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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きです。

寒いし眠たいです。

 ファーナさんから依頼完了の書類を貰えましたので、ファーナさんの飼い犬クースさんを探し出す依頼は無事完了しました。今日は二つの依頼を完了しましたので、何時もよりも収入が多くなります。だからと言って私がお金を遣うのは、今の所宿代と昼食代しか有りません。


 お金は有っても困る事は有りませんので、貯めておいても無駄にはならないでしょう。


 私は各ギルド共有の建物と言われる建物を後にしました。別れ際にファーナさんからは「何時でも遊びに来て下さいね」と言われ、ラーセンさんからは「兄ちゃん、今度手合わせしてみないか」等と言われてしまいました。ファーナさんのお宅に行く事には特に抵抗が有りませんので良いのですが、ラーセンさんと手合わせをするとは何事なのでしょうか?


 ラーセンさんは等級こそ教えてはくれませんが、探索者の実績においては他の追随を許すとか?許さないとか?このティエネの町でも間違い無く上位に位置していると思われます。私が吸収したこの町のに住んでいた者達の記憶にも、ラーセンさんの事は有りませんでした。




 探索者ギルドで依頼料を受け取り、私が泊まっている宿≪レッグとマーサのかまど亭≫に向かいます。宿に向かう道すがら料理屋や酒場や屋台から美味しそうな匂いが流れて来ます。その匂いに気が付いたのでしょう、キオさんが目を覚ましました。


「クーン(ご主人、メシ、匂い、旨い!)」


 目を覚ますなりご飯ですか。本能に忠実と言いますか食欲旺盛ですね。キオさんの行動や言動を見る限り、まだ子供の様ですので仕方が無いのかもしれませんが大人になるともっと身体が大きくなるのでしょうか?


「今は宿に向かっているので、宿に帰ったら夕食にしましょう」


「クー(腹、減った!)」


 尻尾を振って私に訴えかけていますが、私は悪魔なので心を鬼にしてキオさんの言い分を退けます。


「宿までもう少しですから、我慢して下さい」


「ウー(ご主人、メシ、ダメ?)」


 キオさんが悲しそうな目で私を見上げて来ます。そんな目をしても宿に帰ればご飯が待っていますので、ここは無視する事にします。


「…」


「クーン(ご主人、ダメ?)」


 そんな目で見ても、駄目な物は駄目です。宿で美味しいご飯を食べましょう。


「我慢して下さい」


「クー(ご主人、解った、オレ、我慢、した!)」


 私の言った事を理解したのかキオさんは我慢するみたいですが、悲しそうな目をして口元では今にも涎が垂れて来そうな様子です。これ以上虐めても可哀想ですし、今日はキオさんのお陰でクースさんを見付ける事が出来ました。ここは私が折れた方が良いでしょうね。


「解りました、私の負けです。今日は頑張って貰いましたので、一つだけなら良いですよ」


「バウッ(ご主人、メシ、良い?)」


 たちまち元気を取り戻してしまいました。私は基本的に感情を表すのが苦手ですので、キオさんを見ていると心が?暖まる様に感じるのですが何故なのでしょうか?


「今日は活躍して貰いましたので、特別ですよ」


「ワオーン(ご主人、あり、がとう)」


 活躍と言えば、昨晩も私が吸収していない魔獣や魔物を狩って来て貰っていました。そして今日もクースさんを見付けて貰いました。活躍どころでは無く、大活躍していますね。これは私の考えを改めてなければいけないのかも知れません。


 どうやら私はキオさんと持ちつ持たれつの関係なのかも知れませんね。主従では有りますが、お互いにお互いの足りない所を補いながら生きて?活動して行くのが良いのかも知れません。


 キオさんと共に屋台を物色します。鳥や野獣や魔獣や魔物等の肉を串に刺して焼いただけの串焼きの店が多く、店毎に焼いている肉が違い、味付けも素のままの店から薄い塩味の店や塩胡椒の店や黒い液体に浸けて焼いている店まで様々有ります。


