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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きを投稿しました。

 何故か建物の中から、クースさんを抱いたファーナさんが出て来ました。ファーナさんが自分でクースさんを見つけ出したのでしょうか?元は銀級の探索者でしたし、この町はファーナさんが生まれ育った地元ですので土地勘も有るでしょう。


「レグナさんお疲れ様です」


 ファーナさんが優く微笑みを浮かべて私を労っていますが、私にはファーナさんがここに居る事の方に意識が向いていますのでそれどころでは有りません。


「…ありがとうございます」


「何故私がここに居るのかと疑問に思われていますよね」


 クースさんを探す依頼を探索者ギルドに出したのはファーナさんです。そのファーナさんがクースさんと居ると言う事はどういう事なんでしょうか?


「そうですね、何故ファーナさんがここにいらっしゃるのか、とても不思議です」


「ごめんなさいね、レグナさんの事を騙したりした訳では無いの、これが私の探索者ギルドでの仕事の一部なの」


 そうです確かにファーナさんは探索者ギルドや他のギルドで働いていると言う話でしたね。その仕事が今ここにファーナさんが居る理由になるみたいです。


「探索者ギルドでのファーナさんの仕事ですか?」


「そう、私の仕事。私はペナルティの無い依頼を受けた新人探索者が真面目に取り組むかどうか、調査する事を仕事にしているの。」


 はて…仕事とは真面目に取り組む物なのではないのでしょうか?真面目に取り組んだ結果が、収入という形で現れる物と思っていました。それが全てでは無く、例外も確かに存在するみたいですが…。


「ペナルティの無い依頼をですか?」


「そうなの。どうしても依頼を達成出来なくてもペナルティが無いとなると、依頼を受けるだけで全く何もしない人がいるから、新人探索者の中にもそんな人が居るか居ないかを調べているの」


 確かに言われてみるとペナルティの無い依頼とはとても魅力的ですね。探索者の依頼とは成功すれば依頼料が支払われ、失敗すると逆に違約金を支払わなければいけません。


「その様な探索者が居るのですか?」


「そうね、それなりには居るわね」


 そう言われると言う事はそうなのでしょう。誰しも楽にお金が手に入れられるのでしたら、楽な方を選択するのでしょう。働かずにお金や食料をを手に入れるために、盗賊に身を窶したり犯罪行為を行う人族を私も何人も見て来ましたし、彼らを吸収もして来ました。


「しかし、依頼を受けるだけで何もしないとは、探索者に何かメリットは有るのですか?」


「探索者は依頼を受けて依頼を達成する事でお金を手に入れるのだけど、たとえ依頼を失敗しても依頼を受けた回数も僅かですが評価の対象になりますからね」


 依頼を受けた回数も評価の対象になるので有れば、少しでも良い評価を得るためにペナルティの無い依頼を受けるのはとても魅力的な方法なのでは無いでしょうか?依頼を達成するために動いて居るふりをしていれば良いのですから。依頼の期日が来た時に、依頼達成のために精一杯頑張ったが達成出来なかったと言えば良いのですから、評価を得るためにこれ程簡単な方法無いでしょうね。


「そうだったんですね。探索者ギルドで説明を受けた様な気もします」


「探索者ギルドの評価基準は覚えていて損は有りませんよ」


 確かにそうです、昇級するためには必要な事なのでしょう。細かい評価の基準も有ると思いますが、必要最低限の内容は覚えておいた方が良い様です。


「そうですね。今日は良い事を聞きました。ファーナさん、ありがとうございます」


「いえいえ、どういたしまして」


 クースさんを抱いたファーナさんは優しい笑みを浮かべて、私とキオさんを見ています。


「兄ちゃん良かったな。あんたは、ばあちゃんに気に入られているみたいだな!」


 最初に門番をしていた人族の男(等級は言えないという事みたいです、のベテラン探索者で名前はラーセンさんと言って受けたい依頼が無い時等に、この建物の門番やその他探索者ギルドの手伝いをしているそうです)がそう言うので有ればそうなのかもしれませんが、ファーナさんと私は今朝初めて会っただけですので、私には気に入られているのかは理解出来ません。


