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とある悪魔さんの最恐伝説(になるかも知れないお話)  作者: きすぎ あゆみ
悪魔さん、初めての召喚
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続きを投稿しました。

宜しくお願い致します。

 私からお金を奪おうとしていた物達の塒へと向かっています。裏通りから更に細い路地に入り、夕暮れ時の薄暗く人気の無い路地を進みます。


 相変わらす石造りや木造の建物が並んでいますが、段々と入り口の扉や窓が無い建物が増えて来ました。建物自体も手入れがされていないのでしょう、柱が傾き所々壁が剥がれ落ち屋根が崩れ落ちた建物も幾つか有ります。見た所人族の姿は有りませんが、建物の中には人族の気配は有りますし、極希に女の人族が肌を露出させた姿で建物に寄りかかって居ました。ここは所謂スラムと言われる所の様です。


「お兄さん私と良い事しないかい、安くしとくよ」


「済みません、先を急いでいますので」


 肌を露出させた女の人族に声を掛けられますが、私には用事が有りますのでお断りしています。今は季節的に問題は無いと思いますが、風邪とか病気になったりはしないのでしょうか?


「じゃあさ、用事が済んだら寄っとくれよ」


「そうですね、考えておきましょう」


 私は目的の建物に向かって足を止める事無く、早歩きで歩いて行きます。私の足元では狼さんが子狼の姿で、私に遅れまいと一生懸命に短い足を前後させて付いて来ています。


「急いでいるのならその子を預かろうか?」


「いえ結構です、この子の用事でも有りますので」


 路地に立つ人族の女達は私に脈が無いと解ると、狼さんを預かろうとしてきます。彼女達に狼さんをどうこう出来るとは思えませんが、何故でしょうか?


 更に幾つかの角を曲がると、夕方の薄暗い中でも殆ど明かりの灯っていない区画に出ました。人族の気配は有りますので、人族は居るみたいです。


 私を襲った?者達はこの辺りを塒にしていますので、私は三人の塒を一ヵ所ずつ訪ねて回りました。三人ともそれ程持ち物は有りませんが、多少の食料や金目の物は有ります。それらを回収すると同時に、狼さんに食事を与えます。


「狼さんご飯にしましょうか」


「ご主人、俺、メシ、食う?」


「はい、遅くなって申し訳有りませんでした、食べて下さい」


 私は吸収していた猪を、狼さんの目の前に出しました。


「ご主人、これ、全部、オレ、食べる、良い?」


「これは貴方の食事ですので、好きなだけ食べて下さい。残りは吸収すると元に戻りますので、少し残して貰えれば大丈夫です」


「ご主人、感謝、メシ、食う」


 狼さんは、自分の何倍も大きな猪にかぶり付きました。私が見た所、お腹から食べるみたいです。肉食の生物は一番栄養の有る内臓部分から食べる様ですので、狼さんもお腹から食べるみたいですね。他人?に食事中の姿を眺められるの狼さんにも申し訳無いと思い、私は辺りを探索してみる事にしました。


 人族や他の生き物の気配は有るのですが、動いている様子は有りません。夕刻という事も有り、既に就寝してしまったのかも知れませんが余りにも生気?活力?が無いみたいですので、もし死に掛けている様な存在でしたらいっその事私が吸収して私の糧になって貰おうと思ったからです。


 先ずはこの建物の他の部屋から探索を始めます。一部屋毎に部屋を確認して回ります。この建物の確認が終わると、隣の建物を一部屋ずつ順番に回って行きます。


 病気や栄養不足や怪我等で動けなくなった又は死にかけた、人族の大人や子供、男や女、犬や猫や鼠、それと蝿や百足や蜘蛛や蛾等が次から次へと見付かります。中には人族の家族や数人の女だけの集まりや、子供だけの集まり等も有り何らかの規則性が有るのかも知れません。


