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続きを投稿しました。
宜しくお願い致します。
狼さんと共にレッグとマーサのかまど亭へ戻りました。私達が宿の中に入ると食堂の中は満席に近く、カウンター席が所々空いているだけでした。相変わらず繁盛店ですね。
「レグナさんお帰りなさい」
私が店に入ると人族の若い女が声を掛けて来ました。
「ただいま帰りました。えっと貴女はレッグさんとマーサさんの…」
「レッグとマーサの娘のジレアです。宜しくお願いしますね」
レッグさんとマーサさんの娘さんです。スラリとしていて身長は私とと同じ位でしょう。マーサさんを若くして細くした感じです。元気な所もマーサさんに似ていますね。
「宜しくお願い致します」
「こちらの可愛いお連れさんも宜しくお願いしますね」
そう言ってジレアさんは狼さんを抱こうと手を出しましたが、狼さんは私の後ろに隠れてしまいます。少し悲しそうに「私は嫌われたみたいですね」そう言ってジレアさんは他のお客に呼ばれたので給仕の仕事に戻りました。
(やはり人族は苦手ですか?)
(ご主人、人族、何、する、した?)
狼さんを捕まえて食べられるとでも思ったのでしょうか?その気になればこの店に居る人族を殺し尽くせる程強い筈なのですが、今の外見同様内面も子供に戻ってしまったのでしょうか?
(貴方を抱こうしようとしたのでは無いですか?)
(抱く?する、した?)
狼さんは野生?の魔獣でしたので人族の様に腕で抱かれたことは無いでしょう。親狼に身体で包み込まれる様に抱かれた事は有ると思いますが。
(そうですよ)
(抱く?何、する?)
意外とこの狼さんは若いと言うよりは子供に近いのでしょうか?言動も子供の様ですし?
(それは部屋に戻ってから教えましょう)
(ご主人、抱く、する?)
(そうですね、取り敢えずは)
その前に大事な事が有ります。人族の宿屋や食堂等では、動物は入れないと私が吸収した人族の知識に有ります。体毛が食事に入るのは衛生的に良く無いですし、動物の身体に付いた虫等の問題も有るからです。狼さんを連れて行動をするためには、レッグさんかマーサさんの許可は必ず必要になります。
「マーサさん済みませんがこの子に懐かれてしまいまして、私が面倒を見ますので部屋に入れる許可と食事の追加を、お願いしても良いでしょうか?」
私は狼さんを抱き抱えると、マーサさんにお伺いをたてます。
「うちは食堂と宿屋だよ。食べ物を扱う所は動物お断りなんだけどね。」
「マーサさんよぅ、少々良いじゃねぇか!」
「そうそう、俺達はそんなに気にしないぜ!」
「子犬の一匹や二匹くらい良いじゃん」
ここレッグとマーサのかまど亭のお客の中にも動物が居ても気にしない人族も居るみたいです。援護して貰えて助かります。
「あんた達は黙ってな!私は今レグナさんと話して居るんだ!」
「すまねぇな、たっく、そんなに怒らなくても…」
「マーサさん、怒るとこえーな!」
しかし、マーサさんには頭が上がらないみたいですね。頼り無い援護ですが、狼さんを理解してくれる人族達が居るのは助かりますね。
「なんだって?」
「「「なんでも無いよ(です)」」」
しかしマーサの迫力に押されて、敢えなく沈黙してしまいました。もう少し粘りが必要ですが、当事者の私が言う事では有りませんね。
「全く…でもその子は子供だから仕方が無いか。誰かが面倒を見ないと死んじまうかも知れないし、他の動物に食べられてしまうかも知れない。その代わり宿代の追加と他のお客に迷惑を掛けない事、それと物を壊したり宿を汚したら出て行って貰うよ!」
「申し訳ありません、ありがとうございます」
「良かったな兄ちゃん!」
「やったな兄ちゃん!」
「俺も子犬を抱きてぇ!」
狼さんは子狼なのですが、何故か子犬になっています。この人族達は狼を見た事が無いのでしょうか?
