はこの小さな存在を知っていたのでしょうか、それとも今回の件で初めて知ったのでしょうか。さて、どうなのでしょう?


 彼等の記憶を調べれば解る事ですがそこまでする必要も無い様にも思えますし、私が知ったからと言ってどうにか出来る事でも有りませんのでその必要はないでしょう。


 当初の目的である若い村人夫婦の魂は私の根源から取り出す事は出来ましたが、残り一つの小さな魂も取り出せれば良いのですが…もう一仕事頑張らなければいけませんね。


 なかなか骨の折れる作業ですね。

梅雨ですね。

暑さとジメジメとした空気で、汗が流れます。

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