表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
82/95

82

続きです。

宜しくお願い致します。

 私の根源で作り出した手を使い、若い村人夫婦の魂を掬い取ろうとしますが私の思いとは裏腹に中々上手く救う掬う事が出来ません。何故だか解りませんが少しずつ私の中に焦燥感でしょうか、焦りの様な物が感じられ更に上手くいかなくなってしまいます。


 焦れば焦る程上手くはいきません。私の根源で作り出した手は、若い村人夫婦の魂を掬うどころか、私の邪魔をしてしまいます。私自身の事なのですが私自身でも思い通りに動かす事が出来ないとは、悪魔でも自身の内面的な事は儘ならない物なのですね。


 しかし、焦れば焦る程上手くはいきません。さて、私は何に対して焦っているのでしょうか?そして、何故焦る必要が有るのでしょうか?


 …私はどうしてしまったのでしょうか?何か触れてはいけないものに触れてしまった?


 悪魔はいくら自分自身で有っても自分の根源に触れてはいけない、それとも私自身の根源の中にはもう1人の私ではない私それとも何かが居るとでも?


 それは所謂≪禁忌≫と呼ばれる物なのでしょうか?


 ≪禁忌≫何とも甘美な響きの言葉ですね。犯してはならない暗黙の了解や決まり等とは言われますが、私の様な悪魔ですと自ら進んで犯してしまいたくなる不思議な響きですね。まるでその物の存在自体を犯させる為に私の中の悪魔が囁きかけてくる、そんな不思議な魔力を持った言葉です。


 私の中の悪魔…悪魔?


 もしかすると私の根源の中にはもう1人の私、私ではない私が居ると言う事なのでしょうか?そう言う事でしたらこの状況を説明出来ます。そう言う事だったのですね。


 悪魔の≪禁忌≫それは自らの根源に触れてはいけない。そうなのでしょうね。私にはその事を教えてくれる存在が居ませんでしてので、この事が正しいのかは解りませんがあながち外れでは無い様に思えます。


 しかしどうした事でしょうか。私が焦れば焦る程上手くいかなくなるとは、もう1人の私は余程性格が悪いのかひねくれているのか解りませんが、少しは私の迷惑も考えてみて欲しい物ですね。


 そう言う事ですので無理矢理の力業では、いけない様な気がしますのでここはアプローチの仕方を変えた方が良いのでしょうね。力業は駄目ですし私の意思も通じません。そうなって来ると…どうしたら良いのでしょうかね…?


 ここは何も考えずに本能に任せた方が良いのではないのでしょうか。私の本能と言って何かを期待したとしても、私自身がその様な事を行った記憶が有りませんので本当に私の本能とやらが有ればの話ですけど。


 それにですがこのティエネの町に来て、商人のフィスロー氏宅でお世話になった時にフィスロー氏の護衛の2人の探索者、スタッグさんとライズさんに剣の稽古を付けて貰った時の事ですが、焦らずに気持ちを落ち着けて事に当たる様にと散々言い含まれていたのを思い出してしまいました。


 焦ってしまっている時には当然冷静さが失われていて正常な判断が出来ません、ほぼ確実に良い結果を出す事が出来ずに失敗してしまう。それは剣でも同じで不測の事態の時こそ冷静に事に当たる事が出来て初めて強者や達人と呼ばれる域に達するのだそうです。


 強者や達人等、私はその様な物を望んでいる訳では有りませんが、冷静に事に当たる事が出来る強靭な精神とでも言えば良いのかは解りませんが、その様な物が必要です。


 意味が有るかは解りませんが、心を落ち着ける為に人族の姿をしている私は目を閉じます。そしてフィスロー氏宅でスタッグさんとライズさんに剣の稽古の前に行う様にと習った、深呼吸を行います。


 これは複式呼吸と呼ばれる物ですが、そもそも人族とは基本的には無意識のうちに胸式呼吸と呼ばれる、胸で呼吸を行う呼吸方をしているそうです。それは呼吸をする度に空気を取り入れる肺と呼ばれる器官が胸に有るためで、その肺を膨らませる事で空気中の養分?魔素≪マナ≫?を取り込む事で生きているのだそうです。


 しかしこの呼吸を止めてしまうと人族や動物や昆虫や植物、更には魔獣や魔物に至るまで生き物と言われる存在は死んでしまうのです。しかし呼吸だけで生き物が生きている訳では無く、その他にも食事や睡眠や健康や環境等の要因も有りますが、私は生き物の生態に詳しく有りませんのでこのくらい知っていれば良いでしょうか…?


