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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きを投稿しました。

「レグナさんおはようございます」


 朝私がレッグとマーサのかまど亭の食堂に入ると、私に気が付いたジレアさんが早足で向かって来ました。


「…ジレアさんおはようございます」


「狼さんの名前を考えたのですけど…」


「ちょっとジレア、あっちのお客が呼んでるよ!」


 ジレアさんが私に話し掛けようとしましたが、お客が呼んでいるとマーサさんに言われて渋々呼んでいるお客の所に向かいました。


(ご主人、人族、女、忙しい?)


(そうみたいですね、この店は繁盛店ですので何時も忙しいですけどね)


 狼さんはジレアさんに抱っこして欲しいのでしょうか?狼さんの目がジレアさんを追いかけています。


「レグナさん家の娘が済まないね、何かに夢中になると回りが見えなくなる子だから、何か迷惑を掛けていないと良いけど」


「私は構いませんよ、狼さんもジレアさんを気にしているみたいですし」


 そう言うマーサさんも、狼さんの事を気に掛けていますので似た者同士なのでしょうね。食堂ですので普通は動物お断りの筈なのですが、狼さんのご飯は狼さんの身体の大きさに比べると、とても量が多い様に思えます。迷惑と言いつつも、マーサさんの狼さんを見る目は優しい気がします。


 狼さん本来の姿で有れば一口分も無いのですが、その量を平らげている狼さんを不思議には思っていない様ですし…。


「迷惑じゃ無いのなら良かったよ。今はオチビさんに夢中みたいだからね。もし迷惑なら怒って貰って良いからね」


「そうですね。私は余り気にしていませんが、狼さんが嫌がるのでしたらそうさせて頂きますね」


 私と狼さんは昨晩からの指定席で、マーサさんが用意してくれていた朝食を頂きました。メニューは何時もと代わり映えはしませんが、味付けが違いますので特に不満も無く美味しく頂きました。


 狼さんは相変わらず顔中を汚しながら、更に盛られた生の肉と野菜と肉の煮込みと格闘しています。狼さんが名残惜しそうに皿に残った肉や野菜の欠片を舐め取っていると、手拭いを手にしたジレアさんが狼さんを抱き上げました。


「狼さん今日も残さず食べたのね。お利口さんでちゅね、美味しかったでちゅか?」


 そう言いながら、煮込みで汚れた狼さんの顔を手拭いで丁寧に拭き取って行きます。私が吸収した人族の知識では、赤ちゃん言葉と言うそうです。狼さんの見た目は小さな子狼ですので、仕方が無いのでしょう。


「クウーン」


「そうでちゅか、美味しかったでちゅか」


 狼さんの顔を拭き終わったジレアさんは、狼さんの身体を撫で回しています。狼さんも気持ちが良いとの事ですので、抵抗せずされるがままに身を任せています。


「クーン」


 狼さんが一声無くと身体から力が抜けた様に、ジレアさんに身体を預けてしまいました。


「まあ、可愛い狼さん!」


 ジレアさんは自分に身体を預けた狼さんを、まるで赤子を抱く様に優しく包み込む様に抱き狼さんの背中をトントンと優しくあやしています。


「レグナさん、私狼さんの名前を考えました!」


 狼さんを抱いたジレアさんは少し興奮ぎみでしょうか?何時もの優しい雰囲気とは違います。


「そうですか、それは助かります。私では狼さんの見た目で≪シロ≫とか≪チビ≫位しか思い付かないもので、ジレアさんに考えて頂けたのなら有り難く使わせて頂きますね」


「解りました昨日の夜に寝ないで一生懸命考えました」


 ジレアさんは昨晩寝ていないのですね。それは悪い事をしてしまいました。人族にとって睡眠とはとても重要な事です。身体や脳をゆっくりと休める事で、次の日にまた活動する事が出来る為には必ず必要ですし、自然と身体や脳が求める物です。だから今日のジレアさんは、少し雰囲気が違うのでしょうね。どこか興奮気味と言えば良いのでしょうか?