 私にはどれも美味しそうに見えますので、何処が良いのでしょうね?私では判断が出来ませんので、肉が大好きなキオさんに任せてみようと思いました。


 私は抱いていたキオさんを地面に下ろして「キオさんが食べたいお店を教えて下さい」と言って、キオさんに選んで貰います。


「アン(ご主人、解った!)」


 そう言ってキオさんは屋台から流れて来る匂いを嗅ぎながら、トテトテと小走りに走って行きます。小走りなのですが、私が早歩きで付いて行ける程度の早さです。キオさんが匂いを頼りに屋台から屋台へと移動していくのを、後ろから見守ります。


 最終的に二ヵ所に絞ったみたいですがどちらにするのかは、決めかねている様です。二つの屋台の間を行ったり来たりを繰り返しています。これは私が助け船を出さなくては、いつまでも決まらないかも知れませんね。


「キオさん、二つの屋台で迷っているのですか?」


「クーン(旨い、匂い、二つ、いる、でも、ご主人、言った、一つ、食う)」


 キオさんは二つの内の一つを選べないみたいです。鳥と野獣か魔獣の串焼きです。どちらも素焼きですので、きっと素材の味を楽しめる事でしょう。


「確かに一つと言いましたが、決められないので有れば…」


「ウーン(オレ、旨い、匂い、どっちも)」


 これは仕方が有りませんね。キオさんが決められないので有れば私が決めてしまえば良いのですが…。キオさんの好みも有るでしょうし…。


「…」


「クー…(オレ、二つ、駄目、メシ、食う、無い、…)」


 キオさんは二つの屋台の中間で、二つの屋台を交互に見比べています。口元には涎が光っていますが、目元にも光る物が…。


「キオさん…?」


「クーン!(オレ、一つ、駄目、メシ、食う、無い!)」


 キオさんは一つに絞れなかったのか、トボトボと≪レッグとマーサのかまど亭≫に向けて歩き出してしまいました。私はそんなキオさんを、後ろから近付いて優しく抱き上げます。


「キオさん、両方買って二人で分けましょう」


「ウー?(二つ、食う、良い?)」


 やはり未練があるみたいです。キオさんはどちらも食べたいのでしょう。


「取り敢えず、売り切れになる前に買ってしまいましょう」


「ワウ(二つ、食う!)」


 キオさんをその場に下ろして、串焼きを買いに向かいました。どちらも二本で銅貨一枚ですのでお買い得なのかどうかは私には解りませんが、それなりにお客が居ますので高いと言う事は無いと思います。。味付けが無いのでその分安くして有るのかもしれませんが。




 鳥の串焼きと、兎の魔獣の串焼きを四本ずつ買いました。値段の割に大きな肉が串に刺して有るので、食べ応えは十分に有るでしょう。私が串焼きを買ってキオさんの元に戻っていると、キオさんを待たせている場所に人族達が集まっています。何か有ったのでしょうか?


「犬畜生が、人族様の屋台に、来てんじゃ、ねーよ!」


「取って、食っちまう、ぞ!」


 私が人族達の間を強引に通り抜けて目にした光景は、二人の人族の男達がキオさんを追い掛けている状況でした。二人の男達がキオさんを捕まえようとしていますが足元がふらついていて、その足元をキオさんが器用に潜り抜けています。男達の顔が赤く、言葉も少し怪しいのでお酒を飲んで酔っている様に見えます。


 回りにいる人族達の中には、酔った男達をけしかける様に声援を送る者も居ますし、男達に止める様に言う者も居ますが誰も行動には移す事は有りません。どちらかと言うと、体の良い娯楽になっているのかも知れません。


「止めなさいよ!良い大人がみっともない!」


 私が人族達の輪から出ようとしたその時に、人族の若い女の声が聞こえて来ました。しかし、酔った男達には聞こえて無いのか、それとも無視をしているのか解りませんがキオさんを追い掛ける事を止めません。


「大の大人が仔犬相手に意気がって、情けないったら無いわ!」


 そう言いながら一人の人族の若い女が、人族達の輪から出て来ました。

皆様、寒さ対策をお忘れ無く。

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