 …私は目を閉じて複式呼吸を行います。


「スーー、ハーー、スーー、ハーー、……」


 どのくらい腹式呼吸を続けているのでしょうか?少しずつですが、お腹の辺りが暖かく感じられて来ました。ほんのりとお腹の中から少しずつ暖かさが広がって行き、それがお腹全体にまで広がっています。無意識にお腹に手を当ててみると、その手は確かに暖かさを感じる事が出来ます。


 手にお腹の暖かさを感じつつも、腹式呼吸を続けます。そうすると目を閉じているにもかかわらず、微かに淡い光が見えてきました。その光は私のお腹の辺りに見えます。しかし私は目を閉じているのですが、何故私のお腹の辺りに光が見えるのでしょうか?しかもどうやって、私自身のお腹を見るのでしょうか?


 とても説明のしようが有りませんね。まるで私の意志が私の人族の身体から離れてしまって、私の身体を俯瞰しているみたいですね。


「……!」


 そう言えば私の身体ですが、私が吸収した存在達の身体を似て非なる存在として具現化した物でした。ですから私の仮初めの身体を俯瞰しているのは、本当の意味での私自身なのでしょうか?


 普段私が私として存在しているその姿を、客観的に見るのはとても不思議な感覚ですが私自身の状態が見られるのでその点はとても便利ですね。


 私の人族としての身体のお腹の辺りに見える淡い光は、今でははっきりとした光として見る事が出来ます。しかしその光の中には黒い影の様な物が見えます。私の身体のお腹に灯る光が明るさを増して行っているのにも関わらず、光の中に有る影も次第にその存在を増して行っています。


 しかし光が明るさを増しているのにも関わらず、眩しくは有りません。肉眼で見ていないからなのでしょうか?だからとは思うのですが、光の中に有る影がはっきりと見えています。影で合っているのかは解りませんが黒い、…いえ、黒よりも尚黒い全てを飲み込んでしまいそうな黒い何かです。もしかしたら向こうを見通す事が出来ない濃い闇なのかもしれません。


 何処か歪でこの世ならざる存在感を放っている様にも感じられます。それはそうでしょうね、今私が目に?している物が私の根源でしょう。ですのでこの世ならざる存在感を放っているのは、あながち間違ってはいないのでしょう。


 そしてその濃い闇の中には微かに私以外の存在を感じられます。微かな存在が2つと更に希薄な存在が1つです。そしてそれが若い村人夫婦の魂と妻に宿った新たな命なのでしょう。


 私はじっと私の根源と思われる濃い闇を見つめます。自分で言うのも可笑しな話ですが、本当にアレは私の一部なのでしょうか?私は悪魔の中でも最下級でとても矮小な存在なのですが、私の根源は禍々しくとても私とは思えません。もしかして、私以外の何かなのでしょうか?


 …ですが今はその答えを出す必要は無いでしょう。今は若い村人夫婦の魂が回収出来るか出来ないかです。私は意識を私のお腹に見える濃い闇に集中します。見ているだけなのですが、何故か背中の辺りが冷たく感じられます。…おかしいですね、私は今自分の身体を俯瞰して見ている筈なのですが、何故背中が冷たくなるのでしょうか?


 見ているだけでも恐怖や怒りや憎しみ等、負の感情が溢れ出して来ます。これが私の本性、もしくは私に成りすました何かなのでしょうか?いけませんね、此処は集中しませんと村人夫婦の魂を掬う事が出来ないかもしれませんね。


 私は悪魔なのですが、人族の魂を掬う?救う?とは悪魔としてはどうなのでしょうか?この世界では私以外の悪魔を知りませんので、答えは見付からないのでしょうね。

朝は寒く昼間は暑い日が続きますね。

体調管理には、お気を付け下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