「寝て無いのですか?いくら若くても睡眠を取らないと身体に悪いですよ」


「ありがとうございます。ですが私には狼さんの名前を考えると言う、重要な使命が有りましたので寝ないで考えました!」


 やはり興奮気味なのでしょう。何時もの優しいジレアさんは何処に行ってしまったのでしょうか?


「そ、そうですか…」


「はい、そうです。確か遠い国の言葉で白か雪?を意味する言葉です。≪キオーン≫か≪キオーヌ≫を縮めて≪キオ≫ちゃんと言うのはどうでしょうか?」


 ≪キオ≫ですか良い名前では無いでしょうか。私には名前を考えると言う行為自体が初めてですのでどうすれば良いのか解りませんでしたが、確かに遠い国の言葉を使うのも良い方法ですね。


「良い名前ですね。外国の言葉ですか、私には無い発想です。狼さんはどうですか?」


「クーン(ご主人、キオ、オレ、名前?)」


(そうですよ、狼さん貴方の名前です)


(ご主人、オレ、名前、くれる?)


(そうですよ。私では無くジレアさんがですが、良い名前を考えて貰えましたよ)


(人族、女、良い、奴!)


 狼さんはジレアさんに身体にもたれ掛かったままです。この件に関して狼さんは余り興味が無いらしく、私に任せるみたいですね。自分の名前を決めているのに、当の本人が参加しなくても良いのでしょうか?


「私としては狼さんより、≪キオ≫と名前で呼んだ方が良いと思いますし、とても良い名前だと思いますよ」


「レグナさん、ありがとうございます。貴方は今日から≪キオ≫ちゃんですよ」


 ジレアさんは狼さん改めキオさんを、優しく抱きしめて名前を呼びました。


「クウーン(人族、お前、良い、奴)」


「良かった、キオちゃん気にいってくれたのね」


 キオさんの尻尾がパタパタと忙しなく振られています。キオさんも名前で呼ばれて嬉しいのでしょうね。ジレアさんに懐いているので、顔をジレアさんの胸元に擦り付けています。ジレアさんはキオさんにとっては名付け親ですから、懐くのも無理は無いでしょう。


「ジレアさん、キオさんに代わって感謝します。キオさんも気に入っているみたいですので」


「アオーン」


 キオさんも興奮して来たのか、何時もより元気が良いみたいですね。


「朝食も頂きましたし、私達はそろそろ探索者ギルドに向かいますので」


「ああ、もうそんな時間ですか、もう少しキオちゃんと遊びたかったのに!」


「申し訳ありません。キオさんの嗅覚が必要になる依頼を受けていますので…」


 そうです今私が受けている依頼の一つはペットを捜索する依頼です。依頼達成の料金は安いですが、依頼失敗のペナルティは無く依頼発注から一週間内という期限付きで、他の依頼との重複も可でした。今日からは本格的に銅級探索者の依頼を受けて行こうと思っていますので、他の依頼を受けつつもペットを捜索する依頼を達成してみようと思います。達成出来るかは解りませんが、やれる事はやっておこうと思いますので。


「そうなんですか、キオちゃん」


「ジ・レ・ア!」


「レグナさんキオちゃん頑張って下さいね」


 マーサさんに一睨みされたジレアさんは、マーサさんから逃げる様に給仕の仕事に戻って行きました。


「御馳走様でした」


 私とキオさんは一度私が泊まっている部屋に戻り、出掛ける支度をすると探索者ギルドに向かうために、レッグとマーサのかまど亭を後にしました。


「レグナさんキオちゃんいってらっしゃい」


 ジレアさんの声に少し元気が無い様に感じましたが、昨晩寝ていない影響が出ているのでしょうか?「催眠は取った方が良いですよ」と言いたい所ですが、キオさんの名前を考える為の徹夜ですので言わない方が良いでしょうね。




 さてと、今日も探索者として依頼を受けなければなりません。依頼を達成し昇級して、町の外での依頼を受けられる様に成りたいものです。そうすれば人目を気にする事無く、町の外に出られますし、森の中に入る事も出来ます。先ずは青銅級探索者になり、町の外に出られらる様に頑張らなくてはいけませんね。

魔獣や魔物の名前を考えないと…。

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