あれから閉じこまれたままだ・・・
あれから閉じこまれたままだ・・・
何が起きているのか、どんなにアクションを起こしても応えてはくれない。お手上げ状態だ。
でも少し冷静になってきた。どうして、あの子は存在しているのだろう?あの子は「あたしは私」だと言った。あたしって二重人格なのか?
何か音が聞こえる。今まで自分の声ばかりが反響していて気が付かなかったが。
「水・・あ!川だ」
川の向こうに何かある。
「人がいる!!」
思いっ切って声を掛けてみる
「あ、あのー・・」
鳥かごの中の人物がぴくっと動く
「あなた・・だれ、どうやってここにきたの?」
「いやいや、多分、多分ですけどここはあたしの心の中ですよね、そういうあなたは・・」
急にキーーーーーンと耳鳴りがする。ぐらん、ぐらんと目が回る。(やばい)気を失うのがスローモーションで分かる
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「じゃあ、メイ頼んだわよ」
「う、うん。でも上手く出来るかな?」
「大丈夫。メイなら絶対にできるから。ね、これは二人の為なの」
そう言って手をぎゅっと握る。
「上手くいったら褒美をあげるわ」
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夜が来た。
アビトはいつもの場所を訪れていた。今日もひまりは来ない。その代わりに現れたのがメイだった。
「メイじゃん。ど、した」
「ひまりからの伝言。当分姿を隠すから探さないでほしい」
「え?なにそれ」
「とにかく、それだけ伝えに来た」
「ちょっと、お前何か知っているのか?」
「知らない。手、放して」
掴まれた袖を振り払い、メイは走り去っていく。
「お、おい!!」
メイは一度も振り返らず姿を消した。
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「はぁ、はぁ、はぁ」
運動不足だ。ちょっと、走っただけなのに動悸が激しい。いや、動悸が激しい理由はきっと、それだけではない。
「いた」
メイは。黒い装いの長身で細身の男に近ずく
「あ、あの・・」
「・・・・・・」
勇気を出すのよ!ふたりの為なんだから!
「あ、あの、付き合ってください」
流石に唐突過ぎたかな?でもこれが一番ってひまりが言ってたし。
「・・誰に頼まれた」
「え?なんのことですか?」
「・・ひまり、本体か?」
「ひまりの事知っているんですか?」
「勿論」
「じゃ、付き合ってくれますか」
「いいよ。じゃあ、キスをしようか」
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目が覚める。
(あ、そうか、倒れちゃったんだ)
まだ、入れ替わっていはいない。そういえば、あの子は、
鳥かごの子を探す。こちら側を心配そうに見つめている。
「大丈夫ですか?」
「うん。大丈夫みたい。ね、そっちにいってもいいかな」
「あ、でも川を渡れますか?」
「こんな、浅い川なら、平気よ」
じゃぶじゃぶ足を踏み入れ、川を渡り始める
「ね、どうして閉じ込められているの?」
「あ、あの、その前にあなたはどなたですか?」
「あたし?あたしはひまり」
「え?あのひまりさん・・ではないですよね」
「あ、なんかややこしくて、もう一人ひまりがいるんだよね。あ、このかご鍵がかかっている」
「そうなんです。この鍵を開ける事ができなくて」
かごの中の子は、ふわふわとした金髪で青色の瞳をしていた。とても、とても美人さん。なんでこんあ綺麗な子がこんな目にあっているのかな!とちょっと疑問に思う。
「ね、ここはあたしの心の中だと思うんだけど・・あなた誰?」
「私はピアスと言います。因みにここはあなたの心の中ではありません。私の魂です」
「はぁぁああ?」
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「キ、キスは出来ません」
「そうだよね。なら、君とは付き合えないな」
「え、でも、それは困るんです」
長身の男は、綺麗な顔立ちをしていた。不覚にもドキドキしている。
「頼まれたんだろ、ひまりに」
「・・・・・・・」
「じゃあ、こうしようか。君と僕は付き合ったことにして、キスをした。そうひまりに伝えるんだ」
「いいんですか?」
「いいよ。そしたら、こう聞かれる。何が見えたか?って」
「そしたら、なんて答えれば・・」
「鳥かごがみえたって答えるんだ。わかったね。それを言えばひまりは君を信じてくれる」
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