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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きです。

天気や気温が変わりすぎて大変ですね。

宜しくお願い致します。

 栗鼠の魔物で新たな試みを試してみましたが、概ね良い結果が出せたと思います。


 ですので昨夜キオさんが狩って来た者達を出現させ、同じ様に私の存在の一部と同化させた魂を器である肉体へと返します。魔獣や魔物の意識は有りますが私の一部と同化した事により、彼等の自我は有っても私の意識も同時に有りますので私が彼等を操っている状態に近いのではないでしょうか?


 しかし不思議な感覚ですね。彼等魔獣や魔物達の視点を介して私の本体を見ています。私が居るのに、違う場所に居る私が私を見ています。私の回りに沢山の鏡を置いて、それを見ている様な感覚と言えば良いでしょうか?


 ですが、私を見ている私にも自我が有りますので、思考や意思が存在しています。複数の私が別々に違う事を考え実行しようとしています。とてもおかしな状況ですね。普通の生き物でしたら自身の分身?が別々の考えや行動を取る事は理解出来ないでしょうし、もしかすると頭がおかしくなってしまうかもしれません。


 人族の精神や自我を保つ為に行う保身行動である、多重人格とでも言えば良いのでしょうか?私が今おかれている状況は、それに近いのかもしれません。


 しかし私は生物では無い?ので私の自我や精神が破綻する事は無いでしょう。黒い霞に自我が有るだけの存在ですので…。


 取り敢えずは昨夜吸収した魔獣や魔物達には、自身の身体能力を確めるために森の中で活動して貰う事にしました。私にはそれ以外にもやらなければいけない事が有りますので、手間を省けるので有ればそれに越した事は無いでしょう。


 次に私がするべき事なのですが、人族や野獣や魔獣や魔物等今まで私が吸収した存在に魂を入れるとどうなるかの実験です。


 一昨夜の事ですが、魂を入れていない状態で彼等を具現化させたのですが、思考能力の無い当に操り人形と言うのが一番当てはまる状態でした。私からの命令を愚直にこなすだけの、存在でした。魂も無く思考能力も無い動く死体でした。


 しかしそんな事では何か不測の事態が起こった時に、私とキオさんの二人だけでは対処が出来なくなるのでは無いでしょうか?鳥の獣人族の魔物がこの町の周辺を偵察していた事からも、近い内に何かしらの事件等が発生する可能性が有ります。


 ここは人族の町なので人族達が対処をするべきなのですが、もしも私が巻き込まれてしまう可能性が有るのででしたらその為の対抗手段が不可欠となります。


 今の私に出来る事は吸収した者達を使う事です。二人で対応するよりも多数による数の力と言うものは侮れないと思います。何処でも出したり消したり出来る者達の存在とは、有事の際には非常に有効だと思えます。その事から私が悪魔界に帰る事が最優先なのですが、私が生き残る事の方がその事よりも優先すべき事では無いのではないでしょうか。


 そう言った事から、私は吸収した者達を使った軍団を作ろうと思い始めていました。更には運良く魔獣や魔物をキオさんが狩って来ますので、戦力の補強には事欠かないでしょう。


 先ずは試してみる為に、意志疎通が可能な者で試してみる事にします。意志疎通が可能と言えば人族が良いでしょう。その中でも私が良く姿を替える存在が一人居ます。それは兎の獣人族の女です。奴隷として売るために盗賊達に捕らえられていたのですが、その盗賊達に慰み者にされ嬲られいつ死んでもおかしく無い状態でしたが、盗賊達を討伐する時にどうせ死んでしまうのならと思い吸収したのです。


 兎の獣人族ですので、人族よりも身体能力が遥かに優れていましたので専ら移動の時に姿を替えていました。身体能力が優れていますので、移動だけでは無く戦闘も出来るのですが何故盗賊達に捕らえられたのかは謎ですね。彼女の姿に替わり記憶を調べれば直ぐに解る事ですが、特に知りたくもないので調べてはいません。


 私は兎の獣人族の女を目の前に具現化せます。全体的に痩せていますがガリガリと言う訳では無く、身体全体に程良く筋肉が付いています。胸やお尻の肉付きも人族の女と比べて見ても私には違いが解りませんので問題は無いでしょう。しかしお尻と腰の境の辺りには、丸い尻尾が付いていますのでそこは人族とは明確に違う点ですね。人族の女と比べると少し毛深い様に見えますが、兎の獣人族と言う種族のために兎の特徴も合わせ持っているのでしょうか?


