表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/47

その前に、今はどっちのひまり?

 現実世界に戻った。のはいいが・・

 メイとの関係。アビトとの関係。身に覚えのないことばかり

 それに何か月も昏睡状態だったとか

 お母さん曰く、小学生の頃の行方不明事件の時と似ている。という、あの時も見つかった後から数か月間昏睡状態だったとか、でもね、その当時の事全く覚えていないんだよね

 だから、今回も記憶喪失の振りをした。「知らない」「覚えていない」そう言うことで誰も責めることも、問い詰められることも無いから。ただ、何があったか知らないけど、メイとは以前の関係ではなくなっている事だけは寂しくて仕方がなかった。 

 さらにあれから、数か月経ったが、私は出てこない。何が起こっているのか検討もつかない。

 でも、夢を見る。あの子の夢だ。あの子は言った「自分は悪魔」だと。そんな事があるのだろうか?あんな可愛い悪魔なんて存在するのか?

 図書館に行ってみたり、ネットで検索をしても、あんな可愛い悪魔なんて存在はなかった。やはり夢だったのか、自分がオカシクなっていたのだろうか。そう自問する日々が続いていた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 アビトはひまりの行動を見張っていた。夜はあの場所へ出向いてひまりを待った。入れ替われば絶対に訪れるだろう。その時に自分以外に相手を探す事のないように。

 晴れた昼下がりに毎夜毎夜の疲れが出てしまい。ボーっとしながら歩いていると

「ね、話があるの。いい?」

 威勢よく響く声に安心と落胆の感情が生まれる。それでも確認せずにはいられない

「ああ、勿論。でもその前に、どっちのひまり?」

 ひまりは、やっぱり知っているのか、と確信しながら

「お遊びひまりじゃないわ」

「あ、じゃあ、まだ戻ってないんだ」

 溜息と寂しげな表情をしながら肩を落とす、ひまりは自分が悪い事をしている気分になる。

「あの子じゃなくてごめんね。でもさ教えてほしいんだ。あの子、もう一人の私の事を。あの子と何をしていたのか、なんでアビトが死後の世界にきたのか、あたし知りたいんだよね」

「本当に、全然覚えていないの?」

「うん。あの子はあたしじゃないの。あの子はあの子なの」

 ひまりは、あの場所であったことが夢かどうかを確かめたかった。「そんな死後の場所なんて知らない」そう答えてくれればそれで全てを済ませよう。そう願いを込めながら。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