「ばあちゃんですか?」


 ばあちゃんとは確か、人族でとは限りませんが祖母の事でしたね。おばあさんやおばあちゃんとも言いますが、ばあちゃんとは親しい間柄かもしくは尊敬しているからこその呼び方なのでしょう。


「探索者ギルドでファーナさんと親しい奴は、ばあちゃんと呼ばせて貰っているぞ」


 なるほどですね、ラーセンさんとファーナさんは親しい間柄もしくは長い付き合いなのでしょう。


「そうなんですか、確かに高齢の女性ですから、おばあさんですね」


「まあまあ、レグナさんも良かったら私の事をおばあちゃんと呼んで良いですよ」


 ファーナさんもその呼び方を気に入っているのでしょうか、年齢を基準に考えるとおばあちゃんと呼ばれてもおかしくは有りませんし、実際に孫が居ればそう呼ばれる事でしょう。


「…おばあちゃん」


 私は悪魔ですので、祖母という存在は居ません…と思います。それどころか両親や兄弟といった存在も居ないと思います。ですので、この様な呼び方をするのはとても不思議な感覚です。


「はい、何でしょうかレグナさん!」


 ファーナさんは笑顔で返事をしましたが、その笑顔は何か悪戯が成功した時にみせるそんな笑顔の様に思えて仕方が有りません。


「…なんだか気恥ずかしいですね」


「うふふ、私は嬉しかったですけどね」


 にこやかに笑みを浮かべるファーナさんを見ていると、祖母という存在はファーナさんの様に暖かく見守ってくれる存在の事なのかと思えてきました。


「私には祖母が居ませんでしたので、新鮮な気持ちと恥ずかしさとで少し複雑な気分ですね」


「そうだったの、それなら私の事はおばあちゃんと呼んで下さいね。私にも孫は居ませんから呼ばれると嬉しくて仕方が無いわ!」


 そんな事を急に言われても、どう答えれば良いのでしょうか。私には肉親や親族といった存在は居ませんので、どの様に接するのが良いのか解りませんので困りましたね。何も言わないのも失礼に思えてしまいますし…しかし何故私がこの様な事で頭を悩ませないといけないのでしょうか?理解が追い付きませんね。


「そうですね、前向きに検討させて頂きます」


「まあ、そんなに難しく考えないで気軽に呼んで下さいね」


「そうだぞ兄ちゃん、気軽にばあちゃんって呼べば良いだけだぞ!」


 私が躊躇っている理由など彼等には理解が出来無いでしょうね。家族や肉親という概念の無い下級の悪魔では、想像する事すら出来なかった事です。多くの人族を吸収した事によって家族や肉親という存在を理解出来る様にはなりましたが、理解する事と関わる事は違いますので私にはどうしても抵抗感が有ります。


「…解りましたおばあちゃんと呼ばせて頂きます。ところで結局ここはどの様な役割の建物なのでしょうか?」


 少々強引ですが話題を変えて貰いましょう。そう言えば私が抱いているキオさんが大人しいので見てみると、私の腕の中で眠ってしまっていました。私が困って居たと言うのに、キオさんには子守唄にでも聞こえていたのでしょうか?


「この建物ですか?この建物は探索者ギルド含め各ギルド共有の建物で、探索者ギルドでは倉庫等で使っていますね」


「そうそう、他のギルドに売る素材の置き場とか、予備の在庫置き場とかがこの建物の役目だな、他のギルドも似た様な使い方かな?」


 ギルドと離れた場所に倉庫を作る事にメリットが有るのでしょうか?私には理解出来ませんが、何かしらの意味が有るという事なのでしょう。そう言えばクースさんを見付け出しましたので、クースさんを探し出す依頼は依頼達成と考えて良いのでしょうか?今日は二つの依頼を達成しましたのでこれでまた一歩青銅級探索者に近付きましたね。

悪魔さんもそろそろ二回目の召喚が必要でしょうね。

何処に飛んで貰いましょうか?

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