 私が具現化させたのは彼女の肉体だけですので、表情は無く虚ろでその目にも光は有りません。肌の血色も悪く、くすんでいます。頭に有る長い兎の耳も力無く垂れ下がっています。しかし私が吸収したせいか、全身に有った痣などは綺麗に無くなっていますが、それは今更の様な気もします。


 次に彼女の魂を具現化させます。私が吸収した存在はそれなりに多いのですが、兎の獣人族の女の魂と頭に思い浮かべるだけで、私の目の前に姿を現しました。私自身の事ながら、便利な能力と思わずには居られませんね。


 先程の魔獣や魔物達とは違い彼等の経験を私の中に取り込む訳では有りませんので、彼女の魂をそのままの状態で手を加える事無く彼女の身体に戻します。


 魂が身体に戻ると弛緩していた身体が少しずつ生きていた時の状態に戻っていくのでしょう。呼吸を始めたのか胸の辺りが上下し始め、くすんだ肌の色も白いながら血色の良い物へと戻りつつ有ります。目には光が戻り、澄んだ瞳の色を取り戻しつつ有ります。頭に有る長い兎の耳も起き上がり、力を取り戻した様に見えますね。


「……」


 数回呼吸を繰り返しました。意識が戻って来たのかもしれません。


「…ゴホッゴホッ…」


 何故だかむせてしまっていますがどうしたのでしょうか?久々の呼吸に、身体が驚いてしまったのかもしれません。


 彼女が久方振りに経験する、仮初めの生です。彼女での実験の結果が芳しく無いと、次の実験が躊躇われます。


「大丈夫ですか?」


 静かに見守っている予定でしたが、何故だか声を掛けてしまいました。


「…あ…あなたは…」


 私が声を掛けると、ビクッと肩を揺らし明らかに驚いています。私の居る方に顔が向けられていますが、目の焦点が有っていない様に見えます。辛うじて立って居るようにも見えます。もしかしたら突然ですが仮初めと言えども生き返る事が出来たのですが、本調子では無いのでしょうね。


 私の様な悪魔に肉体も魂も弄ばれてしまい、現実を受け止めきれずに拒絶しているのではないでしょうか。あくまでも、私の予測でしか有りませんが。


「…あなた様は…」


 少しずつですが焦点が合って来たのか、私の顔に視線が向けられています。立ち姿も先程までの不安定さは無くなり、自らの足で地面を踏みしめている様に感じられます。


「私のご主人様ですね」


 兎の獣人族の女はその場に跪き頭を下げました。


「あの…私はそんなに畏まられる存在では…」


「キャー…」


 私が彼女に声を掛けようとしたのですが、私の声は彼女の悲鳴によって搔き消されてしまいました。


「どうして私は裸なんですか?」


 彼女は自分の身体を抱き締め、少しでも私に裸が見えない様に小さくなっていますが、すでに私は彼女の全身を見ていますので今更とは思いましたが、態々伝える必要も無いでしょう。


「…あっ…」


 そう言えば彼女を吸収した時には既に裸でしたし、その後も彼女の姿に替わった時でも裸だった気がします。その様な事から何故だか彼女は裸で生活する種族と私が勝手に判断していたのかもしれません。これは完全に私の落ち度ですね。と言うよりも、常識の欠如と言った方が早いですね。


 私が招いた事態ですので、私自身で解決しなければいけません。確か吸収した人族の女の中には服を着ていた者も居た筈と思いながら、人族の女の服を具現化します。


 ティエネの町のスラム街で吸収した街娼の女の服ですが問題は無いでしょう。多少露出が多い気もしなくは無いですが、裸でいる事に抵抗が有るみたいですので問題は無いと思います。


「これを着て下さい」


 私が服を手渡そうとすると兎の獣人族の女は、慌てて服を引ったくる様に私の手から服を奪い取ります。そんな様子を私が眺めていると、兎の獣人族の女は困ったような顔で私を見上げて来ました。


「服を着たいので向こうを向いていて貰えませんか」


 何故か服を着るだけと言うのに向こうを向けとは、私が見ていると何か不都合でも有るのでしょうか?私としては特に問題は有りませんので、ここは彼女の言う通りにした方が良いのでしょうね。

感想やアドバイス等頂けますと嬉しいです。

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