 発見した人族や動物達の中で、動けそうな者も含めて全てを吸収して行きます。当初の予定では、動ける者は吸収するつもりは有りませんでしたが、気が変わりました。彼等の余りにも無気力で刹那的な生き方や考え方を知ってしまうと、生きていても、生かしていてもと思ったからです。


 他人から奪う事、奪われる事に対して何も思わない、そんな考え方がまかり通ってしまうこの状況を何とも思わない。抜け出そうと足掻くのでしたら見逃したかも知れませんが、諦めて今の状況を受け入れ流されて悪事に手を染める。それならばいっその事私の一部にしてしまった方が良いのではと思いました。


 そして何より、私の姿を見ても反応が無いと言うのが一番の理由でしょうか。自分達の塒に見ず知らずの私が姿を表しても何の反応も無い、自分達の身に起きている事にも関わらず我関せずと言ったその態度に私は怒り?にも似た感情を覚えたのかもしれません。


 その後それ程の時間を掛ける事も無く、比較的近い場所に居た生き物全てと彼等の持ち物や邪魔な障害物等を吸収した後に、狼さんの待つ場所へと私は戻りました。


「お待たせしました」


「ご主人、沢山、食べた?」


 狼さんは前足1本を残して、猪を食べ尽くしていました。未だに食べ足りないのか、残した前足を仕切りに噛んでいます。


「私がと言う意味ですか?」


「そう、回り、生き物、減った、ご主人、食べた?」


 狼さんから見ると私が他の存在を吸収する事は、私が食事を摂っていると認識しているみたいですね。


「食べたと言う表現は当たらずも遠からずですが、そう言えますね」


「ご主人、お腹、一杯?」


 私が吸収する事に限界が有るのでしょうか?これは今まで考えた事の無い問題です。今までは必要?に迫られて吸収していましたので、その様な疑問を持つ事が有りませんでした。私以外の存在が居ると、今まで疑問に思っていなかった事に気付かされる可能性が有りますね。


「私に限界が有るかどうかは今の所は解りませんが、貴方は満足出来ましたか?」


「オレ、メシ、食った、腹、一杯!」


 心なしか狼さんの小さな身体のお腹が、ポッコリと出ています。自分の身体より大きな獲物の殆どを食べたにも関わらず、外見の変化がそれだけしか無いとは何とも不思議ですね。


「そうですか、それでは残りは吸収しますね、そうすれば直ぐにでも元の状態に戻りますので」


「ご主人、オレ、満足、ご主人、どうぞ」


 私は残された猪だった残骸を吸収しました。私が吸収して再度出現させると、元の五体満足の姿に戻りますので狼さんは私の魔素≪オド≫が有る限り永久に食事に困る事は無いでしょう。


「予定より遅くなってしまいましたが、宿に戻りましょうか」


「ご主人、解った、オレ、食う?」


 改めて吸収する事を食べると表現されると、何か罪悪感と言いますか申し訳無いと言いますか、そんな気分にさせられてしまいます。


「…」


「ご主人、大、丈夫?」


「…大丈夫です、貴方が子狼の姿でしたらこのままでも良いと思えて来ましたので、その事を考えていました」


「ご主人、オレ、子供、居る?」


 子狼の姿でしたら人族も怖がらないでしょう。もし怖がられるので有れば、その時には吸収するしか無いでしょうね!


「そうですね、子狼の姿でしたら人族に怖がられる事も無いでしょうから、貴方はこのままで良いです」


「ご主人、解った、オレ、子供、居る!」


「それでは宿に戻りましょう」


 私と私の少し前で短い足を懸命に動かす狼さんは、レッグとマーサのかまど亭に戻る為に、生物の気配が無くなった地域を後にしました。

勢いと思い付きで書いております。

読んで頂いている皆様、内容の齟齬等はご都合主義と言う事でご容赦下さいませ。

感想やアドバイスを頂けると嬉しいです。

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