「皆さんもありがとうございます」
許可が貰えましたので結果的に良かったと言えます。狼さんが居ると人族の警戒心が緩くなる気がしますので、人族の相手をする時には助かります。もし許可が貰えなくても、狼さんを吸収すれば良いだけですので、私的にはどちらでも良かったのですけど。
「レグナさんが付いていないとその子がどうなるか解らないし、レグナさんに何か引かれたから懐いたんじゃ無いのかい?」
「どうでしょうか?心当たりは有りませんが、私が責任を持って面倒を見ますので宜しくお願い致します」
そう言われればそうかも知れませんね。狼さんは私の存在の一部を食べた事で私に懐いた?様な物ですから、私に引かれたとは違うとは思いますが。
「解ったから、そんなに畏まる必要は無いさ。しかしその子のご飯って何を食べさせるんだい?」
「私が試しに生の肉を与えたら勢い良く食べましたので、生の肉で良いと思いますよ」
そうです狼さんは子狼姿の自分の身体よりも大きな猪を、ペロリと平らげてしまいました。しかし元の狼さんの大きさですと、猪の大きさは狼さんの半分程度しか有りませんが、それでも短時間であの猪を平らげるのは理解出来ません。
「そうかい、それなら今日の夕御飯からその子用に生の肉を準備するよ。朝晩に生肉を追加で一日銀貨一枚でどだい?」
「解りました、それでお願い致します」
私は狼さんを抱き抱えたままで、一度部屋に荷物を置くと言う名目で部屋に向かいます。(今気が付きましたけど、そう言えばこれが抱っこですよ)食堂の奥に有る階段を上がる時に狼さんに伝えました。
(ご主人、中、居る、一緒、俺、疲れ、無い!)
私が吸収して私の中?に居る時と同じと言いたいのでしょうか?私の中?に居ても、私が抱いて居ても私の体内に有る魔素≪オド≫が狼さんに渡されて回復なりしているのでしょうか?
食事でお腹は満たされますが、体力や気力や集中力等内面的、また精神的な物は睡眠を取るなりしませんと満たされませんので、夜に森へ行くまでに休憩は必要無いですね。
私と狼さんは一度部屋に入ります。私は一応荷物を置きに来ましたので、剣とフード付きのマントと肩掛けの鞄を部屋に置きます。
「それにしても先程は良くジレアさんに、襲い掛からなかったですね」
ほんの一瞬ですがヒヤリとしました。ここで狼さんが暴れたらと思うと、気が気では有りませんでした。
「人族、抱く、する、女?」
「そうです、貴方を抱こうとしていた人族です」
「人族、女、俺、狩る、気、無い、した」
狩るとは正に野生の生き物の考え方ですね。狩る気とは殺気が無くジレアさんの雰囲気が野性的では無かったと言う事でしょうね。
「それなら良かったです。あそこで暴れられるとあの場に居た人族を全て吸収しなければならなくなる所でした」
「ご主人、人族、群れ、居る、群れ、決まり、有る!」
狼は群れで生活する生き物ですので、狼の群れには狼の群れの決まりが有る筈です。その事から私が人族の中で生きて行く為に人族の決まりを守るのでしたら、狼さんも人族の決まりを守ると言う事でしょう。
「私が人族の中で生活していく事を言っているのですか?今の所私にはそれしか選択肢が有りませんのでそうなりますね」
「ご主人、人族、群れ、オレ、決まり、守る!」
利口とは思っていましたがここまでとは、もしかして私は物凄く良い見方を手に入れたのでは無いでしょうか?
「そう言う事でしたら、極力人族の決まりを守る事にしましょう」
「ご主人、オレ、決まり、守る!」
しかし何時人族の決まりを狼さんは知ったのでしょうか?私が教えた記憶は有りませんし謎ですね。ですが可能性が有るとすれば、私の一部を食べていますので、私の一部を食べた事で私が知って居た知識を身に付けたのかも知れませんね。あくまでも、仮定でしか有りませんが。
「それでは、夕食にしましょうか?」
「ご主人、オレ、メシ、食う、好き!」
狼さんが私と共にこの宿で泊まる事を認めて貰えたので、良かったです。やはり人族は子供に弱い?甘い?種族ですね。私は狼さんと夕食を摂る為に、食堂に行く事にしました。今日の夕食もどの様な味付けなのか楽しみですね。
そう言えば、狼さんは先程大きな猪をほぼ一頭食べたばかりですが、まだ食欲は有るみたいですね。狼さんを満腹にさせるには、どの位の量の食事が必要なのでしょうか?知りたい様な知りたく無い様な、そんな事が気になってしまった私がそこには居ました。
勢いと思い付きで書いております。
読んで頂いている皆様、内容の齟齬等はご都合主義と言う事でご容赦下さいませ。
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